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不安も自信も、すべては「妄想」

「不安でうまく行動できない。どうしたら自信を持てますか?」

こういう相談をよくもらう。

僕自身も同じ悩みにずっと向き合ってきていた。そして最近は、そもそもの問いが間違っていたかもしれない、と考えるようになってきた。感情は、流れ、移ろいゆくものである。それを固定化された、安定したものに過ぎないと考えるようになったのだ。

ちょっと極端な物言いをしてしまうと、不安も自信も、どちらも妄想に過ぎない。不安に打ち克つために自信を持つのは、妄想に妄想を重ねている状態だ。

「自分はできる!きっと成功する!」と思っても、それは一瞬だ。それをずっとの状態にしようとすることは、無理を通そうとすることだ。大抵は不安と自信が入れ替わる。感情が固定化されると、その固定化された自信や不安から、どんどん妄想が膨らんでいく。

それで、僕はどうするようになったか。

心を「観察」することだ。

妄想を止まれば、「不安」は流れていく。
無理やり「自信」を持つ必要もなくなる。

観察とは「妄想しない練習」だ。しっかりと観ようとすることで、妄想を止めれる。

去年、金融庁が発表した『老後2,000万円問題』が話題になった。人生100年時代と言われる中で、65歳以上の生活に不安を感じた。2000万円という数字が具体的だった故に、多くの人が不安を感じ、マスコミは連日その問題を伝えた。

何一つ、その問題は解決していないのに、もう誰もそのことを話題にしていない。つまりその問題自体が重要だったのではなく、2000万という数字からたくさんの人が妄想をした。そして、マスコミがその妄想を煽った。マスコミもSNSも、起きている問題を整理し、解決する助けにはならない。手放した方がいい妄想を、より大ごとにして、意識するようにするだけだ。

不安の裏にあったのは何か?江戸時代、明治時代、別に年金がなくても、人々は生きていた。本当の不安の原因は、お金じゃない。

考えるべきは「お金」ではなく、「65歳以上のキャリア」ではないか。

これまでの時代、医療技術の進歩や生活環境の向上は緩やかで、平均寿命も少しずつしか伸びなかったので、社会もその変化に対応することができた。だが、21世紀に入り、医療技術や生活環境が劇的に向上し、平均寿命が一気に伸びた一方で、社会がまだその変化に追いつくことができていない。

65歳以上の寿命が一気に伸びたのに、65歳以上のキャリアのモデルが出来上がっていないのだ。

「未知」に接したときに、人は漠然とした不安を感じる。

そして、不安を和らげる手段して、お金に関心が向く。お金は、様々なものと交換可能な最も使い勝手のいいツールだからだ。未知の状況に陥っても、お金さえ持っていれば、ある程度は何とかなるだろうと保険の役割を担ってくれるのではないかと、お金にすがる。だから、2000万円にみんな反応した。

でも、どんなにお金を貯めても、未知は解消しない。
つまり、どれだけ貯金をしても、不安はなくならない。

貯蓄も資産運用も何が起こるかわからない時代において、保険として、ある程度は有効だろう。しかし本当に有効なのは、健康であり、キャリアであり、人間関係だ。この3つは、どんな時代でも、どんな環境でも有効だ。

感情を無視するのではない。感情を見つめて、存在を把握して、手放す。そうすると妄想が起きない。

感情を大切にするあまり、自分の感情について考え続けると、現実と大きくずれた妄想を信じて、現実を歪めて見るようになってしまう。

妄想にとらわれるのをやめると、目の前のことに集中できる。

とはいえ、人間の脳は、外部からの刺激に勝手に反応するものだ。妄想をやめようと思って、やめられるものではない。ぼくも、毎日生活する中で、様々なものに勝手に脳や体が反応して、様々な感情が湧き上がってくる。人間は妄想から逃れられないのだ。

判断を保留して、観察する。そのことを僕は毎日、意識している。

コロナの影響で、漠然とした不安が一広がる社会をみて、改めて「観察」の大切さを感じる。

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10月8日(木)

打ち合わせのとき、メモをとるためにパソコンを打ち合わせをする人は多い。しかし、実際は、それで聞いているフリをしているだけで、違うことをしていてなんも聞いてないことがある。これまでは、体がそこにあることが、心はその場所になくとも、相手に対して集中していることを示すサインだった。

しかし、オンライン会議が進み、体はどこにあってもよくなった。僕はこれまでも、髪を切りながらやUFO(カップ焼きそば)を食べながら打ち合わせをしてきた。この日は、ずっと雨が降っていたので、渋谷のいろいろなお店を周りながら打ち合わせをしていた。

そのなかで、今なら喋らないから大丈夫と思ったタイミングで、iPhoneの割れていた画面を修理してもらった(笑)。15分間ミュートのまま、打ち合わせをし、無事画面は割れていないきれいなものになった。ずっと画面が割れていたのが、きれいになたのがすごく嬉しくて、直前まで打ち合わせしていた岸田奈美さんのところへ行き、自慢してきた。

そしたら、その僕の様子がおかしかったみたいで、ツイートされてしまった(笑)。

リモートで打ち合わせができるようになって、僕の中のいろいろな基準が変わった。もともと同時並行でコトを進めるのが好きだったので、何かしながらのオンライン打ち合わせは、すごく心地いい。

家でパソコンの前に座って打ち合わせをしていると、どうしても気が散ってしまう。しかし、歩いていると、その打ち合わせにすごく集中ができる。僕にとっても、相手にとっても、歩きながらの打ち合わせの方がいいと思っている。リモートでもっと自由なライフスタイルになっていけば、世の中は大きく変わるかもしれない。

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不安も自信も、すべては「妄想」

佐渡島庸平(コルク代表)

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コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。

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コメント (2)
Arugaがとても楽しそうなので、早速自分のチームにも使ってみます!
心を観察するってどうやるんだろう?
感情を掴む言葉のバリエーションをたくさん持っていた方が良さそう!

自分の心、感情を掴むのは意外と苦手だったりする。
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