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クリエイターは抽象レベルの模倣をしろ!!

新しいものを生み出したいのか?
それとも多くの人に愛されるものを生み出したいのか?

両方と答えるとクリエイターがほとんどだろう。
しかし、この二つは、矛盾した存在。
両方が同時にできることはない。

そのことは、研究でわかってきていて、世間で「イノベーター」と呼ばれる人たちは、実は「模倣者」であり、その前に世間から知られていないクリエイターが存在する。

市場から圧倒的な支持を得るのは、模倣(イミテーション)「ずらし」なのだ。

ジョブスといえば、”stay foolish、愚か者でいろ”という言葉が有名だが、一見それと真逆に思えるこんな言葉も残している。

“次の革命を起こそうとするな。
スマートで手頃な消費者製品を作り出せば、それでいい”

ゼロから生み出された真新しいアイデアは、多くの人に受け入れられない。ただ、一部のアーリーアダプターと呼ばれる尖った人には熱烈に歓迎される。

そして、アーリーアダプター達が複数の模倣を生み出す。はじめのアイデアを熟成させた改良版が出回る。でも、ここでも市場を大きく変えるヒットは登場しない。

更に、最初の模倣を成熟させた2回目の模倣が登場する。この段階に至ると、数多くの模倣が市場に溢れ出す。そのうちのどれかが、大ヒットし、世間からはイノベーションと呼ばれる。

つまり、大ヒットは「2回」の模倣で誕生する、ということだ。

「模倣」というとネガティブに聞こえるかもしれないが、新しいアイデアが多くの人に受け入られるようになるには、「熟成」が求められる。「模倣」という言葉は、日本では、悪いこととされがちだが、ズラしと考えてはどうか?

細谷功さんの『具体と抽象』の中には、具体をみて、そこから抽象的な理解をして、全く違う具体を生み出す。それが模倣だということが書かれている。

具体の猿真似ではなく、「抽象レベルの模倣」が重要なのだ。

このような研究がまとめてある『コピーキャット』を僕が読んだのは数年前だが、なぜ今頃思い出したのかといえば、マーダーミステリーゲームの『アイとアイザワ』プレーしにいったからだ。

『マーダーミステリーゲーム』が日本でも流行の兆しを見せているが、まさに、2回の模倣で大ヒットが誕生するケースの好事例だ。

『マーダーミステリーゲーム』は、殺人事件をテーマとした体験型の推理ゲーム。プレイヤーごとに異なった台本が与えられるところが大きな特徴で、参加者は他のプレイヤー(7~10人程度)と協力して事件の真相に迫っていく。

このゲームで、中国で流行って、日本に輸入されきたと思っている人が多い。しかし、実は、このゲームを生み出したのは、日本人だ。

『リアル脱出ゲーム』の生みの親のSCRAPが、『憂鬱な10人の容疑者』というタイトルを2013年頃に発表している。バラバラの脚本を用意し、参加者全員が違う脚本を読んでプレイするゲームで、マーダーミステリーゲームの核となる部分は全く同じだ。

ただ、『憂鬱な10人の容疑者』は謎解きのファンの間では好評だったものの、世間的にはあまり話題にならなかった。結果、日本で模倣する人が出てこなかった。

ところが、SCRAPにはサンフランシスコに拠点があり、そこで『憂鬱な10人の容疑者』を実施したところ、アメリカのほうがウケが良かったそうで、模倣する人達が沢山現れたそうだ。

そして、そのひとつが中国に渡り、中国でさらに模倣者が現れ、一気に大ブレイクした。

そして、中国のブームを見て、日本でも流行らそうとマーダーミステリーゲームが輸入されたのだ。日本で「マーダーミステリーゲーム」を運営している人は、『憂鬱な10人の容疑者』を知らなかった。

日本からアメリカへ。アメリカから中国へ。中国から日本へ。現在は、魅力的なアイデアであれば、国境を越え、超短期間の間に磨き上げられる。この圧倒的なスケール感とスピード感は、過去のどの時代の人達も経験したことはないだろう。

「マーダーミステリーゲーム」は磨きこまれている。やらないと面白さがわからない体験型だから、やってみることをおすすめする。

アイデアは、グルグルと回っていく。
誰のところで花開くかは、運だ。

リアル脱出ゲーム自体が、名前が示す通り、ネット上で流行っていた脱出ゲームのリアル版という模倣だ。

重要なのは、具体ではなく、「抽象レベルの模倣」なのだ。

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