佐渡島庸平(コルク代表)
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「もう死にたい」という気持ちの裏側
平野啓一郎の小説『空白を満たしなさい』がドラマ化する。NHKの土曜ドラマで、6月25日(土)から全5回で放送される。
この作品は30代前半の頃に担当編集として関わったものだが、この仕事がなければ、ぼくの30代は現在とは全く違うものになってしまったかもしれない。それくらい、ぼくに大きな影響を与えた作品だ。
この作品は、自殺が大きなテーマとなっている。
主人公は30代半ばの会社員の男性で、会社の
相手に対して"こだわりが足りない"と思ったら
ぼくの知人で、ものすごく気遣いができる人がいる。
あまりにも気遣いが素晴らしいので、「世の中で他に気遣いが上手い人は誰だと思いますか?」と聞いたら、少し返答に悩んだ後、「正直、思いつかないです。みんな、雑ですからね」と返された。
なるほどと感じる反面、「みんな、雑」なんてことは本当にありえるのかとも思い、そこから考えが巡りはじめた。
例えば、職場でも夫婦間でも、「あなたは〇〇が雑」というよう
"嫉妬に苦しむ"という感情の正体
新人マンガ家と話していると、嫉妬に苦しむといった相談を受けることがある。月に2回、水曜にYouTubeで生配信をしているのだけど、そこ相談が来た。
SNSでマンガが拡散される時代。同じような立ち位置で切磋琢磨していると思っていた相手の作品が、瞬く間に多くの人に読まれ、フォロワーが爆発的に増えたり、メディアでもてはやされたりする。
そうした姿に見て、嫉妬はよくないと思いつつ、「羨ましい」とか「な
マンガ編集における、無刀の境地
「我が剣は、天地とひとつ。故に剣は無くともよいのです」
井上雄彦の『バガボンド』で、剣聖と呼ばれる上泉伊勢守が、若くて血気盛んな柳生石舟斎に諭すように語りかけるセリフだ。
相手に勝つとか、自分の強さを誇示したいとか、そうした理由で剣を振るっている石舟斎に、「そんなことのために剣は、武はあるのかね?我々が命と見立てた剣はそんな小さなものなのかね?」と伊勢守は問いかけていく。
技術をただ追求する