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【マンガ専科本先出しnote】イラストを学ぶために必要なことはセンスではない

前回に続き、「コルクラボマンガ専科」でお伝えをしている講義の内容をお届けします。今回は、「イラスト」について解説します。イラスト力をアップするにはどうしたらよいかお伝えしていきましょう。


◆「センスがいい」とはなにか?

よく「あの人は、センスがいいよね」というフレーズを耳にします。「センスがいい」「センスが悪い」というと、まるで持って生まれた才能のある・なしのように聞こえます。しかし、僕はそうではないと思っています。

センスがある人を定義するならば、「はやっているものの二歩先をつかめる人」です。一歩先はアンテナの高い人、流行の最先端にいる人のこと。二歩先は、少しだけ想像がつかないことを、取り入れられる人です。大衆が向かう先、つまり、はやりが向かう先をキャッチする力があります。三歩先までいくと「未来にいっているね」という感覚になり、理解されなくなります。

◆センスの鍛え方は「流行り」×「クラシック」

そんな「センス」は先天的なものではなく、鍛えれば手に入れることができます。

センスを鍛える方法は色々ありますが、1つは現在の流行りに巻かれることです。偏屈にならず、柔軟にいったん流行を取り入れるのです。

「みんながやっていることは、そんなにやりたくないな」「人と同じなんて格好わるい」という気持ちもよくわかります。しかし、はやりには何かしらの秘密があるのです。
マンガ家を目指すということは、流行りを作り出す立場になりたいわけですから、今の流行について抵抗感を持たずにまずは取り入れてみましょう。もちろん全身流行に染まれというわけではありません。少しだけ流行りで遊んでみるくらいの気持ちを持てるといいですね。

これはイラストの話だけではなく、音楽でもグルメでもファッションでもいえます。そして、大事なのは流行りに触れることではなく、流行りに触れた後にそれと同じジャンルの古典やクラシックを学ぶことです。

例えば、超流行のパンケーキ屋にノリで行ってみたとします。ここまでは少なくない人がしていることでしょう。そして、その流行のパンケーキ屋に行ったのと同じくらいの熱量で、パンケーキの老舗にも店に足を運んでください。
長い時間生き残っている老舗店は、どのようなエンターテインメントをして生き残ってきたのか。じっくり観察すれば、そのお店ならではの進化論がわかります。パンケーキの原点やお店のルーツ、様々な進化について理解することができるはずです。

流行だけを学んだとしても、どの方向に進むかはわからないけれど、クラシックから現代までの流れがわかるとその先の流行が見えるようになります。原点と流行をつないだ線を浮き彫りにすることが重要です。原点と流行をつないだ線を浮き彫りにすることが重要です。

例えば、音楽でも流行の音楽を聞いたら、そのミュージシャンのルーツは何かにさかのぼってみます。ジャンルがロックなのだとしたら、ロックの原点て何だろうと聞いてみるのです。
そんなふうに、流行りを聞いたり、原点に戻ったりを繰り返す。間を埋めながらそれを繰り返すことで、どんどん線がシャープになり、時代が向かう先が少しずつ見定められるようになります。

◆「苦手」という先入観を捨てる

マンガ専科の講義で大事にしていることは、小手先の技術を教えることではなくマンガ家として伸びるための土壌を作っていくことです。その土壌作りの1つとして、絵に対するコンプレックスや苦手意識をできる限りなくすということがあります。

先入観を取り除く上で重要なことは、まず何に苦手意識を持っているのかを特定することです。あなたが苦手意識を持っているのはどんなことでしょうか。
例えば、流行に乗るのが苦手とか料理をするのが苦手、機械が苦手など色々あると思います。この質問をして印象的だったのが、「女を口説くことが苦手です」という回答です。そんな彼に、「今まで何回挑戦したの?」と聞くと「2回」と答えました。2回挑戦をして、大失敗をして、「自分にはセンスがない! 苦手だ!」と決めつけてしまったそうです。

みなさんの「苦手なもの」はどうでしょう? 2回挑戦しただけで、「苦手」や「センスがない」という判断は、果たして正しいのでしょうか。そもそも2回しか挑戦していない人が、センスがないかどうかを見定められるものでしょうか。その道の猛者であれば、センスがあるかないかを判定できるでしょうが、入口に立ってもいない人が、自分に向いているか否かを判定できるものでしょうか。

つまり、多くの人が大してトライをしていないのに、「苦手だ」と決めつけて、逃げてしまっているのです。絵に対するコンプレックスもそう。苦手だという思いを持つのは早すぎるのです。

◆大事なのはモチベーションの維持

絵に対する苦手意識はどうやって作られたのでしょう。先天的に下手だったからだと思うかもしれませんが、そうではありません。絵へのモチベーションが枯れてしまって、苦手になってしまっているのです。小さい頃に、「なんだかうまく描けないなぁ」と思い、自分を「下手」にくくってしまったのです。

一方の絵がうまい人に関しても、先天的に突出した才能があったというわけではありません。親や先生に「絵が上手ね」と褒められるなどして、今日までモチベーションを枯らさずに絵への思いを継続できたということなのです。

つまり大切なのは、「センス」や「才能」ではなくモチベーションです。絵がうまい人は、「絵が得意でいたかった」だけでもともと才能があったということではないのです。

絵の世界においては、才能やセンスという言葉はかなり曖昧で危険な言葉です。最も重要なことは、モチベーションの維持です。モチベーションが枯れなければ、絵は描いていられますし、描き続ければ、自ずと技術は上がっていきます。

◆美意識を”手”は超えられない

あなたが絵がうまいと思うマンガ家を3人挙げてください。尊敬する人でもなく、絵が好きな人でもなく、「絵がうまい人」を挙げるのです。

絵の技術を判定するのは、美意識です。美意識は、あるなしではなく高い低いです。少し難しい話ですが、自分の中にある美意識を自分の手は超えることができません。自分の手が自分の美意識よりすごいものを作ってしまうということは起こりえないのです。つまり、美意識を向上することにより、自分の手が表現できる幅も広がっていくわけです。

みなさんは、先ほど「絵がうまいマンガ家」として挙げた人のことを、最大級だと思っていますよね。「神様だ!」と思い、尊敬している人もいるかもしれません。
「この3人のマンガ家がトップである」というのが、あなたの現在の美意識です。見方によっては、今はそのマンガ家以上の絵を描くことはできません。
しかし、マンガ家になるならば、その3人を超えることを目指さなければいけません。

◆丸パクリでもオリジナリティは残る

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佐渡島庸平(コルク代表)

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コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。

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『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡島庸平の思考を「おすそ分け」していくマガジンです。表では書きづらい個人的な話を含め、日々の日記、マンガや小説の編集の裏側、ここだけの対談レポート記事などを公開していきます。 詳しくは:https://www.sady-editor.com/n/ncaf941f64a0d