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こだわりの先にある“居心地の良さ”

ぼくの名前は「庸平」だ。

この名前は四書五経の「中庸」から取られており、極端ではなく、バランスをとり、調和をはかっていくことを願って名付けられた。「平」は、佐渡島家の男性の名前についていて、こちらもバランスを意味する。

だから、ぼくの名前は、二重にバランスをとることを願っていることになる。挑戦をしないような、日和見的な名前だと感じていて、ずっとそんなに気に入っていなかった。

しかし、ちょうどいいバランスを探すという行為は、編集行為にも似ている。歳をとるにつれて、これがすごくいい、ぼくの目標となる名前であると感じるようになっている。

いい加減や適当は、悪い言葉のように思われているが、常にいい加減を見つけるのは、何か理想を身に纏うよりもずっと難しい。突き抜けたりすることより、中庸でいる。それは居心地の良さ探し続ける行為とも言える。

中庸であること、居心地の良さを見つけることの難しさを実感することがあったので、今日はそれをシェアしようと思う。

先日、以前にnoteでも紹介した、様々なチームやアスリートのスピードコーチをつとめる里大輔さんが、ぼくのシューズ選びに付き合ってくれた。

これまで、ぼくはシューズ選びにあまり時間をかけたことがなかった。何足か試し履きをして、特に問題がなければ、それで十分と考えていた。しかし、里さんは「自分の身体にピッタリと合ったシューズを履くことが何よりも重要」と言う。自分に合っていない靴を履いていると体のバランスが崩れ、全身にその影響が出てしまう可能性があるからだ。

それで、ぼくの歩き方や足の形などを踏まえて、ぼくの身体に合うベストのシューズを一緒に探すことになったのだ。当日は2時間くらい時間をかけて、数件のショップを回り、1000足近くをみて、10足近くのシューズを試着した。里さんにここまでしてもらえるなんて、なんて贅沢なんだろうと感じた。

最終的に、里さんのおかげでベストなシューズが見つかったのだが、履き心地が全く違う。一足だけが全く違う。 今まで履いていたものがシューズじゃなくて、足をおおう何かにすぎなかったと感じる。

体重がきちんと真ん中に載って、外側に体重がズレない。シューズ選びに徹底的にこだわると、ここまで世界は変わるのかと心底驚いた。歩く量、速さも全く変わるだろう。

そして、これはシューズに限った話ではないと感じる。メガネを選ぶとき、キーボードを選ぶとき、さらには日々の歯磨きに使う歯ブラシを選ぶときでも、同じことが言える。

メガネは視力補正だけでなく、長時間かけていてもストレスにならないフィット感が求められる。キーボードは自分の手に合っていて、快適にタイプできるものであることが重要だ。歯磨きの方法や歯ブラシの選び方一つ取っても、口内の健康や日々の心地よさに大きな影響を与える。

以前に投稿した『居場所から、居心地の探究へ』というnoteに、居心地とは、他人に決められるものではなく、自分で感じるものだと書いた。自分の内面に目を向けることが、居心地の探求に繋がる。どんな場所でも、自分で自分の居心地を整え、惑わない状態になることを目指していきたいと。

シューズのように自分の身体の延長線にあるようなアイテムをこだわることは、ある種、内面を整えることに近いのかもしれない。他にどんなものにこだわると、居心地が変わるのだろうか。

ヨガをやることで、自分の体のバランスを知ろうとしてきたが、体の延長にある物のバランスもいい加減を追究してみようと思う。

その探究はきっと、ぼく自身との新たな対話となり、日々の居心地の良さへとつながる。そして、それはぼくの生き方である「中庸」への新たな一歩となる気がする。


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『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡…

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