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ヒットは結果で、目標になりえない。

僕が不安になるのは、自分でうまくいっていると感じている時だ。

うまくいってない時は、どうしようかと試行錯誤しているから不安にはならない。うまくいっていると感じながらも、まだ結果が出てこない時期に、間違った方向へと突き進んでいて、簡単に戻ってこれなくなるのではないか?と考えてしまう。

何かがおかしいのかもしれない。無意識がそれを気づかせようとしていて、不安なのではないか?

そういう時に、最近の僕は、コーチングを受ける。それで、そもそものところに立ち戻る。

何のために働いているだろうか?

現在の僕は、新人マンガ家たちと「縦スクロール・オールカラー」による作品づくりに集中している。「大ヒットを生み出す」ことが目標だ。

コーチングをしていて、僕はふと立ち止まる。僕は本当に大ヒットを出したいのか?

「ヒットを出したい」これを当たり前の欲望だと思って、自分の目標にしていた。しかし、これは「お金が欲しい」を言い換えているにすぎない。そのお金を使って何がしたいのか。もっと根本にある、お金と関係ない、自分の欲望と向き合う。お金は社会の仕組みが必要としているだけで、作られた後付けの欲望だ。自分の欲望へと一直線ではないから、僕は不安を感じていたのかもしれない。

では、僕の心の奥底にある欲望はなんなのだろう。

飽きだ。世の中に飽きている。この飽きによる渇きを潤したい。世の中に、この渇きを潤せる作品がほとんどない。

大前提として、僕らは仕事をするために生まれてきたわけではない。これだけ社会が豊かであれば、もっと自由な時間を享受できる。しかし、ほとんどの人はストレスを抱えながら仕事をしている。自分から枠組みの中に入り、ストレスを感じている。逃げたいと言いながら、仕事にしがみついている。

一方、創作とは、社会の枠組みの外に出る行為だと僕は考えている。

なぜ、作家が作家になるのかというと、自分の感情を表現したいからだ。「こうあるべき」というスタンダードが提示されている社会に対して、「自分はこう思う」「自分はこう感じている」という感情や主張を届けるための手段として、作家は表現手段を磨いていく。

だが、職業として作家になろうとすると、途端に利益を生むためのマーケティングが求められる。社会の枠組みはみ出るはずの創作が、社会の枠組みに最適化する形に整えられていってしまうのだ。

もちろんマーケティングが「悪」だというつもりはない。既存のコンテンツ産業の仕組みでは、ひとつの作品を届けるために多くの人が動く。そうすると、必然的に大きな売り上げを生む必要が生じる。その結果、作者の感情や主張よりも、数字が優先されて、本末転倒になる。

だが、インターネット上で作品を届け、ファンから直接課金をもらえるファンコミュニティを築くことができれば、作家は自分の感情を優先して表現できる。

僕は、作家がファンコミュニティを築くことを手伝うことで、作家が自分の表現を研ぎ澄ましていく姿を見届けたい。それで生まれてくる作品は、僕の心の渇きを癒すのではないか。

僕は、うまく設計されたものではなく、作家の荒々しい感情が閉じ込められた作品を読みたいのだ。

そして、僕が深く心を揺さぶられる作品が生まれてくれば、同じように感動する読者がきっといる。そうして、結果的にヒットが生まれてくる。

あくまでヒットは結果。
仕事をする根本の目的は、自分の心の渇きを癒すことだ。

自分の心の中にある欲望の順番をみつける。そうすると、社会のためでも、誰かのためでもなく、自分自身にとって、仕事をする理由が見つかる。

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佐渡島庸平(コルク代表)

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