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安心ってなんだ? 信頼ってなんだ?

 人の心を動かす作品を作ることが、クリエイターの役割だとしたら、編集者(エージェント)の役割は、その環境づくりをすることだ。作品の周りには様々なやることがある。作品作りのための取材をセッティングしたり、資料を集めたり、プロモーションをしたり、ライツ展開を監修したり。そういうことも大切な環境づくりだけど、雑誌の部数が激減していっている今、雑誌の代わりになるものが何なのか、ということを僕はずっと考えている。定期的に発表できる場がないとクリエイターの数が減ってしまう。

 雑誌の役割として、流通という側面だけに注目すると、インターネットは十分にその代替になりえる。僕が今、この文章を書いているnoteで初めて作品を描き、デビューしていった人の数はどんどん増えている。

 収入面だと、雑誌時代のほうが、多かったし、安定していた。しかし、その状況も、様々な試行錯誤があるだろうが新しいビジネスモデルが探し当てられて、解決すると思う。

 理解するのに時間がかかり、対応が難しいのが、雑誌が果たしていた、心理的な役割だ。心理的な役割は、可視化されていないから、理解をするのが難しく、移行もなかなかできない。

 コルクラボでは、毎月、課題図書を決めて、みんなでその本を読む。共通言語となる知識や言葉を増やしていった方が、コミュニティ内でのコミュニケーションの質が上がっていくからだ。

 今月の課題図書は「安心社会から信頼社会へ」だった。今、社会が技術によって、すごい勢いで変化している。そのことに疑義を差し挟む人はいない。しかし、そのことによって、心理的にどのような変化が生じているのか。そのことを意識させ、思考させてくれる本だった。

信頼は、社会的不確実性が存在しているにもかかわらず、相手の(自分に対する感情までも含めた意味での)人間性のゆえに、相手が自分に対してひどい行動はとらないだろうと考えることです。これに対して安心は、そもそもそのような社会的不確実性が存在していないと感じることを意味します。

 雑誌がある時に、作家は、編集者だけでなく、その雑誌についている読者を信頼していた。その信頼があるから、命を込めて作った作品を発表することができた。読者は、収入面だけでなく、心理的な面でも、作家を支えていたのだ。ネット上は、不確実性がありすぎる。そこで、社会的不確実性がないと考えて、安心して行動できる人などほとんどいない。

 雑誌の代わりをネットが果たすには、作家と読者が信頼関係を築ける場がないといけない。それをネット上に生み出すことができると、もっともっと多くのクリエイターがネット上で活躍し始めるはずだ。そして、ネットを作り上げて来た多くのエンジニアは、クリエイターが感じているそのような不安に対して、ほとんど注意を払っていない。その不安を理解しつつ、ITリテラシーがあるということが、コルクの強みになるのではないかと最近は考えている。

 このようなことを考えだすと、じゃあそもそも「信頼ってなんだ?」という疑問が涌き上がってくる。どうやって、他者と信頼関係を構築するのか。

 移行可能だと思う社会的インフラが、多重構造で出来上がっていて、理解できていなかったことがたくさん浮かび上がってくる。偶然の積み重ねと時間をかけて構築されていったものを、短期間で、仮説を立てて、改善しながら再構築しなくてはいけないのが、今の時代だ。

 毎週のように、「これも学ばないとダメだ、あっ、これもだ。」というのがどんどん出てくる。すごく大変な時代だと思うとともに、これほど面白い時代が歴史上にあったか、と興奮を日々覚える。

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 今回の投げ銭部分では、僕が影響を受けたビジネス本を紹介します。ちなみに、この投げ銭の仕組みは、読者と信頼関係を築くいい仕組みだと思っています。その中だとたわいのない話もしやすい。(笑)

最近読んでよかったビジネス本3冊

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佐渡島庸平/コルク代表

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佐渡島庸平/コルク代表

2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、作家のエージェント会社、コルクを設立。

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コルク代表・佐渡島庸平、noteやcakesの運営会社ピースオブケイクの代表・加藤貞顕が、その週にふれたコンテンツについて書いていきます。毎週水曜日更新(予定)!
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