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どういう“枠組み”を持つと、自分を夢中にできるか?

“今後……二度と「頑張る」とは言わない。
「全力」「がむしゃら」「必死」。これらの言葉も今後使わない。”

『ドラゴン桜2』で、桜木は生徒たちに向かって、「頑張る」という言葉を口にすることを禁じる。

「頑張る」は精神的興奮で課題克服を図ろうとする勢いだけの感嘆符でしかない。「頑張る」という言葉は使わずに、「なんのために、何をするか」を考えて、機能的に話すことを習慣にしようと、桜木は言う。

自分を追い込んで、何かをやり遂げたとしても、大したものは生まれない。たとえ何かを成し遂げたとしても、持続可能なものにはならない。もし頭の中で「もっと頑張らなきゃ」という言葉が浮かんできたら、それは自分が思考停止に陥っているかもしれないアラートだと思ったほうがいい。

コルクでは行動指針のひとつに「やりすぎる」を掲げているけど、これも「がむしゃらに頑張る」ことではない。

自分のものさしがあると、自然とやりすぎる』というnoteに詳しく書いたけれど、「やりすぎる」 の行き着く先は「夢中」だ。

自分の中に明確な理想があり、それを満たすために、または超えるために試行錯誤を重ねていく。本人としては当然のことをしている感覚なのだが、周囲から見ると「夢中」になっているように映る。そうした状態が、ぼくが考える「やりすぎる」だ。

だから、「やりすぎる」を実行し続けようと思ったら、自分の「好き」への解像度を高め続けないといけない。どういったものを自分は美しいと思っているのか。どういったものに自分は気持ち悪さを感じるのか。
自身のものさしへの深い理解が必要となる。

そして、「やりすぎる」ために、もうひとつ重要だと思うことがある。

試行錯誤の追求が楽しくなる「枠組み」をもつことだ。
仕組みと世界観から、枠組みは作られる。

最近、ダイエットをはじめたのだが、仕組みがないと続けられない。

長い間65キロ以下だったけど、65の壁を超えてからはダラダラと増え続け、今年に入って70キロの壁を超えた。そこからはあっという間に3ヶ月くらいで74キロまでいき、食べる量は一向に減らないので、工夫しないと80キロまでいくと感じ、ダイエットをすることにした。

そんなタイミングで、筋トレに関する情報発信で有名なTestosteroneさんから相談が届いた。自身がプロデュースしているダイエットアプリ『OWN.』を使った体験記を、マンガ家を探してきて、マンガで描いてもらうことはできないかという相談だ。

ぼく自身がダイエットに取り組みたいタイミングだったので、ぼくが被験者となり、その様子をマンガにしていくことを思いついた。さらに、自分でAIを使ってマンガを描き始めたタイミングでもあったので、ぼくがAIでマンガを描き、マンガ家のいずいずに添削してもらうアイデアは思いついた。

ぼくにとっては一石三鳥のような座組だが、Testosteroneさんからも了承をもらい、その座組で進めることになった。

ぼくのAIマンガについては、例えば、こんな感じだ。

ただ、ダイエットを開始した当初は、自分がちゃんとやり遂げられるかを不安に思う気持ちもあった。多くの人がそうであると思うけど、ダイエットも筋トレも苦しいし、めんどくさい。途中で放棄してしまわないか心配だった。

だが、ダイエット開始から数週間経った現在、ダイエットをすごく楽しめている自分がいる。

『OWN.』は筋トレと食事管理がセットになったようなアプリで、目標体重にあわせて最適な筋トレメニューや食事を提案してくれる。しっかりと使いこなそうとすると、毎食ごとのカロリーや栄養を細かく記録しないといけない。最初のうちは、このカロリー計算がめんどくさくて、使わなくなるのも時間の問題だと感じた。

周りをまきこんだのは、途中でやめると恥ずかしいからで、恥の気持ちで自分を抑制しようと思ったのだ。でも、それだけだと、自分の意志をコントロールするのに仕組みとして弱い。

そこで、途中から、「これはゴルフと一緒だ」と考え方を変えた。

ぼくの場合、1日あたり2010キロカロリーの摂取が必要で、タンパク質・糖質・脂質の内訳の目標もある。この全ての数字を、綺麗に揃えることをパーとしようとルールにした。

1日で摂取するカロリーのうち、一番数字が多いのは夕食だ。だから、夕食はゴルフで言うところのドライバーを使ったショット。昼食はセブンアイアン、朝食はピッチング。こうしてピン付近まで、ボールを運ぶ。

そして、最後は目標数値にピッタリと着地できるように、足りないカロリーや不足している栄養素を補うものを食べる。ゴルフでいうパターのようなもので、慎重に食べるものを選び、ボールをピンに沈める。

こんな風に、ゴルフの世界観で考えだしてから、「これはゲームとして面白い」と感じるようになってきた。

どういう食事や食品が、どれくらいのカロリーや栄養を含んでいるのか。どういう三食の組み合わせをすると、最終的な着地として理想的なのか。そのための試行錯誤が面白い。

そして、初めはきつくて続けれないと思った筋トレも、ヨガを続けていたおかげで、やり出したら楽しくなってきた。最近は、筋トレについてもっと知りたいと思って、自分でYouTubeで調べるようにもなった。

自分にフィットする仕組み。そして、自分が楽しめる世界観。
こうした「枠組み」があるおかげで、夢中になれている。

今までダイエットをやっていたときは、「なんとなく食べる量を減らそう」くらいの漠然とした感じでやっていた。その時のダイエットは、食欲との我慢比べみたいな感じで、全く面白くなかった。頑張ってしまっていて、なんとなくやめて、すぐにもっと増えていた。

どんな仕組みがあると、ゲームのように楽しめるか?
どんな世界観をもつと、自分をワクワクさせられるか?

ぼくはこんなふうな考え方で、「やりすぎる」を意識しているのだなと認識する出来事だった。

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表では書きづらい個人的な話を含め、日々の日記、僕が取り組んでいるマンガや小説の編集の裏側、気になる人との対談のレポート記事などを公開していきます。

『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡…

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