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「偏見メガネ」を意識すると、世界の見え方は変わる。

一流のクリエーターや経営者に会うと、ふとした会話の際に「そんなところまで見ていたのか!」と驚くことが多い。ほとんどの人が気づかないちょっとした「歪み」や、見落としてしまいそうな「美しさ」に彼らは気づく。

誰も読んだことがない物語を作る人も、誰も想像ができないサービスや事業を実現する経営者も、優れているのは「想像力」というよりも「観察力」なのだ。

どうやって「観察力」を高めるか?

新人マンガ家を育成する上でも、僕自身が経営者・編集者として成長していくためにも、この問いに対する解像度を高めていきたい。そう思い、『僕らの仮説が世界をつくる』『WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE』に続く3冊目として、「観察力の鍛え方」をテーマとした本を書く予定だ。

そこで、noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』では、本が誕生するまでの行程を、マガジン読者のみんなに共有していきたい。

今回は、一緒にやっているSBクリエイティブの編集者・坂口さんと、いつも僕のnoteを一緒にやっているライターのいでっちによる、第一回目の取材の模様をレポート記事として公開。

<ライティング・編集協力:井手桂司

・・・

入力情報の整理が下手だと、アウトプットが低下する。

ーー 『ぼくらの仮説が世界をつくる』の「ちゃんと見るがすべてのスタート」の章の中で、「想像力」や「表現力」の前に、「観察力」を鍛えることが大切だと書かれています。また、コルクラボマンガ専科でも、クリエーターの全ての基礎は観察力だと繰り返されてますよね。佐渡島さんが、観察力こそ大切と思った経緯は何なんでしょうか?

佐渡島:
僕は「頭がいい」「記憶力がいい」と言われたりするんだけれども、他の人と自分を比べて、そうは思わないんだよね。でも、差があると思われているわけ。

その差について自分なりに考えてみた時に、僕と多くの人を分けている一番の差は「観察力」なんだと思う。

楽天大学・学長の仲山進也の『組織にいながら、自由に働く。』に書かれている内容で「判断=価値基準×入力情報」というものがある。そして、ここで言う入力情報というのが、観察した結果なんだよね。

多くの人は意識していないけど、自分が取り扱う情報には「偏り」がある。政府には政府が取り扱うことが多い情報が偏在しているし、幼稚園には幼稚園にしかない情報が偏在している。インターネットによって、情報のオープン化は進んでいるけども、Googleにしても、どのサイトが重要を重みづけしているわけでしょ。人間は、物を見た時や話を聞いた時、どの情報が重要かっていうものを無意識に「重みづけ」して、頭の中で情報を「整理」しているわけだよ。

そして、情報の整理が下手だと、結果として判断やアウトプットが悪くなる。みんな、自分を磨こうと思って、ビジネス本を読み漁ったり、速読とかメモの取り方とかスキルを身につけようとするじゃん。でも、根っことなる「観察力」が 無いと、インプットした知識をうまく整理できず、アウトプットにつなげることはできない。

じゃあ、観察力をどう鍛えたらいいのか?

それを、今回の観察本プロジェクトで言語化したいと考えているんだよね。

先に結論を決めずに、「判断保留」の態度でのぞむ。

ーー 「判断=価値基準×入力情報」の話がありましたが、アウトプットを良くするには、自分の価値基準についても考える必要があるわけですね。

佐渡島:
そう。でも、多くの人は価値基準が「常識」に固定されているように感じる。

例えば、結婚式では、花嫁の両親への手紙で泣くことが決まって、みんな結婚式に参加しに行ってるね。花嫁の手紙は感動するものと決めつけていて、その通りに反応しなかったら「失礼」とか、「デリカシーがない」といった反応をみんなする。

でも、僕なんかだと、花嫁の手紙といっても様々だから、「今回の花嫁の手紙は紋切り型すぎて 、本当に親の事を感謝してたのか、よくわからなかったなぁ」という感想を言う時がある。そうすると、やっぱり「デリカシーがない」と言われたりする。

他にも、子供のお芝居や運動会を観にいく時もそう。親として、子供の成長を見て感動しないといけないという結論が先にあるように思う。でも、芝居にしても、エンタメとして僕は見ているから、面白くない時は面白くないと言う。

僕は、先に「結論」を決めずに、いろんなことを「判断保留」にしている。自分は「分かっている」と思った瞬間に、観察はできないから。

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