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大切なのは「好きのおすそ分け」。 クリエーターのためのSNS戦略とは?

「まずは、フォロワー1万人を目指そう!」

プロの漫画家を育成する『コルクラボマンガ専科』で、新人マンガ家に投げかけている言葉だ。

以前の僕であれば、「新人賞をとろう!」と伝えていたと思う。もちろん、新人賞の受賞を目指すことは何も間違っていない。だが、どうやったら自分のフォローを獲得できるかを、新人には最初に考えてほしい。

なぜなら、マンガ家として長く活躍したいなら、自分を応援してくれるフォロワーの存在が重要となるからだ。

これはマンガ家に限った話ではない。これからの時代、クリエーターは創作の腕を磨くだけでなく、ファンと直に繋がって、自分自身が一つのメディアとなる必要がある。

そのため『コルクラボマンガ専科』の第二回の授業では、クリエーターとして生き残るための「SNS戦略」をテーマに講義をしている。以下は、ほぼ変更なしの書き起こし原稿だ。

★ 第一回『プロのマンガ家になるとは?』はコチラ

※ 現在、『コルクラボマンガ専科』は第2期を開催中。第3期への参加に興味のある方は、こちらに登録いただければ、最新の情報を送ります。

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マンガは、紙でなくスマホで読まれる時代へ

SNSの話をする前に、皆さんを取り巻くマンガの市場環境から話をはじめます。

違法コピーした漫画などを掲載する海賊版サイト『漫画村』が2016年1月に開設され、2018年4月に閉鎖しました。この漫画村の影響で、マンガをWebで読む習慣が広がったせいか、漫画村の閉鎖後、マンガの電子書籍市場は伸び続けています

全体でいうと、国内の書籍市場は前年比5.7%減なのに対して、電子書籍市場は11.9%増。そのなかでもコミックは14.8%増で、デジタル市場が拡大しています。

※参考:公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所

特に、めちゃコミebookjapanは、この2年間で大きく成長をしました。めちゃコミは、ほとんどのマンガが縦スクロールで表示できます。スマホで読んでも、非常に読みやすいのが特徴です。

前回の講義で、韓国と中国を中心に、世界では縦スクロールマンガの存在が大きくなっているという話をしました。海外では、紙ではなく、スマホでカラーのマンガを読むのが当たり前になっています。ページ見開きのモノクロマンガを読むのは、日本だけになりつつあります。

めちゃコミが勢いがあるという事実から、日本でも、デジタルの縦スクロール・カラーマンガがスタンダードになると僕は予測しています。

マンガ家の稼ぎ方も、デジタルシフトする

そして、市場環境の変化により、マンガ家の稼ぎ方も変わるはずです。

これまでのマンガ家は、雑誌から支払われる原稿料が収入の中心で、単行本や電子書籍の印税はボーナスのようなものでした。

つい最近まで、マンガ雑誌の売り上げは基本的に黒字でした。週刊誌だと年に約50号発行するので、1号当たり500万円の黒字だとすると、年間2億5,000万円の黒字になります。そこに単行本や広告の収益を上乗せするのが、以前の出版社のビジネスモデルで、その利益から作家に支払われる原稿料が捻出されます。

ただ、それは過去の話で、現在は雑誌が売れなくなり、雑誌の赤字分を単行本の利益で取り戻す仕組みになってきています。作家に支払われる原稿料は下がり、単行本を発売した時に絶対に売れるものじゃないと出版社がゴーサインを出さなくなりました。

では、マンガ家はどこから稼げばいいのか?

僕は、デジタルのマンガプラットフォームからの原稿料が収入の中心になると予測しています。

中国と韓国は、既にマンガプラットフォームが成長して、マンガ家はそこからの収益だけで充分に稼げる状態になっています。そして、日本のプラットフォームも急成長を続けている。近い将来、デジタルの原稿料でマンガ家が食べていく時代がくるはずです。

日本のデジタルマンガ市場の現状

マンガ家として生きていくためには、どのマンガプラットフォームが成長しているかは、知っておくべき情報です。

現在、市場はどういう状況なのかというと、マンガアプリで圧倒的に存在感を放っているのは『LINEマンガ』です。2018年の調査では、市場全体の57.4%の売り上げを占めていて、シェア2位の『ピッコマ』と4倍近い差がついています。

※参考:2018年マンガアプリ総決算

『ピッコマ』は、カカオジャパンが運営しています。LINEもカカオも韓国にルーツを持つ企業です。韓国の仕組みは圧倒的にマンガが読みやすいんです。

そして、『LINEマンガ』の勢いは今後も続くと思います。なぜなら、ユーザーにとって使いやすいアプリを運営するには、多くのエンジニアが必要だからです。LINEマンガでは、かなりの数のエンジニアが働いてます。Netflixも、動画を見やすくするために、凄まじい数のエンジニアがNetflixのためだけに働いています。そうしないと、アプリの世界では勝てないんです。

1社の強い企業が資金力を得て、次々と優秀なエンジニアを雇い、競合と圧倒的に差をつけていく。これが、マンガの世界でも進行していくと思います。

埋もれない存在になるためには?

ただ、『LINEマンガ』に自分の漫画を掲載して収入を得ようと思っても、多くのマンガ家がそこを目指してやってくるので、掲載するだけでは稼げません。

プラットフォームの中で、読まれる存在になることが大切なのです。

現在は、「情報爆発の時代」だと前回の授業で言いました。今の10代は、LINEやメッセンジャーなどで、1日に500件くらいの個別メッセージに対応していると言われています。毎日、膨大な情報に囲まれて、僕らは生きています。

そんな時代において、どうやって自分のマンガに気づいてもらって、興味を持ってもらうのか?

そのためには、自分を応援してくれるフォロワーの存在が必要です。

自分の作品を気に入ってくれて、作品を一緒に広めたいと思ってくれるファンがいないと、作品を多くの人に届けることは難しい。これからのマンガ家は、SNSを運用して、ファンとの繋がりをつくることが大切になるのです。

そこで、今日の授業では、クリエーターのための「SNSの運用」について話をしていきます。

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佐渡島庸平(コルク代表)

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