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「ビュッときたらバシッ!」で通じ合えるのが超一流

新人マンガ家と一緒に漫画作りをしている。もっとうまく打ち合わせをしたいと思って、スポーツの事例を調べたりする。

コルクラボマンガ専科という講義のために、僕の持っている暗黙知を形式知にしようと言語化する。かなりうまく言語化できたと思っても、何かが零れ落ちてしまっている。

どうすれば伝わるのだろうかと必死考えていて、野球の長嶋茂雄さんについて、ふと考えた。

長嶋さんは、言語化が下手な人として有名だ。選手への指導は、「スッと」「キューッと」「パーンと」といった擬音語ばかり。僕らの世代は、テレビの『珍プレー好プレー』で、何を言っているのかわからない長嶋さんの指導法を笑っていた。

長嶋さんの言葉は、的外れなのか。それとも、一流の人にしか通じない何かがあるのか。「野球は天才でも言葉が苦手で、魅力的なところがあるよね」という番組の演出を僕は無邪気に信じていた。でも、僕らがレベルが低くて、長嶋さんの言葉の解像度の高さを理解できていないだけではないか。

ある一定のレベルを超えると、指導者と選手の間に生まれる意思疎通は、非言語なものへと変わっていく。一般人には計り知れないコミュニケーションが行われていたのでないか?

松井選手のヤンキース時代、長嶋監督は電話越しに素振りを行わせ、そのスイングの風を切る音を聴いて、状態を確認しアドバイスを送っていたらしい。いい音は「ピュッ」みたいに高い音、悪いときは「ブーン」になってると。

このレベルでコミュニケーションできてこそ一流なのではないか。

そんな風に考え始め、最近は、感じたことを何がなんでも言語化はせずに、なんとなくなまま言葉を使っていいのだと開き直っている。

最近、僕がよく使う言葉は「フォース」だ。若者言葉で、いいことも悪いことも全部「やべえ」で表現してしまう感じで、僕は全てを「フォース」で話している。

「絵にフォースがない」「動きのどこにフォースが眠っているのか感じろ」「物語のフォースがどこにあるかを一瞬でわかるようにしろ」とか。最近は、インスタライブやzoomで新人との打ち合わせを配信しているけど、傍から見ると何を言っているのか全く意味不明かもしれない。

でも、すごく不思議なことに、フォースという言葉を多発する方が、伝えたいニュアンスがうまく伝わっていたりする。

言語化できないことを、言葉でどのようにコミュニケーションするのか。それが僕が今気になっている話題だ。

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