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研究者のためのエンジェル投資家になる(せりか基金2年目)

 エンジェル投資家とは、どんな人たちか知っているだろうか? 僕も、コルクを創業しなければ、出会うことはなかった。

 エンジェル投資家は、自分で一度事業を成功させ、資産を持っている。そして、自分の元にやってきた若い起業家に少額の資金提供をする。ぶっ飛んだアイディアであればあるほど、無名の若者が実現できると誰も思わない。だから、お金も人も集まらない。

 そんな時に、最初のひと押しをする。それがエンジェル投資家のやることだ。

 もちろん、ほとんどの投資は失敗する。でも、100、1000に一つの成功が、世の中を大きく変える。それを期待して、エンジェル投資家は、起業家に勇気と資金を与える。

 その後、事業が軌道に乗り出すとベンチャーキャピタルなどが、支援を開始する。

 このエンジェル投資家の仕組みが、日本で機能しだしたのはここ10年ほど。シリコンバレーは、30年ほど。この差が、今のアメリカと日本の差を生み出す原因の一つだ。

 

 せりか基金が2年目を迎える。

 1年間の活動を通して気づいたことは、研究者には、ベンチャーキャピタルのような組織は存在しても、エンジェル投資家に当たる存在がないということだ。

 せりか基金は、『宇宙兄弟』で小山宙哉が描いた世界を実現したいと思って始めた活動だ。物語は、逃避のためにあるのではない。多くの人の心を後押しして、現実をいい方に変える力がある。

 1年目、たくさんのマスコミが活動を紹介してくださり、多くの人が賛同してくださり、研究者に650万ほどの寄付をさせていただいた。

 日本で研究費は、企画段階で成功確率が高くないと降りない。もしも、研究途中で軌道修正をして、研究費を違う目的に使ったら、不正流用ということで弾劾されてしまう。初期の初期のどうなるかわからない研究は、今の日本の仕組みだと始めにくい。

 『宇宙兄弟』の中には、「本気の失敗には価値がある」という台詞がある。研究者の人たちが、挑戦しているなら、それを支援する。研究に集中してもらいたい。僕たちには、どの挑戦が、ぶっ飛んだ面白いアイディアかわからない。日本のトップの研究者が理念に賛同して、忙しい中、審査をしてくれることになっている。

 せりか基金は、一般社団法人で、公益社団法人ではない。公益社団法人であれば、寄付をした人は税控除を受けられる。そうした方が、寄付はたくさん集まる。でも、その方法にすると、今のせりか基金の研究者への寄付の仕方は、難しくなる。なぜその研究者に寄付をするのかの全ての人に納得してもらおうとすると、前例主義に陥り、ありきたりな研究にしか寄付ができなくなる。それだと本末転倒だ。

 寄付をくださる方に税制面でのメリットは用意できないけど、挑戦する研究者にメリットがある。その状態を担保するために、あえて社団法人のまま進めることにした。

個人の願いが集まって『みんなの夢』と呼べるようになったらそれはきっと叶うわ

「宇宙兄弟」の中でシャロンが発するこの言葉が、僕らが実現したいことだ。

いつも僕にサポートをくれている方、ぜひ、せりか基金へのサポートをお願いいたします。今週はそれが嬉しいです。

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