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水をすくうのではなく、水を交換する

売り切れ

新しいコミュニティに参加した時に、あるアドバイスをされた。

「水をすくうのではなく、水を交換する」のだ、と。

シンプルな言葉だけど、この言葉は僕の胸に刺さった。この前開催したコルクラボのマンガ専科でも、この考え方で参加してほしいとお願いをした。


コミュニティにこれまで蓄積された知識や智恵が、大きな樽に水となって溜まっていたとする。

参加費を払ったからと言って、空のコップを持ち込み、樽から水をコップ一杯にすくって持ち帰ろうという意識で、参加してはいけない。

そうではなく、全員が自分の知見を目一杯コップに入れて持ち寄って、樽に流し込み、水をかき混ぜて欲しい。そして、参加費はその交換された水を持ち帰ることのできる権利に払っているのだと。

資本主義の社会では、与える側と受け取る側がいて、お金を払えば、金額に見合う対価を当然のように受け取れると思ってしまう。だから、スクールやコミュニティに参加費を払うと、それだけで対価が与えられると受け身になってしまう人も少なくないだろう。

だが、お金を払うことは、参加するためのチケット代と捉え、自分の水を交換する参加意識で臨むと、そこで得られるものは全く変わってくる。

例えば、評判が良いレストランは、美味しい料理が提供されるだけではない。そこに集まる客達も、「楽しい時間を過ごそう」という意識で訪れ、その場にふさわしい振る舞いをする。そうすることで、レストラン全体に良い雰囲気をもたらしているのだ。

スポーツでも、同じことが言える。「今日は面白いものを見させてもらうぞ」と思って試合を見に行くか、「自分たちが選手の気持ちをのせて、面白いゲームにしてやるぞ」という気持ちで見に行くのかで、ゲームの面白さが全く違ってくる。

この水を交換する意識は、どんな人と会う時でも、どんなコミュニティに参加する時にも、すごく重要だと思う。これを意識していると、他人への態度や接し方が全く違ってくる。

生きる基本として、自分のコップの水をコミュニティに差し出し、水を混ぜ合わせる。そして、そこから水を持って帰り、また新しいコミュニティに水を差し出す。

人生はその繰り返しだと思って生きると、素敵な人生を歩めるのではないだろうか。

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