「言葉」をそろえるために、「動作」からそろえる
「チームとして戦っていく」
そのことをすごく意識している。
以前に投稿したnoteで、仲山進也さんが書いた『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方』の内容を引用し、チームの思考力を高め、意思疎通が成立したチームワークを生むには、3つの「そろえる」が大事という話を書いた。
この「頭(解釈)をそろえる」というのが難しい。会話をして、そろえていくしかない。しかし、言葉がずれる。会話して、わかりあったはずなのに、動きが違うものになってしまう。たとえ同じ言葉を使っていたとしても、その言葉の意味するところがズレてしまう。
話し方を工夫するといいのか?聞く方の問題なのか?どちらも悪くない、ただずれているだけで、どうすればずれを小さくできるのか、ずれに気づけるのかをずっと悩んでいた。
そんな風に「そろえる」について考えるなかで、先日、ラグビー日本代表のスピードコーチをつとめる里大輔さんと話す機会があったのだが、自分の考えが更新された。
里さんの肩書はユニークで、「スピードコーチ」という名称を聞いてもピンとこない人が多いだろう。あらゆるスポーツにおいてスピードが重要視されるなか、里さんは「どうやったら速く動けるか」という視点で、様々な選手やチームのパフォーマンスをレベルアップさせていく。
里さんと話している中で、ぼくは、頭をそろえるを、概念をそろえる、ということだと理解していた。そして、動きをそろえるを、行動をそろえる、だと。どちらもそろえるためには単位が大きすぎるのだと、里さんと話していて気づいた。
里さんがコーチをするうえで大切にしているのは、すべての「行動」は「動作」として分解することができるという考え方だ。
加速する。減速して再加速する。止まる。ボールのコースやスピードに合わせる。倒れる。起き上がる。里さんには瞬発的な人の動きがパラパラ漫画の一コマのように、動画ではなく動作の集合体の写真のように見えているそうだ。
一連の動作をコマとして切り分けて、無駄なコマを省き、スピードや出すために必要なコマを挿してこんでいく。そういった動作の手順やタイミングを明確に言語化し、それぞれの選手に落とし込んでいくことで、チーム全体が速くて強い動きができるようになっていく。
「そこをもっと速く」とか「そこをもっと強く」と言葉で伝えても、選手はうまく実行できないし、それができるならとっくにやっている。そうした声がけは、「試合に勝て」と伝えているのと大差ないと、里さんは言う。
実際、里さんの指導のもと、ひとつひとつの動作を見直し、それぞれの動作を連動させていくことで、見違えるようなパフォーマンスを発揮する選手が多く、「生まれ変わるような感覚がある」と言われることもあるそうだ。
ぼく自身を振り返ると、相手の動きを細かく切り分けて、動作の手順やタイミングを一緒に考えるような発想は全くもっていなかった。
むしろ、最終的なパフォーマンスがよければ、そこに辿り着くまでの過程は、相手の自由にやってもらっていいと思っていた。その過程を試行錯誤することが、「考える力」の成長に繋がると信じていたからだ。
だから、大きい単位のまま、頭と動きをそろえようとしていた。
そろえるために重要なのは小さい単位にしていくことだ。
頭をそろえるとは、具体的な動作を言葉でそろえていく。そして、一連の動作の順番やタイミングをそろえれると動きがそろう。
頭をそろえる、言葉をそろえるとは、動作をそろえること。言葉だけでそろえきろうとするとずれてしまう。具体的な動作を言葉で指し示てしていく。
メンバーへの声がけの仕方を工夫しようと思った。
全ての能力を鍛えることはできない。だから、一つだけを意識しようと思った。それでぼくは観察力だと最近は言っている。
今でこそ、インタビューや講演でも、観察という言葉を度々口にしているが、その重要性を昔から認識していたわけではなかった。
起業して間もない頃は『ぼくらの仮説が世界をつくる』という本を書いた。大切なのは仮説だ、そう言って、コルクのメンバーにも仮説思考の重要性を伝えていた。ただ、メンバーを見ていると、仮説を立てることを、なかなかうまく仕事に活かせていないようだった。
その原因を探るため、自分の習慣を振り返ってみると、仮説の前には必ず、観察があった。そこで初めて、観察と仮説がセットだということに気づけたのだ。観察の方が先立っている。仮説思考を鍛えるためには、観察力を鍛えるしかない。
ぼくはどのように観察しているのか。具体例をあげて考えてみようと思う。
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コルク佐渡島の『好きのおすそわけ』
『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡…
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