佐渡島庸平(コルク代表)
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目には映らない、街に漂う「文化の香り」
先日、アブダビに出張し、数日間滞在した。
アブダビといえば、中東でも屈指の近代都市だが、ここ近年の都市開発の熱量は凄まじい。特に目を惹くのが、観光都市への投資だ。
なかでも有名なのが、2017年にオープンした『ルーブル・アブダビ美術館』だろう。フランス政府公認のもので、ルーブルの名を冠したミュージアムがフランス国外で誕生したのは、アブダビがはじめてだ。
UAE政府は「ルーブル」の名を冠する対
型を固めることで、「オルタナティブ」は生まれる
どうやって編集者が育つ組織をつくりあげていくか?
ぼくのnoteで何度も触れているが、コルクの経営者として、いま最も力を入れていきたいテーマだ。
そして、その取り組みの一環として、編集者としての実務における知見を型化して、共有する試みをはじめている。このことは『編集者が育つ環境を整えるべく、自分の「べき」を棚卸し』というnoteに詳しく書いた。
例えば、取材対象者へ依頼メールを送る際には、ど
コルクが目指す創作とは、「ネタづくり」ではない
先日、映画『PERFECT DAYS』の共同脚本・プロデュースを担当した高崎卓馬さんと対談するイベントに登壇した。
その際、高崎さんが話してくれた内容で、とても印象的だったものがある。
山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』に関するエピソードだ。
山田監督と言えば、『男はつらいよ』シリーズや『たそがれ清兵衛』などで知られる映画監督だが、代表作のひとつに1977年に発表された『幸福の黄色いハン
編集者自身の世界を変える、作品づくりのあり方
「物語の力で、一人一人の世界を変える」
このミッションをコルクでは掲げているが、自分の世界を大きく変えてくれたと感じられる物語と、人は生涯でどれほど出会うのだろうか。
ぼくの場合、遠藤周作との出会いが、物語によって自分の世界を変えられた原体験だ。小学生の頃に『沈黙』を読んで以来、小中学生時代は遠藤周作の作品にどっぷり浸った。
遠藤周作の多くの小説で主題として描かれているのは、人間の根本的な「