贈与が溢れて、出来上がっている居場所
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贈与が溢れて、出来上がっている居場所

物語を作るとは、「アンサング・ヒーロー」の活躍を描くことだ。

『世界は贈与でできている』を読んでから、そんな捉え方をするようになった。

アンサング・ヒーローとは、人が気づかないところで社会の安定を保つために努力している人。

そして、渋谷と三軒茶屋にある小さなカフェ「マメヒコ」のオーナー井川さんは、アンサング・ヒーローだと僕は思っている。

井川さんは、映画を撮ったり、雑誌を出したり、演劇をしたり、歌謡ショーを開いたりと、カフェをやりながらいろんなことをやっている。そのどれもの質が高いから、僕はマメヒコが好きで、定期的に通っている。その流れで、僕自身が、井川さんの作った劇に出演してしまったほどだ。(12月に再演の予定)

井川さんは、いつも「自分はカフェを作っているのではない。居場所を作っているんだ。」とマメヒコのことを表現していた。コーヒーが美味しいのも、花が飾ってあるのも、音楽がセレクトされているのも、トイレを綺麗にしているのも。全ては、居心地をよくするためだ。だから、井川さんは、コーヒーへのこだわりと同じだけの熱意を持って、トイレの綺麗さを自慢する。

僕はコルクラボというオンラインサロンを運営する中で、居場所とはなんなのか、居心地はどうやったらよくなるのかを考えてきた。それで、こんな本まで出版している。

コロナの自粛の時、井川さんは、マメヒコを閉めなかった。別に誰かが来るわけではない。でも、開いていた。コーヒーは、家でも飲める。でも、居場所は閉じたら来れなくなる。ここは居場所だから、人が来なくても空けておかないといけない。

不登校の僕の長男の居場所を作ってくれるのを手伝ってくれたのも井川さんだ。マメヒコは、北海道に畑を持っている。そこへお客のみんなで行き、一緒に畑仕事をする。そこに息子を誘ってくれたりしていた。

僕が思っているよりも居場所を作るということにかける井川さんの想いが強いということを体験する出来事があった。

息子が全く学校へ行かないという話を聞き、北海道の畑だけなく、もう一つ踏み込んで息子と関わってくることになった。週に1、2回くらいマメヒコで面倒をみてくれるという。一日中ただいてもいいし、そこで勉強してもいいし、仕事を手伝ってもらってもいいよと。

長男も井川さんの提案は喜んで、マメヒコに行くことを楽しみにしていた。

だが、出かける直前になって、急に「行きたくない」と大騒ぎになった。今、長男は4年生。頭と心が一致していない。冷静な時は、大人もびっくりするぐらい自分の考えを話すのだけど、気持ちが一度、混乱すると、手がつけれないくらい暴れてしまう。そして、楽しみなことの前は、いつもそれが起きる。期待しているほど楽しめなかったらどうしよう。そんな不安がよぎって、大騒ぎになる。4年生の男子が、大騒ぎになると、大人でも手がつけられない。

マメヒコに行く日もそれが起きて、「今日は行けないので、また次の機会に」と、お詫びの連絡を井川さんに入れた。

すると、井川さんから「すぐに行く」と返事が返ってきた。井川さんは、10分もせずに僕の家までやってきて、息子をバイクに乗せて、カフェマメヒコへと連れていった。

息子と井川さんが、どんな風に話し合っているのかは、この動画に上がっている。

ぼくは井川さんに感謝の想いでいっぱいだったのだが、子供はみんなで育てるもので当たり前だと言う。僕は今回、井川さんの贈与を直接、目撃する機会があった。

カフェマメヒコは、そのような贈与がたくさん溢れて、出来上がっている居場所なのだと思う。

マメヒコは、そこに偶然やってくるお客さんと、居場所としている人によって成り立ってる。でも、コロナで偶然やってくる人たちの数が一気に減った。

僕はこの素敵な場所をご近所さんにおすそ分けしたくて、今週のブログを書いた。渋谷、三軒茶屋に行く時は、ちょっとゆっくりした余裕を持って、マメヒコへいって、その場の居心地を味わってみて欲しい。

僕と息子もよくいるので、そこで会うかもしれない。

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9月28日(月)

この日は、嬉しいニュースがあった。

それは、岸田さんの本『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』に重版がかかったことだ。

先週の金曜日にも一度かかっていて、今回またすぐに重版がかかった。勢いが本当にすごい!

その興奮のまま、岸田さんとYouTubeで対談をした。


岸田さんとは、雑談をしているだけで、ネタがどんどん鋭くなっていく。毎日のように話をしているのに話が尽きず、30分だけの予定が、気づけば1時間半も話していた。

一年前に出会ったとき、彼女は、恐る恐るブログを書いていた。しかし、この一年で自分は今後どう生きていけばいいのかと悩んでいたところから、「作家です。」と名乗れるところまで来ている。たったの一年でここまで成長していることが、本当にすごいと思う。

僕としては、これから彼女が、ハリウッドからも求められる最強のストーリーテラーになるところまで、一緒に歩むことに挑戦したいと考えている。彼女がどこまで変わっていくか、本当に楽しみだし、彼女と仕事ができて幸せだ。

夜は、コルクラボのみんなと『テネット』を見てきた。

見終わって、みんなで感想戦をしたことが、すごくよかった。みんなの感想によって僕の理解が深まり、僕の感想に対してみんなが思ったことをその場できけてとてもよかった。

これからの時代は、こうして何人かで映画館にいくのが主流になっていくかもしれない。

あまりにも楽しかったので、その場でYouTubeの収録もしてみたので、是非見て欲しい!

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佐渡島庸平(コルク代表)

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コルク代表・佐渡島のnoteアカウントです。noteマガジン『コルク佐渡島の好きのおすそ分け』、noteサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』をやってます。編集者・経営者として感じる日々の気づきや、文学作品の味わい方などを記事にしています。