マンデラ

目に見えない傷の痛みは激しい

 ある人から、僕は、マネージメントよりもリーダーシップについて学んだ方がいい、とアドバイスをされた。

 マネージメント能力があがると、リーダーシップもついてくるものだという雑な認識しかしてなかったので、それ以来、リーダーシップについて考えるようになった。

 僕が尊敬するリーダーといえば、ネルソン・マンデラで、先週末は『信念に生きる−ネルソン・マンデラの行動哲学』という本を読んでいた。

 マンデラがどのように意思決定をするのか、など役に立つところはたくさんあった。でも、僕が一番、心惹かれたのは、同志が暗殺され、すぐに夫人の元にかけつけたマンデラが周りに言った言葉だった。

「彼女は非常に強い女性だ。しかし彼女の傷は目に見えない。目に見えない傷の方が痛みは激しいものだ」

 この他者への想像力が、マンデラを象徴している。そして、これはマンデラ自身の心の奥から発した言葉だと感じた。マンデラは、国中の人から愛された。家族を除いて。どれだけ人格者だとしても、マンデラは家族の心を癒すことはできなかった。そのマンデラの見えない傷はどれだけのものだったのか。

 僕自身は、20代の後半にプライベートでいろいろあって、どんな人も目に見えない傷を背負って生きているのだなと想像力が働くようになった。20代と30代の大きな差は、目に見えない傷への想像力の差だと思う。金銭的な自立よりも、そのような想像力がついたときに、僕は自分が大人になったと感じた。

 編集を担当した平野啓一郎の『空白を満たしなさい』という作品は、

パウル・ツェランの詩の引用から始まる。

どこにも痕のない咬み傷。それらとも お前は戦わなければならない、ここから。

 いい小説は、すべて、他者の見えない傷について描いていると言えるかもしれない。

 政治家と作家。遠い存在のように感じる職業だけど、僕は、どちらもが時代を変える力を持っていると考えている。だから、作家と作品を作るとき、その作品が世の中をどんな風に変えるのかを想像するのだ。

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コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。
コメント (2)
なるほどぉ。歳を重ねるほど見えない傷が見えるようになってくるから、私はずっと年上の人と話すのが好きで安心できるんだなぁということに腹落ちしました。
先ほど、小説「万引き家族」を読み終えたのですが、子ども時代に感ずるであろう、感じたであろう、ココロがキュイーンと鳴るような痛みを思い出したといいますか、顕在化できたといいますか。

そのあとに佐渡島さんのこの記事を読んで、あらためて余韻のようなものに浸っております。言葉の奥底(海底)には、言葉にできない感情がたくさんありますね。ありがとうございました!
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