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さらけだす、何を?

 先週、加藤さんは、こんな記事をあげた。「さらけだす、とか、したくないよ」

 コルクの行動指針の一つ目は「さらけだす」で、そのことに対して加藤さんは、感じたことを率直に“さらけだして”くれた。実は、行動指針を決める時、誤解を生む言葉ではないか? 変えたほうがいいのではないか? という意見がでてきた。その危惧はまさに加藤さんのような考えを持つ人を想定してだった。

 そのような誤解を解く説明をするのが、コルクを理解してもらうコミュニケーションとしていいし、それを理解しないといい作品を生み出せない、そう考えて敢えて「さらけだす」を残した。

 新人作家に「キャラにもっと立てて」と言うと同じ誤解が起きる。大抵、すごく変な人物にしてしまって、リアリティもなければ、感情移入もできないキャラクターになってしまう。それで、キャラを立てるの意味を説明する。キャラが立っているとは、記憶に残りやすい、ということだ。突飛であると確かに記憶に残りやすいかもしれないが、好きになるのは難しい。読者が好きになるのは、自分と同じだと思うところがあるからで、その人物の特徴が分かりやすく演出されていると、キャラが立っていると感じる。

 宇宙兄弟のビンスというキャラは、相手が話している途中に話しだすという演出をすることで、たった一コマで、せっかちだということを読者に伝えた。さらに「人生は短いんだ」という口癖でそれを強調した。読者はあっという間にビンスというキャラをつかむことができたのだ。

「キャラクターが何を望んでいるのか」

「キャラクターがどのような状況にいるのか」を端的に表現することで、変な設定を付け加えることではない。

 同じように「さらけだす」とは、自分の恥部、知られたら嫌なことを、外部にオープンにすることではない。おそらく加藤さんは、家族や仲間に絶対に言えない秘密を抱えてしまっているせいで「さらけだす」という言葉に敏感に反応したのだと思う。でも、こちらもそんな反応に困るような告白をきく覚悟はできていない。(加藤さん、僕に言ってしまうと楽になるなら、いくらでも聞くので二人で飲みにいきますよ!!)

 「さらけだす」とは、

「自分の欲望が何なのか?」

「自分が今、どのような状況なのか」

を周りに分かるように伝えることを意味している。

 会社は、様々な人間の集まりだ。「社員みんなで、リアル脱出ゲームをして、新しいコンテンツのあり方を考えつつ、チームビルディングをしよう」とかけ声をかけると、「そういうことも仕事ってラッキー、楽しい」という反応をするものもいれば、「せっかくの楽しみを、会社の行事で強制されるとやる気がなくなる」と反発するものもいる。全く同じメッセージでも、全然違う受け取り方をする人がたくさんいて、その反応を理解し、協力し合うためには、「さらけだす」ことが必要だ。

 相手に自分の気持ちを察してもらおうとするのをやめよう。相手が自分と同じ考えだろうと勝手に推測するのをやめよう。全く違う考え方をしていると想定して、自分が何を欲し、今どんな状況にいるのかさらけだそう。そういう想いを込めて、行動指針の一つ目とした。「やりすぎる」「まきこむ」にも同じように思い込めている。

 どのようにすると、他者と協力し合えるのか?

『人を助けるとはどういうことか?』というような本を山のように読み、自分の感覚を疑いながら、チームの作り方を考えている。

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