【マンガ専科本先出しnote】作品を推敲する
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【マンガ専科本先出しnote】作品を推敲する

コルクラボマンガ専科の先出しnote。今回は、作品の推敲の重要性についてお伝えします。作家を目指す多くの人が、推敲が大事ということは“なんとなく”知っています。しかし、その本当の意義を理解している人は少ないと感じています。そこで、今回は作品における推敲の価値とその方法についてお伝えをしていきます。

◆伝わっているか?という視点で推敲する

どんなにいい作品でも、作家が初めて編集者に構想を話すときには、よくわからないものです。作家が頭の中に新たに作り出した世界の話しているわけなので、他者はいまいち理解ができないものなのです。この段階では、まだ作家だけがおもしろいと思っている状態です。

作家の人が夢中になっている構想ならば、それは素晴らしい発想のはずです。そして、夢中になるようなことであれば、パワーを持って描くこともできます。しかし、頭の中に湧き上がっていることを過不足なく伝えることはとても難しい。だから、編集者などの他者からのフィードバックは重要なのです。

作家が夢中になっているのに、なぜ編集者は首を傾げているのかというと、その内容が伝わっていないからです。ここは、勘違いをしないでほしいのですが、編集者からのフィードバックは「伝わっていないよ」ということを伝えているにすぎません。作家の頭の中の構想を否定しているわけではないのです。
編集者から指摘を受けると、自分自身の考えが否定されてしまっていると落ち込む方がいます。しかし、あくまで原稿の伝え方を批判しているだけなのだということを覚えておいてください。

◆作品の第一段階では、他者からの質問がたくさん必要

子どもは、自分の頭の中と他人の頭の中が違うことがわかっていないことがよくあります。聞いている方の前提知識がないままに、「○○くんと○○くんがね……」と突然話し出します。本来ならば、○○くんと○○くんと自分は仲が良くて、いつもゲームをして遊んでいる、といった前提が必要な話だったりするわけです。でも、子どもにはそれがわからない。

だから、大人から、「その子といつも遊んでいるの?」「なんの話をしたの?」など質問をしていって、やっと話の全体像が見えてきます。

作品もそれと同じで、作者の頭の中には確かに世界が存在するのだけれど、それを見えていない他者はたくさん質問をしていかないとそれを見つけることができません。

では、なぜ作家本人は伝える要素が足りていないことに気づけないのでしょうか。
それは、作者は原稿を脳内補完をしながら、読み直しているからです。世界観が頭にあり、それが前提になっているので、原稿を勝手に脳内で情報を加えて読み進めている状況なのです。

◆推敲で見極めるべき2つのフェーズ

推敲は2段階で行いましょう。

1段階目:頭のなかの世界を構築できているか
2段階目:それを他人に伝えられるように表現できているか

もし、誰かに読んでもらって、「感情が動かなかった」という指摘をなされた場合には、1段階目の問題なのか、2段階目の問題なのかを見極める必要があります。両方の可能性を考えながら、作家は直しを入れていくのです。

◆”ウケるもの”の手応えを得るためのSNS活用

自身で推敲するためには、気持ちをまっさらにして読み直すことが必要です。そうすることで、「あれ? ここがわからないぞ」とか「ここ、唐突すぎるな」などという点が見えてきます。

とはいえ、自分でどんな情報が足りないかに気づいていくことは非常に難しい。そして、そもそも他人に伝わっていないところを見つけ出し、直すという作業は苦しいことでもあるのです。

一方の編集者にも、高いレベルが要求されていることを知っておいてください。作者の頭の中は、編集者には見えていません。見えていない中で、「ここが伝わっていないんだよ」と指摘することはとても難しい。もちろん人によるのですが、編集者の質問は、今あるアイディアの否定ではなく、作者の頭の中の解像度を上げるためにしていることが多いのです。

編集者がついておらず、自分の力でマンガを描いている人はぜひTwitterを活かしましょう。Twitterで、毎日1ページマンガを発信していくのです。そうすると、「何が伝わったのか」がわかります。
「何が伝わっていないか」を把握することはできませんが、「何が伝わったのか」はわかる。「この部分がいきなり伝わったなー」とリアルな感触を得られます。この「伝わった」マンガをたくさん描いていけばよいのです。「このキャラクターの話だと伝わるんだ」「このシチュエーションだったら伝わるんだな」などが見えてくるはずです。

マンガ専科であれば、周囲の仲間たちからの反響でも「伝わった」感触を掴むことができます。

例えば、『ヤンキーと住職』というマンガは、最初は住職を主人公とした仏教マンガだったんです。その時は、僕はいまいち伝わった感覚を得られませんでした。しかし、住職をヤンキーと対比させたことで、てきめんに通じるようになります。「仏教の魅力を伝える」という作品の趣旨は変わらないはずなのに、ヤンキーと対比したら、急におもしろさをわかってもらえるようになったのです。

作家の近藤丸さんとしては、住職だけの時も、住職とヤンキーを出した時も、変わらず全力でおもしろいものを描こうとしています。だから、どちらがウケるかは経験が少ない作者にはよくわからないものです。Twitterに出していくことで、その感触を掴んでいくことができるようになっていきます。

◆第一稿から100点を採れることは、ゼッタイにない!

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佐渡島庸平(コルク代表)

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佐渡島庸平(コルク代表)

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コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。