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見えないものを想像できるか?

 世の中のすべてのことが、白黒はっきりつけれるわけではなく、グラデーションの中にある。そのことを頭で理解している。しかし、良く知らないことは、勝手に白黒はっきりつけられる世界として想像してしまっている。

 聴覚障がいとはどんなものなのか? 山本おさむの『遥かなる甲子園』という聴覚障がいの高校球児の物語が大好きで読んだりしていたので、少しは知っているつもりだった。

 しかし、吉本浩二の『淋しいのはアンタだけじゃない』を読むと、自分が全く聴覚障がいのことを知らなかったのだと理解させられる。音が聞こえない、聞こえにくいとはどのようなことなのかが、非常にわかりやすく説明されているし、それを健常者が想像できない分、どれだけ苦労するのかが、良く伝わってくる。そして、世間を騒がした佐村河内さんのゴーストライター疑惑も、世間の偏見の影響をどれだけ大きく受けていたかが、次第に明らかになっていく。

 エッセイマンガの形式で、作品には作者の吉本浩二が出てくる。吉本さんが、何気なく聴覚障がい者に「みなさんの笑顔いいなぁ、なんて明るいんだろう」と伝えたあとの、反応が予想と全く違って、そのシーンが頭からこびりついて離れない。

 ろうあ者は、他人に話しかけることができないから、急に相手の肩をつかむとかしないといけない。状況を理解しない相手は警戒をする。他人から警戒されて過ごす一生だから、笑顔じゃないといけない。笑顔は聴覚障がい者が生き抜くための唯一の武器で、幼い時から笑顔がうまくなるように教えられるのだ。

 「笑顔が素敵」そんな誰も傷つけることがないと思う言葉で、傷つく人たちがいる。世間には、なんと様々な人生があるのだろう。そして、どれだけ自分は、自分の人生を中心に世間を類推してしまっているのだろう。

 見えないもの想像する力こそが優しさで、そういった優しさを持てる大人になりたい。


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佐渡島庸平/コルク代表

2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、作家のエージェント会社、コルクを設立。

コルク佐渡島、note加藤のコンテンツ会議

コルク代表・佐渡島庸平、noteやcakesの運営会社ピースオブケイクの代表・加藤貞顕が、その週にふれたコンテンツについて書いていきます。毎週水曜日更新(予定)!

コメント5件

こんにちは。いつも楽しく拝読しています。^^
手話を習っていた時に沢山のろうあ者の方と交流しましたが、皆さん笑顔でした。
笑顔のきっかけがその理由でも、自然に心が追い付いてきている人もいるのではないかと思いました。
社会で、ろうあ者を受け入れる人の割合は少なくはありません。理解したいと思う人と交流する事で、笑顔に心が追い付いていく人が増えたら良いですね。^^


赤城 春輔
すみません。

例えばどんな所で習うんでしょうか?

気になってしまいました。
こんにちは、ありがとうございます。^^
私は地元の役所が情報発信・案内しているボランティア養成講座(今回は手話通訳者養成講座)を受講しました。
役所の広報紙・HP、各都道府県にある聴力障がい者協会や大学のサークル等のHPなどで講座の紹介がされています。^^



赤城 春輔
なるほど。
ご丁寧に有難うございます。

もう少し落ち着きましたら、調べます。
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