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チームづくりは、"正反対な二人"から

自分と違うタイプの相手と組むほうが、チームは強くなる。
チームビルディングにおいて、よく言われることだ。

アップルの創業者のスティーブ・ジョブスとスティーブ・ウォズニアック。ビートルズを結成したジョン・レノンとポール・マッカートニー。正反対のタイプの2人からはじまって、偉業を成し遂げた事例は数多く存在する。

宇宙兄弟もタイプの違うふたりの主人公から始まる物語だ。

自分に自信がなく、周りの空気に敏感な兄のムッタ。自分に絶対の自信を持っていて、ブレない弟のヒビト。凸凹なふたりがお互いを補完し合っているからこそ、ムッタもヒビトも共に成長することができている。

とはいえ、自分と正反対のタイプでありながらも、価値観や想いを共有し、一緒のゴールに向かって走ることのできる相手を見つけるのは難しい。そういう相手が見つかった人は、ある種、運がいいとも言える。

最近のぼくは、この正反対の相手とチームを組む価値が、実体験している。

その相手は、東京ネームタンク代表のごとうさん。

ごとうさんは、ストーリー漫画の描き方を学ぶ教室を運営するなど、マンガを描く人をサポートするための様々な企画を実施している。最近では、マンガ家のためのYoutubeチャンネルも運営していてる。

ごとうさんとの出会いは、3年くらい前。

ぼくは、物語の創作において、"型"が大切だと常々言っている。

いきなりゼロから新しいものを生み出そうとしても大抵うまくいかない。そもそも“型破り”というのは、読んで字の如く、型を破ること。型を抑えていない人は、永遠に型は破れない。だが、映画や演劇の脚本術の本と違い、マンガの指南書には、型についての言及は少ない。そして、ストーリーの型は、脚本術でほとんど見つかっていて、それはマンガにも応用できる。

新人マンガ家の育成のために、マンガの型を体系化したいと考えていた時に、東京ネームタンクの資料を見て、その内容に驚いた。ストーリー漫画における型がわかりやすくまとめられていたのだ。

それで、ごとうさんには『コルクラボマンガ専科』に講師として加わってもらったのがだが、ぼくがごとうさんを誘ったのには、もう一つ理由がある。

ごとうさんは、もともと連載作品をもっていたプロマンガ家だ。マンガを描く喜びも、描けない時の苦しさも理解している。また、自分の作品に対する世間の評判がどうしても気になってしまう感じとか、創作者ならではの感情も知っている。

知識や技術を教えるだけでなく、マンガ家の気持ちにも寄り添うことのできる存在として、ごとうさんと一緒にマンガの学校を作りたいと考えたのだ。

実際、コルクラボマンガ専科が開講すると、ごとうさんは受講生に対して、とても熱心かつ誠実に接してくれた。ごとうさんの、マンガ家の役に立ちたいという気持ちは純粋で、ぼくの期待を遥かに超えるものだった。

もっと一緒に仕事をしたいと思い、今年から、ごとうさんには、コルクに所属する新人マンガ家との打ち合わせに同席してもらっている。

ぼくとごとうさんは、マンガづくりにおける考え方は似ている部分が多いが、コミュニケーションのタイプは正反対だ。

ごとうさんは、相手をものすごく気遣って、コミュニケーションをする。わかりやすく噛み砕いて説明したり、変な誤解を与えないように丁寧に伝えていく。だが、それは裏を返すと、遠回りな物言いになってしまうこともあり、逆に伝わらない可能性もある。

一方、ぼくは直球な物言いで、ズバッと端的に言う。わかりやすくていいという人もいるが、意味が理解ができなかったり、誤った解釈を生むこともある。また、言葉の勢いが強すぎて、責められているように感じてしまうこともある。

面白いのが、ごとうさんが打ち合わせに入ってくれたおかげで、ぼくとマンガ家のコミュニケーションが、驚くほどスムーズになったことだ。

ぼくの発言を「こういう意味だよ」とほぐしてマンガ家に伝えてくれたり、マンガ家がうまく説明できない時に言葉をまとめるのを助けてくれる。そして、この体制になってから、マンガ家からあがっている原稿の質が明らかに良くなった。

チームビルディングで語られる、お互いの強みを補完しあう関係の価値を、ごとうさんと一緒に仕事をする中で実感している。

でも、振り返ると、コルクラボマンガ専科を一緒に運営する中で、お互いのことを深く理解したり、価値観の擦り合わせを、しっかりとできたことが良かったのかもしれない。いきなり、マンガ家の打ち合わせに入ってもらっても、今のような状態は築けてなかっただろう。

そう考えると、 チームづくりは、誰と組むかも重要だが、関係を築いていくプロセスも同じくらい重要なことがわかる。

今後、ごとうさんには、ぼくのYoutubeチャンネルにも出演してもらって、マンガの描き方について語る動画を投稿していく予定だ。マンガを描いている人はもちろん、マンガを描くことに挑戦したい人も、是非、ぼくらの活動に注目してほしい!


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