物語を語ることによって、自分の経験を客観化する
ぼくにとって、読書とは「作者との対話」だ。
「なぜこの一文を書いたんだろう?」「あえてこの言葉を選んだのはどういう理由だろう?」と考えながら、一文一文を読んでいると、頭のなかで作者と会話してるような気分になる。
ぼくは、作者が書いている内容に共感してではなく、それを書こうとしている作者の姿勢や生き方に共感して、その作者を好きになるのだろう。
村上春樹の『風の歌を聴け』の冒頭に、こんな文章がある。
自分の中で折り合いをつけられていない経験や感情を、物語として描いてみるこ