誰もが物語を届ける”作家"になれる
見出し画像

誰もが物語を届ける”作家"になれる

誰もが"作家"として、自分の作品を世の中に送り出せる。

自分の人生の身に起きたこと、自分が仕事で向き合っていることをテーマにたった一作であれば、誰もが物語を生み出せるのではないか。

そんな仮説を大友監督ともって始めたのがNewPicksで開催した『ビジネスストーリーメイキング』講座だ。

この講座は、映画監督の大友啓史さんとぼくが講師を勤め、昨年10月から今年3月まで行われた。小説家、脚本家志望の人でビジネスストーリーに興味がある人が少ない。一方、読者は、ビジネスストーリーを求めている。新しい才能と出会いたい。そういう想いから、大友さんとぼくで、この講座を企画した。

それ故、この講座の最終課題のハードルはとても高い。

最終課題の内容は、本として発売されていてもおかしくない、物語を約半年間で書きあげることだ。

イメージとしては、映画でいえば2時間くらいの尺を要するもの。出版でいえば、ハードカバーとして発売できるような長編小説だ。一方、受講生のほとんどは、短編はおろか、物語を創作した経験がないメンバーだ。マラソン初心者に、いきなりフルマラソンへ挑ませるような感覚に近い。

でも、大友さんもぼくも、半年間しっかりと取り組めば、ひとつの物語を書き上げられると思って、この最終課題を設定した。

確かに、プロの作家や脚本家のように、幾つもの物語を継続的に書き続けるのは難しい。村上春樹も『職業としての小説家』の中で、物語を書き続けることの難しさと、職業的小説家をやっていくためにはテクニックが求められることを語っているが、その通りだと思う。

だが、物語をひとつだけ創るのであれば、どんな人でも書き上げることができると、ぼくらは考えていた。

人にはそれぞれ固有のストーリーがある。そこには、作品の核となるべきものが存在しているはずだ。それをうまく拾い上げて、物語として昇華させていく。それを、ぼくたちが手助けすれば、作品として完成まで辿り着けるのではないか。そういう仮説が、大友さんとぼくにあった。

とはいえ、それでも作品を書き切るのは難しい。自分の頭の中にあるうちは特別だと感じていたストーリーも、いざ文章として書き出してみると、誰かに伝える価値などないように思えてきたりする。それでも、物語を磨いて、磨いて、作品としての強度を高めていく。この粘りが重要なのだが、そんな風に最後までやり抜くことが、なかなかできない。

そのため、講座が始まった当初は、受講生20名のうち、最後まで書きあげるのは数人くらいだと思っていた。

だが、結果は全く違った。

受講生のほぼ全員が、作品を完成させたのだ。

しかも、どの作品も完成度がものすごく高い。講義では、大友さんとぼくが、制作途中の作品に対してフィードバックするのだが、ぼくらの想像を超える作品に仕上がっていた。

更に、驚くべきことがある。

みんなの作品の完成度があまりにも高いので、世の中にしっかりと発表したほうがいいと思い、電子書籍として販売することを、提案した。個人が電子書籍をKindleで販売することは簡単にできる。電子書籍だから、コストもかからない。作品に表紙や帯をつけて、しっかりと本として販売し、世間からのフィードバックをもらったほうがいいと思ったのだ。

すると、それぞれの受講生が表紙を自分たちでデザインして、Kindleで自分の作品を電子書籍として販売しはじめた。その表紙のデザインがプロの編集者も顔負けのクオリティなのだ。

以下、受講生の作品を紹介する。

●マザージャーニー

●マーブルな女たち

●医者に問う

●僕の中の神様:心の砂で沈めたトラウマは人と関わることで癒されるのか

●母性症候群

●ぺしゃん

●The Sheeple/羊たちの叛逆

これらの作品は4月20日に発売されて、他の受講生の作品は5月下旬に発売される予定だ。

現在発売中の受講生の作品には、Kindle Unlimitedを利用している人なら無料で読めることもあって、少しずつレビューがつきはじめているのだが、高評価のレビューが多数ついてる作品もある。誤解がないように記載するが、これは決して仲間内のコメントではない。本気の読者からのレビューだ。

ぼくは、受講生の作品にものすごく可能性を感じるので、紙の本で出版できないかと、何人かの知り合いの編集者に話をしている。

ちなみに、受講生のほとんどは、作家志望というわけではなく、本業をもっている人たちだ。経営者もいれば、地方で農業を営んでいたり、テニスコーチをやっている人もいる。そういう人たちが、半年間で、自分の作品を作り、世の中に本を送り出し、読者から評価を得ている。

職業的な作家とは違うキャリアを歩んできた人たちだからこそ書ける物語がそこには存在していると、ぼくは感じる。

これまで作家として、本を出版し、作品を世の中に送り出すことは、限られた人しかできないことだった。それが、インターネットにより、誰もが作家として自分の作品を世の中に送り出せる時代になっている。

『ビジネスストーリーメイキング』講座の受講生のように、本業を持ちながらも、復業として物語を創作することは可能なのだ。

いろんな人が、その人固有の物語を作品として発表していく時代が訪ればいいと、ぼくは改めて思う。


今週も読んでくれて、ありがとう!この先の有料部分では「最近読んだ本の感想」「僕の日記」をシェア。僕の思考の原材料を公開します!

また、月800円の『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』マガジンの購読者になると、毎週水曜日に更新される記事の有料部分だけでなく、その他の有料記事も読めるようになります。

この続きをみるには

この続き: 4,441文字 / 画像2枚
記事を購入する

誰もが物語を届ける”作家"になれる

佐渡島庸平(コルク代表)

500円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
佐渡島庸平(コルク代表)

購入&サポート、いつもありがとうございます!すごく嬉しいです。 サポートいただいた分を使って、僕も他の人のよかった記事にどんどんサポート返しをしています!

ありがとう!コメントももらえると嬉しいです!
コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。