佐渡島庸平(コルク代表)
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「わかった」はコミュニケーションの失敗
「わかる」という概念について、考え続けている。
まず、「わかった」という言葉を、自分に向けて使う時と他者とのコミュニケーションで使う時の2パターンにわけたい。
まずは、自分に向けての、内省的な「わかった」。
以前、こんなnoteも書いた『人生の推進力は、勇気ではなく、わかったつもり』。本当に何かをわかりきるなんてことはない。常に「わかったつもり」でしかない。
その「わかったつもり」の時に、
編集者とは何か。その定義を改めて更新
“わからないこと、あいまいなことを、そのまま伝えている作品を、ぼくは編集したい”
『観察力の鍛え方』の本の最後に、ぼくはこう書いた。
人間は誰しもが矛盾や葛藤といった明確に割り切れない「あいまいさ」を抱えながら生きている。ぼくはその「あいまいさ」に触れることが人間を知ることだと思っているし、「あいまいさ」を味わい尽くすことが人生を楽しむことだと考えている。
そして、文学とは人間が抱える「あい
人を成熟させる考え方、『ある男』の三勝四敗主義。
平野啓一郎の小説『ある男』の映画が、11月18日(金)から公開される。
監督は『蜜蜂と遠雷』『愚行録』で知られる石川慶監督。担当編集者として企画から携わってきたけど、完成した映画を見て、本当に素晴らしい作品になっていると感じた。
この『ある男』とは、ある男の過去に迫っていく物語だ。
あらすじを簡単に説明すると、不慮の事故で夫を失った妻が、戸籍に登録されている人物と夫は別人であることを知る。愛
沈黙は謙虚さを示すのか。相手を信頼するために自分にできること
ここ数年の自分を振り返ると、30代の頃と比べて、仕事や子育てに向き合う考え方が随分と変わったと感じる。
そうした変化をもたらした要因のひとつになっているのが、4年ほど前から参加している『EO(Entrepreneur’s Organization)』という起業家同士が学ぶ合うコミュニティだ。
このEOの特徴的な活動が「フォーラム」で、同じメンバーで毎月集まり、1ヶ月の間に起きたことを共有しあう
人生を「旅」ではなく、「巡礼」と捉えてみる試み
「人生とは旅である」とよく言われる。でも、最近のぼくは「人生とは巡礼である」という視点で様々な物事を捉え直してみている。
発端は石川善樹との雑談だ。旅行という概念は、明治以降に生まれた比較的新しい概念であるという話を、善樹から聞いた。
調べると、観光という言葉の語源は中国の易経の言葉「観国之光」で、国の光を観る。つまり、他の国の良い点を見て学んでくるという意味らしい。幕末にアメリカと条約を結ぶ