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信用は、誰も見ていない地味な行為の時に貯まる

今週は、新人マンガ家4人、羽賀翔一、ホリプー、つのだふむ、やじまけんじと4泊5日の合宿をしていた。

ホリプーは、『マチネの終わりに』の連載がebook japanで始まっている。つのだくん、やじまくんは、11月からの新連載、羽賀くんは春からの新連載を控えていて、そのネームを進めるために、合宿を行った。各自自分のネームを進めながら、「マンガとは何か?」「自分にとってマンガを描くことの意味は何か?」ということを時間をかけて話し合った。

新人マンガ家と編集者が、打ち合わせをすると、どうやって今、目の前にあるこのマンガを面白くするのかという具体論をしてしまう。今回、僕らは、何度も「トキワ荘ではどんな会話がされていたのか?」ということを想像しながら話し合いをした。一人の力ではなく、チームの力で、マンガのあり方をアップデートしたいからだ。

去年の10月に、僕は時間の使い方を大きく変える意思決定をした。それまで、夜は毎晩、経営者との会食や経営者が集まるイベントに参加していた。そのような会食で、今、どんな変化が起きているのかという情報を得ていた。

でも、僕が世の中に対して、もっとも自分の価値で貢献できるのは、無名の新人を見つけて、時代にあった形で世に届けた時。それで、マンガ、編集の学校を始め、ほとんどの時間を新人マンガ家と過ごすようになった。

新人マンガ家とやることは、繰り返しの連続で、理解してもらうために同じことを何度も形を変えて伝え続ける。他の人に何をしているのかを話しても面白くない、とにかく地味な時間だ。

この地味な時間が花開くのは、早くて3年後だろう。今は編集者として信用を貯める時間だ。

「信用」を貯める時間は、すごく地味なもので、誰にも気づかれないものだ、と僕は思っている。

最近、「信用を貯める」時期と「信用を使う」時期を、逆に認識している人が多いのかもと感じることがあった。

新人マンガ家のやじまけんじの「コッペくんとしんぱいいぬ』という単行本を出版するに当たって、クラウドファウンディングを行った。

これの告知をする時は、注目されればされるほど、サポートする人が増えていき、達成感がある。すごく気持ちよくて、みんな頑張れる。自分のやっていることにみんなが注目してくれている。

一方、達成した後、商品を準備して、発送をする行為は誰も見てない。孤独な作業で、誰からも反応がない。だから、なかなか丁寧にコミュニケーションを行うのが難しい。

クラウドファンディングは、人が増えていく様子から、告知している時に信用が貯まっているように感じてしまうかもしれないが、逆だ。サポートしてくれるのは、過去の信用の結果であり、信用を使っている。周りの人に協力してもらうというのは、信用を使うことだ。

しかし、信用を使うことを怖がっていては、いつまでも信用は増えない。使った後に、貯めるための行為をする。すると、もっと大きな信用になって戻ってくる。クラウドファンディングの発送までが、まさに信用を貯める時間。誰も見ていない時に、どれだけしっかりとコミュニケーションをとり、またこういうことがあったら、サポートしたいと思ってもらうのか。

今までのビジネスの中心は、納品までだった。納品するまでに、全力を尽くす。でも、ネットで繋がり続ける中で、納品した後のサービスの方が重要になった。繋がった後に、どうやって満足し続けてもらって、レピートを繰り返してもらうか。レピートしてくれるのは、信用の証拠だ。

ファンとの関係値が、デートから結婚に変わってきたという比喩の方が伝わるかもしれない。デートは、過去の信用を使って盛り上げることができるが、結婚は信用の積み重ねで関係を築いていくしかない。

映えない、地味な時間をどのように過ごすのか。そこが、信用に大きく関わってくる。


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コメント (1)
信用を使っている、腹落ちしました。
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