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ジョハリの窓から、「さらけだす」を再考

佐渡島庸平(コルク代表)

コルクでは行動指針のひとつに「さらけだす」を掲げている。

価値観の違うもの同士が協力しあい、居心地のいい場所を築くためには、お互いの前提となるものをさらけだしていくしかない。

どうやったら「さらけだす」が滑らかに起こるのか。先月、『心理的安全性と、短文コミュニケーション』というnoteを書いたが、この問いについて、ずっと考えている。

『EO(Entrepreneur’s Organization)』という起業家同士が学ぶ合うコミュニティに、ぼくは数年前から参加しているのだが、ここでは「ジョハリの窓」についての話がよく行われる。

「さらけだす」を考える際、このモデルを使うと思考が整理しやすい。

ジョハリの窓では、「自分は知っている/自分は知らない」「他人は知っている/他人は知らない」という2つの軸で、自分の特性や価値観、強みや言動などを分類していく。

「さらけだす」とは、自分と他者の前提となるものをあわせていくこと。言い換えると、自分も他人も知っている「開放の窓(open self)」を広げていくことだ。

では、どうやったら「開放の窓(open self)」を広げられるか。

自分は知っていて、他人は知らない「秘密の窓(hidden self)」。自分は知らなくて、他人は知っている「盲点の窓(blind self)」。この2つの窓を縮める必要がある。

「盲点の窓(blind self)」の縮め方はシンプルだ。とにかく、他者からフィードバックをもらうしかない。「さらけだす」というと、自己開示のイメージが強いと思うが、自分の知らない自分を知ろうとする行為も含まれる。

もちろん、他者から見えている自分を全て知ることは難しい。『insight(インサイト)』という本では、伝えたほうが相手のためになると確実にわかっていたとしても、80%の人が悪い情報は相手に伝えないという実験結果が書かれている。どういうやり方が、他者からフィードバックをもらうのに適しているかを考え続けなければならない。

そして、もう一つの窓である「秘密の窓(hidden self)」を、どう縮めていくか。

先日、EOの研修に参加し、ジョハリの窓についての説明を改めて聞いたのだが、この「秘密の窓(hidden self)」についてハッとする気づきがあった。

秘密の窓を開放するというと、誰にも打ち明けていない「内緒」を開示するような印象を持っている人は多いのではないだろうか。ぼく自身、そう捉えているところがあった。でも、ジョハリの窓の「hidden」とは、そういうことではない。

そもそも、内緒というのは、「これはpublicな場で、openにするのはやめよう」と、特定の誰かとの決まり事として取り交わされるものが多い。暗黙のコンテキストとして、そう決めているものもある。つまり、publicには解放されていないが、特定の相手とは解放されているものが、内緒には結構含まれている。そもそも内緒の話は、開放の窓の中にある情報なのだ。

秘密の窓を開くとは、内緒を開示することではない。大切なのは、自分が考えていることや感じたことを、ただたださらけだしていくことだ。

例えば、このnoteもそのひとつと言える。書いている内容が、読者の人たちに刺さるかどうかは、あまり考えていない。とにかく、自分の考えていることを言語化し、オープンにしていこうと思って投稿している。

そういう風に捉えると、「秘密の窓(hidden self)」を開くことのハードルは下がるのではないだろうか。「秘密の窓」というと重々しい響きがあるが、自分の中にあるものを共有するだけだ。

そして、実はそれが一番難しい。内緒の話は、もうすでに言語になってる。言語になってない自分のことに気づくのは、難易度が高い。

「さらけだす」は、相手に自分を知ってもらうと同時に、自分自身を深く知ることにも繋がる。


今週も読んでくれて、ありがとう!この先の有料部分では「最近読んだ本などの感想」と「僕の日記」をシェア。日記には、どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを書いています。子育てをするなかで感じた苦労や発見など、かなり個人的な話もあります。

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佐渡島庸平(コルク代表)

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佐渡島庸平(コルク代表)
コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。