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「見守る」とは、自分がいなくなった時の準備

期待を手放し、相手を信頼し、ただただ見守る。子育てにおいても、経営においても、「見守る」を徹底していきたいと心がけている。

先々月、『強要された我慢で、人は育たない。 叱るをどう手放すか』というタイトルのnoteを書いたが、「叱る」という行為は「見守る」の真逆をいく行為だ。他人から強要されたことで、人は育たない。相手のためを思って叱ったとしても、多くの場合は自己満足の域を出ない。

結果を求めてもダメだし、焦ってもダメだし、怒ってもダメ。どうやって「見守る」を実践していくかを日々考え続けている。

先日、次男との会話で「見守る」について発見があった。

以前に『もう死にたいという気持ちの裏側』というnoteを書いたが、昨年から次男は全寮制の学校に通っている。学校生活は楽しいが、家族と離れるのがどうしようもなく寂しくて、耐えられない。その後も、どういう通い方がいいかを先生とも相談しながら、ぼくや妻と話し合い続けている状態だ。

そんな風に次男と接するなかで、「そもそも、なぜ学校へ通ったほうがいいのか」という話になった。

ぼくは学校で学べる知識に関しては、学校で学ばなくても別にいいと思っている。知識を学べる場は他にも沢山あるし、学びたいと思ったタイミングで勉強すれば、いくらでも十分な知識は身につけられる。

それより大切なのは、他者との関係の築き方を学ぶことだ。

当たり前の話だが、他者とコミュニケーションをとるのは簡単ではない。相手の気持ちを理解するのも、自分の考えを相手に伝えるのも、一筋縄ではいかない。様々な失敗を経験して、「あの時、ああいう風にしていればよかった」と振り返りながら、少しずつ成長していく。

その他者との関係を築く練習の場が学校なのだ。だから、勉強を頑張れとは言わないけど、友だちと遊んできてほしい。友だちと一緒に過ごすなかで、他人と関係を結ぶ経験を積んできてほしい。

そして、この話の前提として、「いつまでも、ぼくやママが君のそばにいられるわけではないよ」「いつか君の前からいなくなるんだよ」と伝えた。

いついなくなるのかは、誰にもわからない。でも、父親や母親とばかり一緒にいて、他人と関係を結ぶ練習をしてないままの君を置き去りにしてしまうことを考えたら、不安で不安で仕方がない。だから、自分なりのやり方でいいから、学校には通ってほしい。

こんな話を次男とするなかで、 「見守る」とは、自分がいなくなった時の準備でもあるのだなと気がついた。

結局、子育てにおけるゴールとは、子どもが自分の人生を自ら歩んでいけるようになることだ。親がいなくなっても大丈夫な状態をつくること。子どもに対する自分たちの影響力を失くしていくこと。見守るとは、その状態に辿り着くため準備なのだ。

もちろん、子育てにおける最初の段階では、親の助けなくして、子どもは生きていけない。だから、親の影響力は自然と大きくなる。この膨れあがった影響力を、どのタイミングから、どのように薄めていくか。これが子育てをしていくなかで、多くの人が頭を悩ます「問い」だろう。

これは会社経営でも同様だ。経営者の多くは、自分が育ててきた事業を自分の子どものように思っていて、後継者問題に力を入れている。だが、後継者の育成がうまくいかず、一度退任したのに復帰するケースをよく目にする。この「問い」に頭を悩ませている知り合いの経営者は多い。

自分が「いる」ことを前提にする状態から、自分が「いなくなる」ことを前提にする状態へ。前半と後半で考えるべき「問い」が変わるので、頭の切り替えが難しい。前半の成功体験が多ければ多いほど、この切り替えは難しくなるだろう。

更に言うと、経営者について語られる本の多くが、前半で何をしたかばかりが書いてある。後半で何をしたかを語られることは少ない。でも、経営者の先人から本当に学ぶべきは、この後半の立ち振る舞いなのではないか。

いい子育て、いい仕事とは、自分がいなくなる準備まで含まれる。

そもそも全ての仕事が、自分がいなくなる準備をするようなものと言えるかもしれない。警官であれば、犯罪がないようにするのが仕事で、本当に犯罪が全くないようにできたら仕事が必要なくなる。教師も子どもが自分で学べるようになったら、必要なくなる。

仕事を本気でやることが、自分のいなくなる準備だとしたら、ぼくたちは、仕事をしながら、死ぬための準備をしているとすら言えるのではないかとまで考えた。


今週も読んでくれて、ありがとう!この先の有料部分では「最近読んだ本などの感想」と「僕の日記」をシェア。日記には、どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを書いています。子育てをするなかで感じた苦労や発見など、かなり個人的な話もあります。

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佐渡島庸平(コルク代表)

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