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マンガの制作を細分化する

ゼロから車を作ろうと思ったら、たくさんの試行錯誤が必要だが、もしも、もうすでに車がある社会で、車を作ろうと思ったら一番初めにやることは分解だ。分解して、研究して、分担して作業することで、再現性が高まる。

まずすることは、分解だ。

堀江さんは、こんな風にインタビューで答えていてマンガが最強のメディアになると予想している。

堀江さんと打ち合わせをすると、マンガで一番難しいところはどこ?と質問される。そこがわかって、研究すれば、もっとたくさんのいいマンガを作れるようになるはずだと。

同じ日にメタップスの佐藤さんと打ち合わせをした。佐藤さんは、タイムバンクでクリエイターが食べていけるようになる仕組みをつくりたい。それを率先して自分がやるために、原作を書いてみようというのだ。それで、マンガを作るという行為がどんな要素でできるのかを教えて欲しいという。

ビジネスの仕組みを理解している二人が、同日に、マンガの分解の仕方を質問されたというのが、非常に興味深かった。マンガの制作が民主化される時代がきていることの象徴のように、僕は感じた。

「営業」も人間力だから、仕組み化できないといわれていた。「経営」もだ。でも、それを細分化し、チームでできるようにした企業が、新しい世界を切り開いた。「営業」はリクルートだし、「経営」はマッキンゼーだ。

マンガはまず、

設定

キャクラクター

の二つを考えるところから始まる。

設定がよくできている作品は、宣伝がしやすい。その設定を一言聞くだけで、面白そう!と感じるからだ。プロデューサー主導タイプの作品は、設定がよくできている。

キャラクターを作り出すのが、難しい。魅力的な人物とは、完璧なわけでないからだ。欠点を持ちながら、何かを成し遂げる特別な能力のある人。そういう人を創造しなくてはいけない。

次に必要なのは、

美術

キャクターデザイン

だ。設定、キャラクターをより具体にしていく。

そして、

ストーリーの原案、あらすじ

ストーリーの脚本


ストーリーの演出

作画

今までのマンガでは、この6つの工程、すべてを一人の作家がやっている。たまに、原作とマンガに別れる時があるが、それは、1、3、4を原作が担い、他をマンガ家が担当している。

ドラゴン桜2では、1〜5を三田さんが担い、6だけ完全に外部に任せるというやり方を試みている。

僕が新人作家を発掘する時は、1のキャラクターを生み出せるか、5のストーリーの演出をできるかを、チェックポイントにしている。それ以外の工程はさらに細分化できるので、他の人でも再現可能だと思うのだが、1、5は、まだ細分化するための言語化ができていない。暗黙知が多い領域だ。

様々な職人技の歴史をみていると、細分化する行為は、その技への冒涜とみなされる。寿司職人の技術に対して、堀江さんが疑問を呈した時も同じだった。『トヨタ物語』を読みながら再確認したのだが、トヨタが職人の技術を細分化し、理解し、工場での作業へと変えた時も同じような反発を受けていた。

細分化するためには、その対象のことを深く理解しなくてはいけない。細分化して、多くの人が関われるようにすることは、その対象を愛しているが故の行為だと思っている。

イラストは、Pixivなどの力によって、民主化された。マンガはまだまだだ。これから、多くの人が参加して、くだらないものもたくさん増えて、たくさんの試行錯誤が繰り返されて、本当の民主化が起きて、マンガは進化するのではないか。

貸本が雑誌になり、週刊連載という仕組みがマンガを進化させた。同じように、細分化され、たくさんの人が得意なところで関わっていくことで、マンガは進化していく。そうやってできたマンガを読みたい、編集したいというのが僕を突き動かす力だ。

細分化していった時に、協力しあう行為を「ラリー」と呼ぶとしっくりくるのではないかと考えている。

コルクBooksは、マンガの民主化をCTOの萬田と徹底的に議論してできたサイトだ。まだα版だが、ここからより面白いプラットフォームにしていきたい。
https://corkbooks.com/


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