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どれも中途半端はダメじゃない! 若新雄純さんに聞く、人生を面白くする"掛け合わせ"の考え

何者かにならなければ…と焦る人が、最近増えた気がする。

変化が激しく、先行きの見えない社会で、不安を抱くことは自然だ。誰かから求められる何者かになることで、安心を得たいと思う人が増えるのは当然だろう。何者かになることは、自分の居場所をつくる行為でもある。

一方、自分は何者であるかを規定することは別の不安を呼ぶ。自分につけたラベルが剥がれ落ちないように、周囲の期待に応え続けないといけない。居場所を持つとは、時には息苦しさを感じさせることもある。

では、どうやって居心地のいい居場所を築いていけばいいのか?

僕が主催している「コルクラボ」では、この問いへの考えを深めるために、ラボメンバーたちが中心となって『居心地の1丁目1番地』という本を昨年つくった。先日、この自主制作本が重版することになったのだが、それを記念して若新雄純さんと対談する機会を得た。

若新さんに居場所について聞いてみると、「自分の居場所はここ」と正解を決めるのではなく、複数の居場所をつくり「あいまい」な自分を楽しむことが大切なのではないかと言う。この真意とは何か? 対談の様子をコルクラボのメンバーが記事にしてくれたので共有します。

<記事の書き手 = 栗原京子、編集 = 井手桂司

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若新雄純(わかしん・ゆうじゅん)さん
株式会社NEWYOUTH 代表取締役、慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科 特任准教授、国立福井大学 産学官連携本部 客員准教授

人・組織・社会における「創造するコミュニケーション」を研究。日本全国の企業・団体・学校等において実験的な政策や新規事業を多数企画・実施し、ビジネス、人材育成・組織開発、就職・キャリア、生涯学習、学校教育、地域・コミュニティ開発などさまざまな現場でフィールドワークを行う。テレビ・ラジオ番組等でのコメンテーター出演や講演実績多数。慶應義塾大学大学院修了、修士(政策・メディア)。

★この対談は、Youtubeの『編集者 佐渡島チャンネル』にて動画を公開しています。動画で観たい人はコチラから。

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居場所は、見つけるではなく、つくるもの

佐渡島:
若新さんは、社会における自分の居心地とは、どのように考えますか?

若新さん:
そもそも、社会という言葉がとても広いですよね。

僕は、福井の出身ですが、信号機もなく、保育園から小学校卒業まで同じメンバーで進級していく田舎で育ちました。学校帰りに買い食いしたことも、誰と誰がつきあっているかもすぐに知られるような場所だったので、僕にとってはものすごく居心地が悪かったんです。

そんな田舎が窮屈で東京に出たけれど、東京が居心地のいい場所だとは思っていません。東京は一括りにするには広すぎるし、東京に属している意識もなく、東京をひとつの社会として語るのは簡単じゃないと感じます。

そんななかで、居場所とは社会のなかに見つけるものではなく、自分で勝手に作り出せばいいんだと考えるようになりました。

社会全体を自分の居心地の良い場所に変えることは難しいけれど、自分が直接触れ合う範囲内の社会をどう作るかは自分で決められますよね。「社会が窮屈」「居心地が悪い」と嘆いている人は、居場所は自分で作れることを知らないのではないかと思います。

佐渡島:
それって、今いる居場所から離れても安全だって知っているから、次を探そうと思えし、ひとつの居場所に固執しなくなってくるんじゃないでしょうか。つまり、自由であると気づけるんですよね。

若新さん:
そう、僕たちが暮らしている社会には物質的な不自由はほとんどないけれど、不自由だと感じている人がいる。でも、その不自由さは、頭の中だけにあるものなんですよ。

僕が、自分が関わる社会は自由に作ればいいと気づいたのは、大学生の時に『はだしのゲン』を全巻読み直した後からです。この本を読んで、「今の時代の日本に生まれただけで、めっちゃ自由なんだ」って思ったんです。

ゲンくんが今の時代に生きてていたら、今日の面接に私服で行くかスーツで行くかなんて悩まないだろうなって。でも、ものすごく自由な社会に生きているのに、勝手に頭の中を不自由にしていたんですよ。

僕は学生起業をしていたけれど、実は就職しなくていいのか悩んでもいました。自分にとっては就職は不自由な生き方だと思えたから、その道は選ばなかったのですが、たびたび「選択をミスっていたらどうしよう、お金が無くなったらどうしよう」って考えてしまうんですよね。だから、起業した会社が倒産しても、はだしのゲンの世界からすれば、安全で安心で最高な場所に生きているんだって、何度も言い聞かせていましたね。

佐渡島:
今自分が恵まれている状況にあると思えたら思い切ったことができるけど、ここが足りていないなって思うと、不安になってしまうんですよね。

収入も頼り先が一つになるのは限りなく依存になる。依存が強まると、不自由になってしまうから、その依存関係からどう抜け出すかが重要ですね。

正社員というしくみは、20代にとっては会社が投資して成長を担保してくれるけれど、40代、50代っていうのは飼い殺しの状態になってしまうんじゃないかな。だから、複業や兼業をやっていったほうが幸せになりやすいんじゃないかなと思っています。

若新さん:
たしかに。一社にだけ雇用されているだけだと、それが無くなったら全てが無くなるという強い恐怖感を持ちやすいですよね。「自律」とは依存先を増やすことなのかもしれないですね。

正解を求めると、不自由になる

佐渡島:
一方、自分の居場所は自分で決めていいと言われても、どうすればいいのかわからなくて不安になる人も多いと思うんですね。そして、誰かに正解を与えてもらいたくなる。でも、自分の中に「これだ」っていうひとつの答えを探すことは、青い鳥を探すみたいな行為だなって思います。

若新さんは、自分は何者かを明確にするのではなく、「あいまい」なほうがいいとよく言いますよね。改めて、この意味を聞いてもいいですか?

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佐渡島庸平(コルク代表)

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