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「迷惑をかけてはいけない」という呪い

思考停止ワードを、僕は集めている。

人の能力に大きな差はない。
一番違うのは、習慣。
いい習慣によって人の能力は花開く。
これが僕の価値観だ。

その習慣作りを邪魔するのが、思考停止ワード。

思考停止ワードは、一見、良い意味や前向きな言葉のように思えるから、たちが悪い。意識的に排除できるようになるため、言葉を集めている。

例えば、以前noteに書いたが、「苦手」は思考停止ワードのひとつ。

一緒にマンガ専科の講師をしている山田ズーニーさんは、苦手が思考停止を促すことを「バカの壁」という表現を使ってブログに書いていた。


そして、最近、あらたに見つけた思考停止ワードがある。

「迷惑をかけないように」だ。

日本では教育において「迷惑をかけないように」とよく言われる。僕もよく言われたし、僕自身も息子たちに言う時がある。

でも、これは圧倒的に思考停止を促す「呪いの言葉」なのではないだろうか。

麹町中学の工藤校長先生や乙武さんと話すうちに、そんな気がしてきた。

乙武さんがコルクラボに来た時に、ラボのみんなにこんな質問をした。

「車椅子で生活していたとします。

自宅のすぐ近くにあるA駅には、階段しかない。家から30分かかるB駅には、エレベーターがある。

あなたは、どちらの駅を利用しますか?」

乙武さんによると、9割の日本人はエレベーターがあるB駅を選択するそうだ。

一方、ヨーロッパでは、9割の人が階段しかないA駅を選択する。

A駅を選択すると、周りに「迷惑」をかけるのか?
それとも、周りの「力を借りる」ことになるのか?

ヨーロッパでは、駅で車椅子の人がいたら助けるのが当たり前。そもそも当たり前すぎて、助けるという感覚すらない。車椅子の人も、周りに迷惑をかけているとは思わないそうだ。

全く同じ事象の意味が、真逆になってしまっている。

ヨーロッパだけじゃない。アジアでも、日本とは反応が違う。

ライターの岸田さんの記事で、こんなエピソードがあった。車椅子のお母さんとミャンマーに行くと、ミャンマーの人達は車椅子を我先に押してくれた。その行為によって徳を積んで、より良い来世を送ることができる。彼らは、滅多にない機会が目の前にやってきたと捉えたらしい。


そもそも社会とは、他人と繋がって、支えあって、成り立っている。

「他人に迷惑をかけてはいけない」という時の迷惑が、「他人の力を借りてはいけない」という意味だとしたら、誰一人生きていけなくなってしまう。

何が「良い」力の借り方で、何が「悪い」借り方なのか。

頼られた側は、自分の出番がやってきたと思って、張り切り、喜びをもらうかもしれない。

「迷惑」を辞書を引くと、「他人のことで、煩わしくいやな目にあうこと」とある。嫌な目だと相手が感じた場合が迷惑である。

人が何を嫌な目だと感じるのか?
人それぞれで、そこに統一の解はない。

日本では、「迷惑をかけない」という言葉を大切にするあまり、他人との関わりを失くす方に走ってしまっている。

不幸せは人間関係から生まれる。
だが、幸せも人間関係から生まれる。
人は、どうやっても一人で生きていけない。

迷惑をかけない生きたかを学ぶくらいだったら、頼り方を学ぶ方が、ずっとその人を魅力的にする。

頼り方が下手な時は、迷惑と思われるかもしれない。だけど、それを繰り返していく中で、「あいつに頼まれると断れないんだよなー」と言ってもらえるようになるかもしれない。

「他人に迷惑をかけるから」は思考停止を生んでしまう。今の日本の閉塞感を打破するには、みんなが迷惑大歓迎という気持ちで、混じり合った方がいい。

「他人に迷惑をかけてはいけない」という考え方が、日本社会かけられた呪いのように思える。

「迷惑」という言葉を、頭の中の辞書から消す。
それが頼り方を知るはじめの一歩だ。

そして、僕のことを迷惑だと思ったら、頼り方の練習をしているのだと大目に見てもらえると嬉しい(笑)

***

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コメント (2)
きょう六本木のTSUTAYAでベビーカーを男ひとりで押していたら、欧米人男性から席を譲りましょうか、と拙い日本語で言われました。とても自然体で気持ちがよかったです。そんなときにこの佐渡島さんの記事、自分ならできるだろうかと考えさせられました。自然な助け合い、支え合いの文化が(まずは自分の身近なところからでも)広がるといいなと思いました。
すごい偶然!まさに、そうですね。僕もまずは自分から変えていかなきゃなと感じてます。
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