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僕たちは、友達を何人欲しいのか?

僕はわが子のことも「他人」だと思っている。

僕の遺伝子が入っているわけだから、顔や体のパーツは当然似ていたりはする(息子達は鼻の形が僕にそっくりだ)。似ているから、自分と考え方が同じだろうと甘えしまう。いくら自分の子どもであっても、自分とは別の人間なんだと、日頃からかなり強く意識するようにしている。

長男は幼い頃からこだわりが強く、自分のしたくないことは頑なに拒む。僕らのスケジュールなんてお構いなしだから、ややこしいなぁという気持ちが正直湧き上がる。「学校に行きたくない」と言って、妻や僕は手こずらされている話を以前ブログに書いた。こだわりが強いから、初めての場所には行かない。自分がよく知っている、安心した場所にしか行かない。

学校でイジメられているわけではない。学校の授業が退屈で行きたくないと言う。僕も学校の授業がすごく楽しかった記憶があるわけではない。でも、行かないと主張して、両親と戦う方が面倒だから、行きながら好きなことをしていた。妻や僕には長男の気持ちがなかなかうまく理解できなくて、解決先が見つけるのを手伝ってあげれない。色々な学校の記事を見つけては、長男に見せて、この学校だったら興味が湧くかと聞き続けていた。

どこにも興味を持たない長男が、急に、予想外のものに興味を示した。

鹿児島の与路島という島で運営されている「海の子留学」だ。来年、まだ小学4年生。まだ朝方になると僕らのベッドにやってきて甘えたりする長男が、一人で里親と暮らすところ想像できない。初めての場所へ行くのも嫌がるのに、一人で移住だ。どうせ興味を持たないだろうと思いつつ見せた学校に、長男がくらいついた。

そして、なぜ行ってみたいのかと聞く僕に、長男がふと僕が腑に落ちるようなことを言った。

「学校の授業はクラスメイトと一緒に受けていても、誰とも仲良くならない。僕は親友が欲しいんだ。親友になる可能性がある授業・時間がある学校に行きたい」と。

冒頭に書いたように僕は、息子は他人で、自分とは違う考え方をする人だと自分に言い聞かせている。でも、この言葉を聞いて、自分の学生時代の気持ちが鮮明に蘇ってきた。

僕も強い繋がりを求めていた。編集者という仕事は、作家と、作品を通じて深い心の交流ができる。だから、僕が天職のように感じている。

世の中には「たくさんの人と知り合いになりたい」と思っている人がいる。深い関係が面倒で、浅く多く付き合うのが幸せだと。人との出会いは、一期一会。その考え方も理解できる。素敵だなと思う時もある。

でも、僕自身は狭く深い人間関係を好む。じっくりと話をしたい。そんな気持ちが僕は強い。3〜5人の親友がいて、数十人よく知っている人がいたら、僕は自分の人生に満足できる。

容姿だけでなく、人生に求めるものが、このように似るものなのかと、僕は遺伝子の不思議に驚いた。

「海の子留学」は、今、審査中。通るかどうかわからない。受かると息子は喜んでいくと思う。でも、僕の方が全く子離れの準備ができていなくて、毎朝の長男とのややこしいやりとりがなくなるのが今から寂しくてしょうがない。


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