奥野さん

将来性は「3つの軸」から捉える。長期的な視野の養い方について、奥野一成さんに聞く。

編集者という仕事の一番、面白いところは、一流の人に会えるところだ。『インベスターZ』というお金についての漫画の編集をする中で、一流の投資家に取材してきた。

中国で活躍するある投資家が、「日本で一番すごい人は奥野さんです。ぜひ会ってください!」と紹介をしてくれた。

そして、奥野さんと会って、僕もすっかり魅了された。奥野さんがやっていることは、シンプルだった。価値があることをしているけど、世間からは気づかれていない企業を見つけて、その会社の株を長期的に保有し、応援する。

奥野さんが投資したい会社見学をして、そこの会社の魅力を発見する話は、どれも聞いていて痛快だった。投資家は、サラリーマンである限り、短期視点になりやすい。その中で奥野さんは、長期視点での投資を成功させ、信頼を勝ち得ている稀有な存在だ。

あと、10年、20年したら、奥野さんの投資先がもっと大きくなり、ウォーレン・バフェットのように、投資哲学者として世界的に有名な存在になるのではないだろうかーー?

農林中金バリューインベストメンツの最高投資責任者/奥野 一成さん

今までは機関投資家として活躍していて表舞台に出てきていなかったが、最近は、自分で発信を始めた。僕との出会いもnoteに書いてくれている。

短期的な視点に囚われず、その会社が永続的に価値を提供できるかを見極める奥野さんは、「投資家の役割とは、社会にとって必要とされる会社を支え続けること」だと言う。

編集者と投資家は、似ているところがありそうにない。でも、奥野さんと話しているとほぼ、同じ職業のように思えてくる。投資家は、会社の中に価値を見つける。編集者は、作家の中に価値を見つける。そして、その価値が、世間に届くまで、支え、応援する。

世の中で重要なのは、お金ではなく、価値なのだ。お金は、その時々の価値の尺度でしかない。

奥野さんとは、定期的にお会いして、自分たちが価値を感じて、応援したものが、どのように変化していったのかを共有し合う仲になりたい。

僕が奥野さんの京都大学の授業に講師として伺っただけなく、コルクラボ にきていただいて、どうすれば長期的な視野が養えるかを伺った。

下記の当日レポートの執筆はコルクラボ メンバー。

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バフェット式の長期厳選投資とは何か?

佐渡島:
まずは、奥野さんの簡単な自己紹介からお願いしてもいいですか?

奥野さん:
以前、佐渡島さんは、僕とウォーレン・バフェットが似ていると言ってくれましたが、バフェットと他の投資家との違いは、長期厳選投資をし続けていることです。日本でバフェットのようなことができないかと考えて、2007年頃から農林中央金庫内で実践し始めたのが、農林中金バリューインベストメンツが現在行っている「『長期厳選投資』の原型です農林中金バリューインベストメンツ』です。

農林中央金庫と言われても、馴染みがないと思いますが、JA(農協)は耳にしたことがあるのではないでしょうか?日本の農業就業人口は、全人口の2%なんですが、農業は国から保護されているのもあり、潤沢な資産を持っている方が多いんですね。そうした方々のお金を預かって、投資しているのが農林中央金庫という会社で、現在は100兆円の資産サイズの機関投資家です。

佐渡島:
100兆円規模の機関投資家って、他には数えるほどしかないんですよね?

奥野さん:
三菱UFJ銀行が130〜150兆円、ゆうちょ銀行郵便局が200兆円ですから、100兆円は、国内ではかなり大きなサイズと言っていいと思います。

佐渡島:
奥野さんが目指されている、バフェット式の長期厳選投資とは、どのようなものなんですか?

奥野さん:
バフェットは、売らなくていい会社の株式しか買いません。ファンドマネージャーというと、安く買って高く売って、あぶく銭を得る悪い奴のようなネガティブな印象を持つ方もいらっしゃると思うのですが、必ずしもそういうわけではありません。バフェットや、僕が行なっている投資は、ほとんど売買しないんですね。

例えば、バフェットが長期投資している会社の一つに、コカ・コーラ社があります。世界の炭酸飲料マーケットには、コカ・コーラ、ペプシ、ドクター・ペッパーなど数社かしかありません。これはどういうことかというと、消費者にほとんど選択肢がないということです。その中で、コカ・コーラは圧倒的なシェアを誇っています。つまり、世界の人口が増えると、コカ・コーラ社の利益は自動的に増えるということです。

そういう状態に持ち込めば、どうやっても儲かりますよね?そうしたビジネスを行なっている会社を見つけてオーナーになる。これが僕らの目指す長期厳選投資です。

将来性は3つの軸から捉える


佐渡島:
将来性がある会社かどうかは、どう判断しているんですか?

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将来性は「3つの軸」から捉える。長期的な視野の養い方について、奥野一成さんに聞く。

佐渡島庸平(コルク代表)

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コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。
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