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“経営の奥深さ”を、11期目で改めて実感

コルクは8月が決算月で、今月をもってコルクの11期目が終わる。

決算の内容を見返したり、来期について話をする中で、会社の成長スピードについて焦ったさを感じることがある。
社員も自分も「よくやっている」と思う部分はもちろんあるし、色々な人の助けにものすごく感謝の念が湧いてくる。
だけれども、ぼくらが実現しようと掲げていることには、まだまだ達成できていない。

コルクが実現したいと掲げているビジョンは、この3つだ。

“Create”
時代性のある、本質的な物語を生み出し続ける
“Connect”
ファンとクリエイターが直接繋がる社会をつくる
“Realize”
物語に宿っている、世の中を変える力を顕在化する

この3つを安定的な事業にすることで、「物語の力で、一人一人の世界を変える」ことが行える会社になりたい。

それぞれの領域において、手応えを感じる事例はある。

出している作品数に比例して、映像化される確率は非常に高く、映像化作品も軒並み賞を受賞していて、質が高く評価されている。しかし、単発で終わってしまったり、組織としての仕組み化までいけていない。

ファンとクリエイターが繋がることで、素敵なイベントが生まれたり、クリエイターの生活基盤が安定したりしているが、適切な距離感がさぐれていない。商品化や『せりか基金』のような活動によって、深く届いているが、まだ届く相手が限定的だ。

デジタルの力を使って、日本だけでなく、世界で圧倒的なヒットを出したいという想いは、まだかなりほど遠い。

創業から10年経って、世の中の景色は大きく変わった。コンテンツの届け方だけでなく、内容も大きく変わっていってる。

そんな変化の激しい時代に、コルクのスピードは遅いのではないか。もっとアクセルを踏んでいかないといけないのではないか。そうした焦りにも似た気持ちが湧いてくる時がある。

だが、こうした悔しさや焦りの感情は、「プレーヤーとしての自分」によるものだ。プレイヤーとしての感覚と経営者としての感覚、両方を持っていかなければいけないと最近は、考えるようになっている。

「経営者しての自分」は、組織が正しく成長していると感じてもいる。

振り返ってみると、ぼくがコルクを創業したのは、「プレーヤーとしての自分」の焦りからだった。

ぼくとしては、もっと色々なことをやりたいのに、講談社という組織がそのスピードにあっていない。自分の才能が、今いる組織の中では活かしきれていない。それだったら、自分で会社を作って、自分のやりたいことに全力で挑戦していきたい。そういう気持ちが、起業の背景にあった。今だと僕が会社というものをよくわかっていなかったのだとわかる。

会社経営とは、そんなに単純なものではなかった。

人を雇うようになると、自分のビジョンに共感して入社してくれるわけだから、自分のやりたいことを手伝ってくれると勝手に期待していた。だが、ビジョンは方針なので、社員ごとにやりたいことは別にある。抽象の部分では一致していても、具体の部分でバラけるのだ。

自分がやりことと、社員のみんながやりたいこと。その共通点を社員ではなく、ぼくが探っていかないと、組織として強くなっていかない。場合によっては、自分のやりたいことの優先順位を下げて、社員のやりたいことを優先すべき時もある。

そうしたことを考えると、「プレーヤーとしての自分」がやりたいことを、講談社は最大限やらせてくれていたと感じることがある。こういうのは自分が経営者の立場になって、はじめて理解できることだ。

以前に『創業から10年。目指す経営者像が全く変わった』というnoteを投稿したが、現在のぼくは「プレーヤーとしての自分」ではなく、「経営者しての自分」として、どうあるべきかをすごく考えている。そのために学びたいと思っている。

現在のコルクには、様々な事業があって、複数のチームが存在する。その中で、「ぼくよりもチームの作り方やメンバーの能力の活かし方をわかっているな」と感じる役員がいる。同時に、自分がいかに「わかったつもり」になっていたかも痛感する。

そんな風に様々なメンバーが集まる中で、編集者でもあり、経営者である自分の強みとは何なのか。そこをもっと考えて、その強みを伸ばし、実行していく。それが「経営者しての自分」に対する課題感だ。

コルクという会社は、外の人から見ると、どのように見えているのだろう?
挑戦し続けていると感じてくれている人もいるだろうし、大きな変化があるようには思ってない人もいるだろう。

でも、ぼくからすると、向き合う課題が毎年変わり、どれも初めてのものばかりで、常に新鮮さを感じている。
次の期も「新しい挑戦をするぞ」という意欲を感じている。


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表では書きづらい個人的な話を含め、日々の日記、僕が取り組んでいるマンガや小説の編集の裏側、気になる人との対談のレポート記事などを公開していきます。

『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡…

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