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メッセージの曖昧さを隠す音楽

 作品は、個人から生まれる。しかし、その時代の作品をまとめてみると、やはり社会の色が濃く出ている。作家は、その社会の色を意識していない。でも、その影響を逃れることができない。

 『グレイテスト・ショーマン』を観に行った。いい映画だと思ったが、感動はしなかった。映画は、脚本、音楽、演技、美術などの総合芸術だ。でも、僕は職業柄、脚本が土台にあり、他の要素はそれを盛り上げるものとして捉える。脚本の弱さが、ずっと気になった。

 僕が観ながら考えたことは二つ。

 なぜ今、ミュージカル的な映画が増えているのだろう?

 「アナ雪」は「Let it go」、「グレテイスト・ショーマン」は「This is me」と極端な自己肯定が、作品の中心で歌によって伝えられた。努力をしない、ありのままの自分を肯定する作品がなぜ増えているのだろう?

 どちらも現在の社会の変化と関係しているように思う。

 今は、共感の時代だと言われる。

 情報が爆発して、価値観の多様化が進む中で、価値観が一致するメッセージを発することが難しい。だから、メッセージは、ぼやっとしていて、誰もが否定しない一般論になり、共感を誘うのに、音楽に頼ることになるのではないか。

 まだ僕の中で、うまく言語化できていないのだけど、音楽によって感情を揺さぶり、別のメッッセージを伝えるのは、何か違和感があって好きになれない。

 まだうまく思考しきれていないので、自己を肯定する作品が増えていることに関しては、有料部分で書くことにする。

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佐渡島庸平/コルク代表

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佐渡島庸平/コルク代表

2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、作家のエージェント会社、コルクを設立。

週刊!編集者・佐渡島の『好きのおすそ分け』

コルク代表・佐渡島が、「コンテンツのDJ」として自分の好きを届けていくマガジンです!編集者や経営者としての日々の気づき、注目しているクリエーターや作品、影響を受けた話などを配信していきます。また、マガジン購読者限定の特別コンテンツとして、有料者限定記事、公開日記、製作途中の...
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コメント6件

東進スクール現象と言ったらいいのかわからないけど、動画の時代になって、1つの科目にひとりのスーパースターしかいらないようなことが起きている。

これは、いずれ経営コンサルとか編集とか、知識ベースのサービス業の全てに起こることなので、個人が食べていくために「他人とどう違うか」「その違いは世の中に必要か」ということを深く考えざるを得なくなっている。

「ありのまま」でいいというメッセージはそういう時代の個人が抱える神経症的不安を束の間、癒す効果があるのではないかな、と考えてます。

「違い」は特定の分野でスペシャルな方が市場で可視化されやすいので、自分の興味をSNSなどでどう表明するかということまで個人が考えなければいけません。なので、逆に「ありのまま」でいいという楽園がより魅力的に見えるのかもしれませんね。
自己肯定とは関係ないけれど、音楽について。音楽療法の取材をした時に聞いたのだけれど、音楽というのは感情をダイレクトに揺さぶるらしいのね。だから、ストーリーとか緻密な描写に関係なく、悲しい曲が流れるとわーっと悲しい気持ちになる。私は最近だと朝ドラでそんなことを感じたかも。セリフがつまらなくても、この場面はコミカルなことだと解釈してくださいね、と簡単にできる。私はそれでもわりと音楽でコントロールされてしまうタイプなのだけど、だからこそ、音楽でコントロールしようとする映画はあまり好きにはなれないかも(それも自分が気付けば、という話。気づかないことがほとんどだと思う)
あの映画で感情を揺さぶられて以来、amazon musicで、そのサントラばかり聞いてます。これって、ライブで、アーティストにはまってアルバム聞き続けちゃう感じと似てるなぁと思ってました。だから、映画から歌をとっちゃったら、おーいっていうところが、もっと出てくるんだろうなあ。
ありのままで良いっていうのは、セクシャルマイノリティーとか障害のある人とか多様性を肯定する観点と、成長しなくていいっていう観点の2面があるように思います。最初でてきたのは世界に一つだけの花かなぁと思いますが、その頃は前者のメッセージ性が強かったように思いますが最近は後者の方が強いでしょうか?後者の観点で語る人が格差を非難する傾向が強いような気がします。
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