組織のクリエイティビティを高める鍵は、定義と共通認識
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組織のクリエイティビティを高める鍵は、定義と共通認識

コルクを創業して、来年で10年目になる。

様々な個性のクリエーターを支援するには、編集者の育成が不可欠。僕自身だけでなく、どうやってメンバーの編集力を高めるかは、コルクを経営するなかで重要な課題だ。

そして、この課題について考える時、いつも刺激をもらう存在がいる。

リアル脱出ゲームを中心としたイベントの企画・運営を行うSCRAPだ。

SCRAP代表の加藤さんとは、リアル脱出ゲームの全国ツアーを『宇宙兄弟』でやらせてもらった時以来の仲だ。起業した後も、2ヶ月に一回くらいの頻度で定期的にランチをして、お互いの近況を報告しあってきた。

マンションの一室から始まった活動が、次から次へと話題になり、今やアルバイトを含め数百名を超える大きな会社となった。この前は、なんと加藤さんが『がっちりマンデー』に出演していた。クリエイティブな会社をスケールさせるをリアルタイムで見れたのが、僕には大きな刺激になっている。

特に、ぼくがすごいと感じるのが、ヒットを生み出せるゲームクリエーターが何人も育ってきていることだ。

現在、SCRAPでは、加藤さん以外のメンバーが主体的に企画したイベントもヒットしている。コロナでリアルイベントが無理になった時に、オンラインイベントを企画したのも社員だった。

加藤さんのクリエイティビティは、どうやってSCRAPという組織に移転したのか?

ランチの時に加藤さんに色々質問していたら、半年に一度開かれるSCRAPの企画合宿に参加させてもらえることになり、マンガ家を一人引き連れて行ってきた。

そうしたら、たくさんの発見があった。リアル脱出ゲームというのは、ルールによる見立てで楽しむ。ルールを自分たちで守ることがすごく大切だ。SCRAPは、合宿でもたくさんルールがあった。ルールの中で全力を尽くす。だから、集中してより力が発揮される。限定されるほうが、逆に想像力が働く。

合宿が始まる時に、加藤さんが挨拶をした。それが、すごくよかった。

どうやって、企画力をあげるのか?

企画力をあげるためには、企画の100本ノックだとか、人間力をあげるというような、フワッとした話になりやすい。企画についての本も、成功者の思考のプロセスが開示されていて、納得はするのだけど、なかなか再現できない。

SCRAPの企画力の定義は、明確だ。企画ポイントの多い人。

そして、企画ポイントはどうすると貯まるのか?

1:企画を作る
2:実行する 
3:世間の評価を受ける
4:振り返る

この一連を繰り返して1ポイント。どれか一部をしても、大ヒットをしてもポイントは貯まらない。これを繰り返した回数が多い人が、ポイントが貯まり、最終的にヒット作を作れる可能性が高くなる。

これだけはっきりと定義されると、何をどう頑張ればいいのかわかりやすい。「ヒットイベント」を作ろうだと、どこから手をつければいいのかがわからない。とにかくこのワンセットを繰り返そうなら、動き出せる。そして、1の「企画を作る」をするための合宿だと定義される。

次に、加藤さんからは、アイディアの出し方が定義される。アイディアとは、日々のインプットの積み重ねでしかない。半日あれば、必ずアイディアがでる。もしも、アイディアがでなければ、それはこの半年の過ごし方が悪かった。そして、直近触れたものの影響が一番大きい。そこからアイディアを考えようという提案だった。

企画となると、延々と粘ると何か出るかも、と自分に期待してしまう。しかし、それは無意味な行為だと定義し、きっかりと時間で区切る。ゼロから何かが生み出せれることはない。この6ヶ月のインプットからだという割り切りは、思考が止まりにくい。

この定義にぼくも賛成だ。

『ドラゴン桜』の三田さんも「とって出しができるクリエイターが最強」と、よく言う。

三田さんは、マンガを描きながらラジオを聞いていて、たまたまラジオで流れた内容をヒントに、次週のネタを考えたりする。触れたものを、次々とアイデアとして膨らませる技術があるから、三田さんはアイデアに事欠かない。すごい料理人は、余り物からでも、最高の料理を作れるのと一緒だ。

ゼロから面白いものを生み出さないといけないと思うと、時間もかかるし、考えていて苦しくなる。一方、自分が触れたものを上手く料理してアイデアをつくればいいと思うと、気が楽になるし、時間もかからないのだ

SCRAPの合宿には、細くルールがある。そして、お客さんにルールを守ってもらう自分たちこそ「ルールに誠実に」が合言葉で、そのルールを守る。

他のルールはSCRAPの企業秘密なので、ブログではここまでとする。SCRAPは、これからもたくさんのゲームクリエイターを排出する企業になるとより確信した合宿だった。

定義を厳格に定めたり、考え方を共通認識として統一すると、自由が損なわれ、クリエイティビティが低下すると思うかもしれない。でも、ルールを定めたほうが、クリエイティビティが発揮されやすいことに気づけたことは、SCRAPの合宿に参加した大きな収穫だった。

この気づきを、どうやってコルクスタジオで実践していくか。それを今、ものすごく考えている。


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佐渡島庸平(コルク代表)

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