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正解主義の「では」派と、なぜなぜ主義の「とは」派

「では派」「とは派」という考えが好きで、頭の中でよくそのことについての思考を転がす。

この「では派・とは派」は、何者でもなく、何者にもなる予定がない男・石川善樹が言い出した。(予防医学者という肩書きから、このような新しい肩書きにしたいらしいので、周知のお手伝い)

・では派→「○○では?」と事例を紹介する人たち
・とは派→「△△とは?」と自問する人たち

では派は、「ハーバードでは…」「ハリウッドでは…」と、事例を持ち出す。もちろん事例自体が面白くて、示唆に富むときがある。でも、「では」だけで会話していると、何も深まらない。その事例を知らない人は「そうなのか」とただ情報を受け取ることしかできない。事例は、それを発している人を正しさで守る防御壁になる。

一方、「時代を生き残る面白い作品とは?」のように「とは」で会話をすると、色々な意見が出てくる。ある人の意見は、絶対に違うように感じることもあるだろう。それで議論になる。「とは」の問いに正解はない。正解がなくて、その人らしさがあるだけだ。わからないことを追求するのが面白い。「とは」は、正解を思い求めない思考法とも言えるのではないか。

どうやったら、「とは」の思考法になれるのか?

そのヒントが、息子たちが受けている『花まる学習会』の授業にあった。

受験を中心とした日本の教育は「では派」を生み出す。その中で、花まる学習会の授業は素晴らしいと感じた。

花まるの存在を知ったのは『ドラゴン桜』の編集をやっていた時。代表の高濱さんが提唱する「ただ知識を詰め込む学習ではなく、意欲と思考力を伸ばす」という方針のもと、野外授業なども交えて「生きる力」を伸ばしていく活動に共感し、『16歳の教科書』では高濱さんに登場してもらった。

そんな昔から縁のある花まるに、現在、長男と次男がお世話になっていて、僕の人生は「ドラゴン桜」に支えられているなぁと思う。

そして、今回、紹介したいのは小学2年生の次男の作文指導のエピソードだ。

作文について、保護者に説明があった。

子供に対して、漢字や句読点をはじめとした言葉遣いの間違いを指摘するのは控えるようにと言われる。

なぜなら、作文で大切なのは「自分の感情」を伝えることだからだ。

言葉遣いの間違いを指摘するのは、親としては簡単だ。また、間違っているものを放っておくのはダメではないかと思うかもしれない。でも、言葉遣いの間違いは、どんな子供でもある程度の歳になれば自分で直すことができるようになる。2年生の時のミスのまま大人になる人はいない。

親が間違いを細かく指摘しだすとと、子供は間違いがない作文を書くことを一番の目的にしてしまう。

間違えないことを優先させる思考になった子供に、感情を出させるのは難しい。

だから細かい間違いを指摘するのではなく、作文に書かれている子供の感情に対して、感想を口にするようにしてほしいと、花まるでは保護者に依頼をうする。

ぼくは妻からこの話を聞いた。僕はすごく共感した。

これは創作でも全く一緒だ。多くの新人マンガ家を見てきてわかるのは、マンガをしっかりと描き続けていれば、絵は必ず上手くなっていく。だから、絵ではなく、自分の感情をしっかりと伝えることにこだわる新人が成長する。

間違いのない言葉で、文章を書かないといけない。
マンガ家として、上手い絵を描かないといけない。

これらは、世間的に正しいとされているものに自分を委ねていく「では派」的思考だ。そして、幼い頃や、新人の時に「では派」の思考が一度身についてしまうと、そこから抜け出すのは難しい。

「とは派」は、素直な感情で生まれた問いと向き合うことだ。

ぼくは、息子たちにも、一緒にやっている新人マンガ家たちにも、自分が見つけた「とは」を大切にしてほしいと考えている。そのためには、ぼく自身が正解を求めてない姿勢を見せる必要があるのだと思う。

いま、不登校の長男は、花まるの「いもいも」に通っている。

正解を求める学校へは行くことができないけど、どんな個性も受け入れるいもいもへは喜んでいく。いもいもの先生たちの、正解を求めない姿勢が徹底していて、どんな子供も、ここは自分は受け入れてくれると思うのだ。

ここのブログでは何度も受け入れることについて書いている。僕は、判断保留の姿勢を身に付けたいと思って、思考を続けている。


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正解主義の「では」派と、なぜなぜ主義の「とは」派

佐渡島庸平(コルク代表)

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