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読者は作家にパワーを与える

読者は、作家にパワーを与える。

『働きマン』という作品は、サラリーマンが読む『モーニング』でなければ生まれなかったし、

『シュガシュガルーン』という作品は、小学生女子が読む『なかよし』でなければ生まれなかった。

雑誌の読者が、安野モヨコにパワーを与えていた。

雑誌には、不思議な磁場がある。

その磁場は、作家、編集者だけでなく、それを読んでいる読者も、一緒になって作り上げている。

読者は、自分が作家や編集者にパワーを渡している意識はないかもしれないが、確実に渡している。そして、雑誌は、その仲介をしている。

僕が小中学生の時になってしまうけれども、「ジャンプ放送局」や「はみだしぴあ」などが盛り上がっていて、雑誌を読むことは本当に楽しかった。

そのような磁場が雑誌からちょっとずつ、ちょっとずつ失われた。

ネットが雑誌の代わりになれたか?

ネットは便利ではあるものの、ユーザーのパワーが作家に伝わることはない。

なぜか、ネット上には磁場が発生しない。

だから、いくらたくさんの人に見てもらえるとしても、

ネットを連載場所として選ぶことはないかもしれない、そんな風に考えることもある。

作家にとって、読者からパワーをもらうこととは、それほど大事なことなのだ。

いくら雑誌の読者からもらうパワーが弱まったといっても、ないと困るのだ。

クラウドファンディングを見つけたとき、
これこそが、ネット上の雑誌だと思った。

そこには、磁場があった。

ユーザーが参加しつつ、クリエイターと一緒に作品を作り上げている。

この仕組みであれば、作家は、読者からパワーをもらいながら描くことができる。

実際、漫画家・うめさんの企画がCampfireで始まったとき、
僕はワクワクした。

それで、自分の予想は当たっていると感じたし、うめさんに先を越されて悔しかった。

今回、『バッファロー5人娘』の単行本を出すにあたって、

安野さんの本を待ちわびている読者にワクワクしてもらいたいと思った。

そして、その読者のワクワクが、これからの安野さんのパワーになれば、とも考えた。

どうしたら『バッファロー5人娘』でワクワクしてもらえるか。
悩んでいるときに、

講談社時代から付き合いのある大日本印刷の営業の方が、
豪華本の企画を持ってきてくれた。
1冊、1冊手作りで、むちゃくちゃかっこいい。

本好きであれば、かなり高くても欲しくなってしまう出来だ。
あまりにも高額になりすぎるから、今まで個人用以外誰も作っていない。
でも、Campfireの仕組みを使って、部数を限定して作れば、生産可能だ。
それで、今回の企画は始まった。

豪華本を作っている途中に、なんだか僕自身が複製原画を欲しくなってしまった。
表紙と裏表紙のイラスト、2枚を並べて額に飾りたくなったのだ。

実際、サンプルが届くと興奮する出来だった。

Campfireに協力してもらっている今回の企画は、

今日、1月16日から始まって、締め切りは2月21日だ。

http://camp-fire.jp/projects/view/534
ぜひ今回の試みに、みんなも参加してほしい。

ネット上で、磁場のある場所を生み出してほしい。

そのような場所がないと、作家は活躍できないのだ。

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