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子供の意思をどこまで尊重すればいいのか

「おっ、お前もか、ブルータス」

シーザーが、死ぬ間際に言ったというこの言葉。正直、今の僕には、よく分かる。

子供たちが食べたがると思って入ったお店で、色々注文したら、三男と次男がほとんど手を付けてくれなくて、長男に「一平は食べるよね?」と聞いたら、「欲しいものないー」と素っ気ない答え。

「おっ、お前もか、一平」という気持ちになってしまう。メニューだって一緒に選んだじゃん……。

我が家の子供たちは、6歳、4歳、1歳で全員男。妻がいなくて、僕が3人の世話をしている時に、4歳と1歳が、訳のわからない状態になっていると、どうしても6歳の長男に頼りたくなる。あまりにも長男に頼りすぎて、期待してしまっているから「おっ、お前もか」となってしまう。

6歳児にそんな期待をしてしまうことが、非常に申し訳ないのだけど、どうしても頼ってしまう。あとから振り返ると、それは高校生ぐらいに期待するならいいけど、6歳児にはさすがに酷だったよなぁと反省することも多々ある。

長男は非常にしっかりしているのだが、息子たちの性格には、生まれた順番が大きく関係していると思わざるをえない。

長男は、やはり我慢を要求されることが多い。甘えたくても、「今は無理だよ。わかるでしょ」と諭されるなかで、自分の感情を表に出さず、空気を読む。

しかし、長男として、家の中の色々なことの決定はできるので、自分の意思ははっきりしている。自分から努力しなくてもかまってもらえる時期も長かったので、甘え方はよく知らない。

次男は、長男と三男に挟まれて、両方から喧嘩を挑まれる。長男から色々なことを押し付けられて、我慢することが多い。

それで、他人の顔色を読んで、それに合わせるのがうまい。人に気に入られようと努力をすることが多い。僕も妻も、どちらかというと他人に合わせるよりも、自分がどうしたいかを主張する方だ。だから妻は、次男をみていて、「自分がない男になってしまうのじゃないか」なんて心配をしている。

それに対して、僕らと違うだけで、他人に合わせられるっていうのも、立派な魅力じゃないか、なんて僕は暢気に答えている。

三男は、あまりにもほうっておかれていて、かまってもらえていない。自分からうまく甘えないと、親にも他人にもぞんざいに扱われてしまう(どこかでこけるか、ぶつかるかして歯が欠けていたけど、いつどこで欠けたのかをこちらは把握していなかった)。

だから、眼が合うとにっこり笑って、抱きつく、そういった甘え方がなんともうまい。あまりにも自然に甘えるので、ついつい甘やかしてしまう。

生まれる順番による差異は、環境要因だが、やはり遺伝子による元々の差異も、かなりある。

僕と妻は、どちらかというと大雑把だ。家の中の扉はどこもきちっと閉まっていない。どちらかというと、わざとホンのちょっとだけ開けている(繰り返し言いますが、わざとです)。カチッとしているよりもそっちのほうが落ち着くのだ。長男も次男も同じだ。なぜか、三男だけが違う。

やっと歩くようになったばかりの三男を寝かしつけている時のこと。急に三男が、ムクッと起き上がる。「お願い、部屋をでていかないでー、明日のためにも早く寝よー」と三男に頼む。

全く聞くそぶりのない三男が、スタスタ歩く。そして、なんとなんと、ホンのちょっとだけ開いている扉を閉めて戻ってきたのだ。僕からも妻からも想像のできない行為。それを、長男も次男も行わないのに、急に三男がした時の僕の驚きといったら。

長男と次男は、おもちゃを散らかしたまま寝ることに抵抗感がない。寝かしつけを終えた妻が、毎夜、それをせっせと片付けている。しかし、三男はおもちゃをきっちりおもちゃ入れに自分で入れないと気が済まない。

食事をさせる時が面倒だ。1歳児は、当たり前だけど、手で食べる。長男も次男も手で食べていた。それで何の問題もなかった。

三男は、食べている途中に、自分の手が汚れているのがやなのだ。さらには、自分の食べこぼしで、机や服が汚れているのまで嫌がる。すぐにまた汚すのがわかっているから、こちらはいちいち掃除をしたくないのだけど、その都度掃除をしないと食べてくれない。

人の成長に影響を与えるのは、遺伝か環境か。この永遠に議論されているお題が、子育てをしていると、自分ごととしてやってくる。

環境の要因が大きいとしたら、親は何をすればいいのか? 途方にくれそうになるけど、やらないといけないことは、目の前にある汚れた手を拭いて、もう一口をアーンして、8時までに寝かせることなのだ。

(エッセイ・2017年6月1日執筆 / トップ画像イラスト:秋野ひろ

・・・

上の文章は、以前に「ベビモフ」というWebメディアで、僕が連載していた子育てに関するコラムを転載したものだ。当時は、子育てをしていて感じる自分の思いや感情を忘れないために書いていた。

連載自体は終了したのだけど、コルクラボのメンバーから、僕が子育てについてどのように考えているかを知りたいとリクエストをよく貰う。そこで、無料部分では過去の分を転載して、最近の子育てについては有料部分でインタビュー形式で書き起こすことにした。

本音で話していて、一部の言葉だけで誤解を産みたくないので、クローズドな形で。今回のテーマは、「 子の意思をどこまで尊重すればいいのか? 『やりたくない』への向き合い方」です。

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佐渡島庸平(コルク代表)

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コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。

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コメント (1)
3兄弟の子育てに、共感する話の連続。環境要因について考えると、親としての責任が、、、と、分からない先のことを不安に思い、つい重くなっちゃう。

けれど、子どもとと同じように「今を生きる」を重ねることは、もっと大事にすることはできるよな〜と改めて思った。

目の前の手を拭いて、もう一口アーンして、8時に寝かせること。

そんな日々の積み重ねが、子どもとの暮らし。

なんだか気持ちが軽くなる。

ベビモフのコラムは、やっぱり、いいな。
こやまこいこさんの「次女ちゃん」と同じで、
自分の感情を思い起こされて、なんだか、あったかい気持ちになる。
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