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自己否定の成長から、自己肯定による成熟へ

「このままでいいのか?」「今のままでは不十分だ」と、自分で自分にダメ出しを行い、成長している自分を想像することでモチベーションを高める。

いい自己否定が大切だと、一般的に語られているし、ぼく自身もずっとそのように考えてきた。でも、「本当にそうなのだろうか?」という考えが、他人の自己否定的な努力を見ていて、感じるように最近なってきた。

このnoteでも何度か触れてきたが、『EO(Entrepreneur’s Organization)』という起業家同士で学び合うコミュニティに数年前から参加している。

その勉強会で、世の中の様々な経営者と自分を比較しながら、「経営者たるもの、もっと頑張らなければダメだ」と自分を奮い立たせ、自分の会社やビジネスを成長させようと試行錯誤している様子を見かける。

ぼく自身、自分を客観視し、自分の足らない部分を認識し、現状に慢心しないようにと意識してきた。『ドラゴン桜』や『エンゼルバンク』などでも、健全な自己否定を行い、謙虚な姿勢をもつことの大切さが説かれている。

他人と比較しながら、自分にダメ出しをしていると、最後までダメ出しをされずに生き残るのは世界で一人だ。もしも、歴史上の人物まで加えだすと、いつまでも終わりがない。ダメ出しは、自分を鼓舞する方法ではなく、終わりなく、自分を痛めつける思考法とも言える。自己否定による成長をいい手法と思うことで、自ら苦悩を深めているのではないか。

短期のプロジェジェクトであれば、自分を鼓舞し、一心不乱に駆け抜けていくことは可能だろう。だが、経営も人生も終わりのないマラソンのようなものだ。しかも、予想できない出来事が次々と起こる。そんな果てしないレースを自己否定しながら走り続けるのは、心身ともに耐え難いものとなる。

そもそも、自分にダメ出しする際の根拠の多くは、社会が「こうあるべき」としている基準だ。「こういうスキルや能力を身につけることが望ましい」とされている基準に対して、自分は満たすことができていないから、もっと頑張らないといけない。

成長とは、そのような概念かもしれない。しかし、成熟は、違うのではないか。社会が求める基準を手放し、自分なりの基準を手にいれ、それを楽しみながら追い求めることが成熟ではないか。

成熟において重要なのは、自己否定ではなく「自己肯定」だと、最近のぼくは考えている。

自己肯定を通じて、自分への信頼を高める。そうすることで、前向きなエネルギーが湧き、行動に移す力が自然と生まれる。人生を豊かに生きるとはは、自分で自身を楽しませて、自然と行動力が湧いてくる状態をつくることではないだろうか。

この考え方は、コミュニティや職場において心理的安全性が何よりも重要という話と同様だ。心理的安全性を高めると、個々人の生産性が高まり、チーム全体のアウトプットが向上する。まず自己肯定を行い、自分に安心を与えていくことで、軽やかに行動の一歩が踏み出せる。安心安全や自己肯定とは、行動や挑戦の源泉なのだ。

自己否定からの努力は、結局のところロボットやAIに代替できる無味乾燥な人間を作り上げるだけで、人間的な深みや成熟は生まれない。

資本主義社会で生きていると、「成長し続けることが重要」という思考につい染まってしまう。だが、人生において大切なのは、「成長」よりも「成熟」だと、ぼくは考えている。

成長は数値で測ることができるが、成熟は数値で測る事ができない。成長は一方向に加算的に進むものだが、成熟は多方向に広がり、時に矛盾を抱えるものだ。成熟とは、その矛盾を含んだままバランスを取ることである。

経験もスキルもない若い頃には、成長を追い求めるのは自然だ。だが、様々な経験を積んでいくと、簡単には割り切れないものが世の中に多くあることを知っていく。そうしたものと向き合っていくには、自分自身を成熟させていかないといけない。

自己否定では、一時的な成長は達成できても、成熟へは辿り着けない。自己肯定を前提としながら、より人生を豊かにするために、自分が取り組みたい課題を発見する。そのサイクルを回ることこそが、庸平という名の目指すところである。

成熟の話も、先週に引き続き、自分の名前へと繋がる話だと感じた。


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