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お金を何に支払ってもらうのが幸せか?

プロに無償で仕事を依頼することの是非を論じる投稿をよく目にする。

「友達だからといって、タダ同然で依頼するなんて非常識」
「技術を磨くのに時間とお金がかかっているのだから、無償は失礼」
「値引きや無償の依頼は、プロへの敬意がない」

大抵は、このような「プロにはお金を支払うべき」という論調が強い。

こういった投稿を見るたびに、ぼくの心はざわつく。もちろん僕だって「無償で本を編集してください」と頼まれると、「なんで?」と思うし、断る。だから、タダで依頼する人を怒る人にどちらかという共感している。

でも、心の中で「本当にそれでいいのだっけ?」という気持ちがグルグルする。

世の中には色んなプロがいる。文章を書くプロもいれば、絵を描くプロもいるし、演奏をするプロもいる。そして、磨き上げた技術を活かして、お金を稼いでいる。

何のために技術を磨くのかというと、好きだからだ。お金のために技術を磨いた人は、一流まで到達しない。一流になった人は、好きだからやっている。

好きこそ物の上手なれと言うが、プロとして誰からも認められる技術をもっている人は、自分が向き合っているものへの愛が圧倒的に強い。好きでやっていることは一生懸命になれるし、勝手に勉強したり工夫したりするので、自然と上達する。逆に、義務感や仕事感覚でやってるものは、長続きしないし、工夫も起こらない。

そして、幸せって何かを考えた時に、僕は「好きのおすそ分け」を喜んでもらえた時だと思う。それは、モノに限らない。好きで培った技術を、友人や知人におすそ分けし、喜んでもらう。

無償で誰かに技術をおすそ分けすることは、プロだとしても、この上なく喜ばしいことではないだろうか。そして、そのお返しとして、相手からも何かしらのおすそ分けが返ってくる。おすそ分けを逆に返すことができないと思う人が、お金を払う。そんな関係性が広がっていくと「人生が豊かになる」のではないか?

もちろん、生活をしていくためにお金は重要だ。技術をお金に変える方法や仕組みも考えていかないといけない。だが、全てを一緒くたんに「プロだから」という理由でお金を絡めていたら、豊かな関係は築けない。

ぼく自身、編集という技術を使って生活をしているが、「この人といい関係を築いていきたい」「この主張をもっと世の中に伝えたい」と考えた時に、こちらから編集を無償で手伝わせてもらうこともある。そうして貢献できた時こそ、技術を自分が持てていたことに喜びを感じる。

技術をどう売り出していくかを考えるより、好きのおすそ分けだけで生きていけるような状態を、どうやったら築けるかを僕は考えている。

このnoteマガジンも『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』とタイトルをつけているくらいで、「好きのおすそ分け」が人生を豊かにするというのが、ぼくのマイルールのひとつだ。

そして、11月22日に開催される『コルクラボ文化祭2020』は、コルクラボメンバーの好きのおすそ分けで成り立っているイベントだ。

3年連続3回目となるコルクラボ文化祭だが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、 はじめてのオンラインでの開催となる。

「こんな状況でわざわざ文化祭を開催するのか?」

様々なイベントが開催中止となるなかで、メンバーのみんなが何度も話し合いをして、オンライン開催を決定した。

コルクラボは、これまでも「好きのおすそ分け」を大切にしてきたが、今こそ「好きのおすそわけ」を体現したい。

そんな想いが『コルクラボ文化祭2020』には詰まっている。

普段はそれぞれの道でプロとして活躍しているメンバーが、忙しいなか、各自の好きをおすそ分けす形で成り立っている文化祭を見るたびに、「これこそ豊かな関係だよなぁ」と毎年感じる。

プロとして技術を磨くのは、あくまで手段。
大切なのは、それをどう使うのか。
お金を稼ぐことも、手段のひとつにすぎない。

技術を使って、自分の人生をどう豊かにしていくか。

それが技術を身につける本当の意味なのだと、ぼくは思っている。

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佐渡島庸平(コルク代表)

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