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ひとりではなく、「二人三脚」で発信を続ける価値

毎週投稿している、ぼくのnote。
この約3年のあいだ、更新を欠かしていない。

それ以前は、「毎週更新するぞ」と意気込んで、有料のnoteマガジンをはじめてみたものの、更新が滞ってしまうことがあった。

ぼくは40歳を迎えた時くらいから、自分はもう肉体的に若くないのだと実感した。昔は、お酒を飲んでも次の日も普通に活動できたのが、体力が回復しなくなり、noteを書く時間がなかなかとれなくなってしまった。

転機になったのは、2019年1月。
コルクラボのメンバーであるいでっちに加わってもらった。

ぼくが考えていることを話し、いでっちに原稿化してもらい、それをぼくが修正し投稿する。この二人三脚の仕組みによって、投稿を続けていくことにした。

noteの更新は、ひとりでも頑張れば続けていくことはできるかもしれない。だが、自分の年齢や体の状態を考えたときに、気合いで解決するのではなく、継続できる仕組みをつくるほうが大切ではないかと考えた。

いでっちとは、コミチというマンガ家のためのプラットフォームで、ぼくが当時連載していた『企画のおすそ分け』を一緒にやっていた。その連載では、ぼくがマンガを企画する際の考えを話して、原稿に仕上げてもらうのだが、毎回ほぼ直しがなくて助かっていた。そこで、noteの文章も彼にお願いしようと決めた。

ただ、自分の考えを完全に相手に伝えきるのは、簡単ではない。はじめのうちは、あがってきた原稿に対して、大幅な修正を入れることもあった。

既に頭の中で何度も考えたことであれば、ある程度、理路整然と相手に伝えることができる。一方、ぼくのnoteでは、いま考えていることや興味を惹かれていることについて書いていく。自分の中でも、まだ熟成しきっていない状態で言語化していくので、自然と抽象度も高くなる。そして、仕上がった原稿を読むと、解釈のズレが起きていることがわかる。

そんな状態からはじまった二人三脚だが、ここ数ヶ月は原稿に修正を入れることがほとんどなくなった。「今回は抽象度がやや高かったかな」と感じる内容も、ぼくの意図に沿う形で原稿に落とし込んできてくれる。

3年間やって、思考が揃ってきたと感じている。

いま、自分の考えを発信していこうと思う経営者が増えている。

社外に自分たちの取り組みの背景にあるものを伝えていきたいと思う人もいるし、どういう考えで会社を経営しているのかを社内に伝えていきたいと思う人もいる。ぼくに、発信のやり方を相談にくる経営者も増えている。

ぼく自身は、宣伝的な要素はほとんどなく、自分の考えを言語化することで思考を深めたいと思って、noteをはじめた。ただ、ぼくのnoteを読んで、コルクに興味を持ってくれたり、応援したいと声をかけてくれる人は多く、経営者が自分の考えを発信する価値を実感している。

とはいえ、自分の考えを文章化するには、どうしても時間がかかる。忙しい経営者は、その時間がなかなか確保できない。発信の価値を理解していても、発信を続ける自信がないという人は多い。

そういう経営者に、二人三脚の体制をオススメしたい。

二人三脚の価値は、文章化の時間を省けることだけではない。自分のなかの抽象的な考えを理解し、周囲に伝わるように具体化してくれることだ。

他人とのコミュニケーションにズレが起きる原因の多くは、相手との抽象度のレベルの差だ。お互いの抽象度を揃えていくには、具体と抽象を行き来して、ズレを埋めていくしかない。

例えば、ぼくがある事柄について話す。すると、いでっちのほうで、「今回の話は、以前に話したこの内容の発展系だから、ここと結びつけたほうが読者が理解しやすい」と補足を加えてくれる。こういう編集行為を、自分自身に行うのは難しい。客観的に見てくれる相手が必要なのだ。

ぼくの最初の本『ぼくらの仮説が世界をつくる』を編集してくれた竹村さんが代表を務めるWORDSでは、「社長の隣に編集者を。」というキャッチコピーを掲げているが、これは実に的を得た言葉だと思う。

最近、コルクラボでライターをしているメンバーが集まって、様々な企業の発信を手伝っている「コルクラボギルド」でも、経営者の発信を二人三脚で一緒にやる相談の依頼が増えている。

ぼくも、知り合いの経営者から発信の相談をもらうと、彼らを紹介している。大塚の街を活性化しようとしている、山口不動産の代表である武藤さんのnoteは、コルクラボギルドのメンバーが手伝っている。

ただ、繰り返しになるが、思考が揃うまでには時間がかかる。アウトプットを繰り返すなかで、相手への理解が深まっていく。

表面的な情報を発信するのであれば、はじめて付きあうライターでも書けるかもしれない。でも、頭のなかの深い部分にあることを発信しようとするのであれば、思考の癖や自分のこだわりを理解してくれているライターでないと難しい。

そして、そのような関係を結ぶには、どうしても時間が必要だ。はじめは、自分で書くと1時間のものを、インタビュー、書き直しと、3時間かけていた。でも、その繰り返しは、コーチングの代わりにもなったし、理解し合うためには必要な時間だ。

投資対効果という視点で考えると、時間をかけてもお釣りがくるレベルだと、ぼくは思っている。

自分の考えを発信していきたいと考えている経営者は、どう発信を頑張るかではなく、どうやって発信し続けられる体制を築いていくかを考えてみてほしい。最初は時間も手間もかかるが、長い目で見れば、そちらのほうが得られる価値は高いはずだ。


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