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企画力よりも大事な「継続力」

編集者という職業にとって、「企画」ほど大事なものはない。

就職してからずっと、企画力をどうやって磨けばいいのかということを考えてきた。もちろん、今もずっと考えている。

書店へ行くと、企画関係のビジネス本が大量にある。誰もが企画力を鍛えようと躍起になっている。ネット上でバズれば、インフルエンサーへの道が拓けると夢をみている。

『モーニング』の編集者だった時、新人漫画家が雑誌の誌面を勝ち取るためには、ホームランが必要だった。いきなり売れそうな臭いのする企画を唸りながら考えていた。

「ヒットじゃプロになれないよ。ホームランを打たないといけない」

そうやって新人マンガ家に発破をかけていた。しかし今、全く逆のアドバイスをするようになった。

「ホームランを狙うな。とにかく、ヒットを狙え!」
「ヒットじゃなくてもいい。毎日、漫画を描こう!」

一度も打席に立つことなく準備をし、初打席でいきなりホームランを打てる才能は、世の中にどれだけいるだろう?

毎日、打席に立ち、どれだけ空振りをしても恥じることなく立ち続ける。そういう努力をした人は、いつか毎日のようにヒットを打ち、気がつくとたまにホームランを打つようになる。

企画力よりも、継続力、やり抜く力の方が大事な時代だ。亀はウサギに勝つ。

毎日描くとなると、ネタ探しに多くの時間を割くことは難しい。だから、「電車で見た人のスケッチを描こう」「日記をマンガで描こう」など日々の出来事をマンガ化することを推奨している。

ツイッターで「#スケッチブックス」を検索してみてほしい。僕がアドバイスをしている漫画家が、毎日のように習作をアップしている。

こんなことでプロの漫画家になれるのかと疑問に思うかもしれない。

しかし、コルクbooksというプラットホームに継続してマンガを掲載している新人が、かなりの速さで成長している。正直、継続すると、ここまで早く変化が表れるのかと僕自身もびっくりしている。

例えば、「違和感コメディクリエイター」という肩書きで、4コマギャグ漫画を投稿する小山コータローさん。彼には、僕は何一つアドバイスしていない。ただ、彼の漫画を楽しみながら読んでいるだけだ現在、小山さんは、150日以上連続でマンガを毎日コルクBooksに投稿し続けていて、明らかにマンガ家としての腕が磨かれている。

《約1年前の小山さんのマンガ》

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《最近の小山さんのマンガ》

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絵の上手さ、コマごとのリズム、展開の面白さ。小山コータローさんは、この一年間で漫画家として圧倒的に成長した。

つのだふむは僕も定期的に打ち合わせをしている新人漫画家だ。

《約1年前の つのだふむの絵》

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《最近の つのだふむの絵》

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雑誌という限られた誌面を奪い合うとなると、新人の習作は、ボツにせざるを得ない。日の目を見ることがないと、自作を客観的に振り返る機会がない。大切なのは、毎日、工夫をしながら継続することなのだ。

ゆっくりとした成長は、前に進んでいないように感じて、じれったいかもしれない。でも、一年という単位で振り返ると、全く違う場所へと辿り着いている。

そして、僕は、レベルがある程度高まったタイミングで、僕は企画力を鍛えるためのアドバイスを始める。すると、月に一度、次第に週に一度くらいのペースでSNSで話題を呼ぶ投稿が本当に生まれてくる。フォロワーも数万人単位に増え、マンガを描いて欲しいというオファーも届き始める。

雑誌は掲載されると、すぐにお金がもらえる。ネットは、すぐにはお金がもらえないかもしれない。しかし、自分の才能を開花させ、プロとして食べていくためのメディアに十分なる。

今、求められる企画の質が、昔と変わってきている。

『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE』の本に「納品主義からアップデート主義へ」という内容を書いた。一点突破できる企画から、アップデート、アップグレードし続けれる企画の方がよくなってきた。

有料メルマガの成功事例として、堀江さんのメルマガはもっとも有名だ。その中に、突飛な企画は一つもない。堀江さんの日記だったり、メンバーからの質問への回答など、「今週はメルマガに書くことが思いつかない」ということが起きない企画が組まれているからだ。

Twitterは続けていると自然とフォロワーが増えていくし、Youtuberとして活躍している人も、毎日配信することを大切にしている。ずっと続けることが一番重要で、企画の強さを最上位に置いてしまうと、継続が難しくなってしまう。

僕のnoteの有料部分のコンテンツも、継続を最優先するという考えのもと、僕の日記を紹介する形にしている。無料部分で話すことと、有料部分で話すことの両方を決めてからじゃないと記事が書けないとなると、継続はできないと思ったからだ。

同時に、日記は価値のあるコンテンツだと思っている。なぜなら、僕が関心を寄せている経営者について知りたいのは、その人の考えだけじゃなく、日々どんなことに時間を配分し行動しているかだからだ。行動は嘘をつかない。それを知ることで、経営者として優先すべきことを推し量る事ができる。

全部は書けないとしても、極力オープンにすることで、僕を参考にしたいと思っている人には、日記は役立つコンテンツになる。

非日常的な企画よりも、日常的な企画を、どのように演出するかが、求められるようになってきてる。

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