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自己肯定感が低い人は、偏見メガネに囚われている

人間は「偏見」という名のメガネをかけて、世界を見ている

多くの人はこのメガネに対して、「自分はメガネなんてかけていない」「メガネを外して世界を正しく見ることができている」と思い込んでいる。

だが、『観察力の鍛え方』の本にも書いたが、人は偏見メガネを絶対に外せない。むしろ、自分がかけているメガネはどんなものかを理解し、それを利用したい。メガネを理解することが、観察を促進する。

とはいえ、自分の中にある偏見を認知することは簡単ではない。偏見とは育った環境の中で自然と身についていくものだから、自分に無意識のうちに勝手にインストールされてしまう。

ぼくが思うに、自己肯定感が低い人とは、自分の偏見の物差しで、自分を評価してしまっている人だ。「こうでないといけない」という囚われた価値観の中で、その通りに振る舞うことのできない自分に失望してしまう。

自分を悩ませている前提にある考え方や価値観は、自分の偏見でしかなく、世の中における絶対ではない。そのことに気づけると、随分と気持ちは楽になるはずだ。

価値があることをしたいと多くの人が思う。「価値」は、何か絶対的な正解のような気がしてしまう。しかし、価値は時代ごとに揺れている。20年経つと価値あると思っていた行動や思想が、時が経つにつれて、無価値になってることはザラにある。

では、どうやったら、自分の中で「当たり前」と思っていたものが、「偏見」だったことに気づけるのか。

それは、歴史を学ぶことだ。

先日、ぼくのYoutubeで、コテン代表の深井さんと深井さんの著書『歴史思考』について対談させてもらった時に、歴史を学ぶ意義を再認識した。

深井さんのユニークなところは、現在の価値観から歴史を語るのではなくて、その時代の価値観に沿って歴史を語っていることだ。

例えば、ガンジーといえば、インドで独立運動をする前に、約20年間ほど南アフリカで弁護士として活動していたことがよく知られている。現在のぼくらの感覚で弁護士という経歴を見ると、ガンジーは若い頃からエリートコースを歩んできたように感じてしまう。

だが、それは現代の価値観を元にした誤った解釈だ。

当時のインド社会における司法試験の合格率は9割を超えていて、ガンジーのような上流階級で育った人にとっては、就職するのがそんなに難しくない職業だったそうだ。

それだけではなく、若い頃のガンジーは引っ込み思案で、人前で話すことも苦手だったそうだ。留学先のイギリスでの生活にも馴染めず、弁護士になってからも苦戦の連続だった。

多くのガンジーの伝記は、イギリスに留学したり、弁護士を長年していたことから、ガンジーは昔からスゴい人だったかのような論調で語られている。でも、それは現在の価値観から、偉人としてのガンジーのイメージを高めようと印象操作しているように感じる。

でも、深井さんの本を読んでいうと、ガンジーの人生も上手くいかないことが多くあったし、パッとしない時期があったことも知れる。偉人と呼ばれている人も、完璧ではないのだ。逆に、その苦労が、ガンジーを偉大な人へと成長させていった。

こういう風に、当時の価値観・文化・風習に沿って見ていくことで、歴史上の人物たちの本当の姿が浮かび上がってくる。そして、歴史上の人物たちの様々な人生を知ることで、「こういう生き方でもいいんだ」と自分の中の常識が揺さぶられていく。

ぼくが『歴史思考』を読んで特に印象的だったのは、人類史を見ると、キリスト教の世界の外では、男性同士で普通にセックスをしている時代が長いことだ。

日本史を見ても、織田信長をはじめ、多くの歴史上の人物が男性間セックスを経験していることが判明している。江戸時代には、将軍から庶民まで、どの身分でも男性同士でセックスをしていたそうだ。

近年、同性愛についての議論が活発になっているが、約150年前に遡ると、同性愛は「当たり前」だったのだ。そう考えると、絶対的に普遍な「当たり前」など存在しないことがわかる。

自分が「当たり前」だと思っていたものが「当たり前」でないと気づいた時、どんな偏見メガネをかけていたのかを認知できる。

実際、深井さんがやっている『コテンラジオ』では、リスナーの人たちから「悩みから解放された」「気持ちが楽になった」といった感想がたくさん寄せられているそうだ。

ぼく自身、無意識のうちに囚われている価値観が、まだまだあるような気がする。深井さんの本を読んで、歴史を学ぶことの面白さを感じた。

(▼)深井さんとのYoutube対談の動画


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