徹夜_三田さん

無理をしないで、やりすぎる

僕の師匠は誰かと言われたら、三田紀房だ。

新入社員の僕と『ドラゴン桜』の打ち合わせをする中で、「何が物語として面白くて、マンガに重要なのか」を叩き込んでくれた。

『ドラゴン桜』のプロモーションでは、いろんなことを試した。どんなことを試しても、三田さんが嫌な顔一つせずに協力してくれるから、大胆に色々できた。それだけたくさん動くと失敗もある。でも、失敗したもののために割いた時間のことを三田さんが指摘することは一回もなかった。うまくいった時は褒めるわけでもなく、一緒に喜んでくれた。

編集者としての成長を支えてくれたのは三田さんだけど、コルクという会社を経営する上でも、三田さんが師匠だ。僕にとっての『クロカン』の黒木、『ドラゴン桜』の桜木みたいな存在だ。

「俺が社長だったらコルクをこうするのに」といってアドバイスをくれるのは、三田さんだけだ。多くの人がコルクを褒めてくれるところでも、三田さんは「まだまだもっといける。一緒にもっと成功しよう」と檄を飛ばしてくれる。

でも、三田さんから一番学ばせてもらったのは、その生き方だ。

とにかく規則正しい。徹夜など一時期の無理をしない。淡々と締め切りを守り、継続して努力する。継続していると、どんどん影響力が大きくなっていくこと、魔法の一手などないことを、その生き方で僕に教えてくれた。この前「なんで三田さんの作品はきれいに20巻ぐらいで終れるのか?」と質問をした。すると、「老後、自分の作品を読み返す時に、あんまり長いと自分の作品でも読み直すのが大変。20巻くらいのほうが楽しく読めるじゃん」という答えだった。

三田さんは自分がどうやったら楽しめるのかをすごくよく理解していて、それを実践している。楽しいから続くし、無理にならない。

長く続けるためには無理をしない。無理をしないで、やりすぎる。一見、矛盾するその二つを両立させることの価値を、僕は身近にいることで深く理解させてもらった。

だから、僕は多くの新人作家に「規則正しく、徹夜しない」ということを言い続けている。

何気なく投稿した下記のツイートが、予想外にリツイートされて、びっくりしうた。その思想は、三田さんから来ている。

もっと詳しいことを知りたければ、『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術』という本がある。おススメだ。


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2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、作家のエージェント会社、コルクを設立。

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コメント1件

佐渡島さん、変なご質問で申し訳ないのですが、字下げ(文書き出しの一文字あけ)をされている記事とされていない記事がありますが、何か使い分けられているのでしょうか?(どこかで回答済みでしたら、すみません)ここ半年字下げされていたのに、2回前の記事、この記事で無しになっているのが、妙に気になってしまい。もしも意図がありましたら、いつか記事に書くでもいいので、教えていただけますと嬉しいです。本文関係なしの質問、失礼しました。
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