あいまいで未知。だから、感情の探究はおもしろい。
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あいまいで未知。だから、感情の探究はおもしろい。

佐渡島庸平(コルク代表)

「虹は何色あるのか?」

日本では7色と答えるのが一般的だが、インドネシアの人は4色、台湾の人は3色と答えるそうだ。色に対する概念が異なり、 その色を表現する言葉の差で、知覚される「色の数」は変わってくる。

人間は言葉や概念を通して、世界を知覚する。
つまり、概念にないことは知覚できない。

ぼくらは無自覚のうちに、さまざまな感情に影響を受けて生きている。言い換えれば、感情とは「今、自分が何に注意を向けているのか」を自覚するためのツールとも言える。

感情こそが、自己認識を深めてくれる鏡だ。

だけど、「感情にはどのような種類があるか?」と聞かれたら、いくつの言葉をあげられるだろうか?

「喜怒哀楽」の4つの言葉しか思い浮かばなければ、感情は4種類にしか分類されない。一方、仏教では、「七情」と言って、「喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲」の7つを基本の感情としている。虹が何色に見えるかと一緒で、概念によって、感情の捉え方は大きく変わる。

また、悲しみの中に「悲嘆」 や「哀愁」といったニュアンスの異なる言葉があるように、ひとつの感情の中にも様々なグラデーションがある。それぞれの言葉と概念の違いを知っているからこそ、区別をつけて感情をより細かく認識することができる。

自分を正しく認識しようとするならば、感情を表す言葉と、その言葉の概念を知っておくべきだ。

ぼく自身、感情についての理解を深めたいと思い、数年前から、石川善樹とマンガ家の羽賀翔一を交えて、感情について自由に考える時間を定期的に設けてきた。その時の内容は、ぼくのnoteで記事として幾つか残してきた。

いざやってみると思った以上に奥深い世界で、話せば話すほど「問い」は広がり、新たな気づきも生また。

そして、この感情論考が一冊の本となり、今月発売が開始された。タイトルは『感情は、すぐに脳をジャックする』だ。

本の前半は、ぼくが書いた感情考察論。後半は、9つの感情について、石川善樹と羽賀翔一と鼎談形式で、それぞれの感情について考えていく。せっかくなので、羽賀くんに感情についてのマンガも描き下ろしてもらった。

あらかじめ伝えておくと、それぞれの鼎談に、明確な答えも気の利いたオチもない。ひとつの感情について、自由な視点でアプローチしながら、理解を深めることを目的としている。おそらく、ぼくら自身の考えも、今後さらに変わっていくだろう。

ただ、ぼくらの思考の過程が、わかりやすく明示されているとは思う。だから、読んでくれた人にとって感情について考察するヒントが見つかるかもしれない。 受け止め方は人それぞれでいいし、「あなただったら、どう考えるか」という視点で、読んでもらえたら嬉しい。

感情の解釈は千差万別であり、例えば、ぼくと羽賀君では「恥」に対する観念は大きく異なる。だからこそ、感情の定義は難しいわけだけど、この試みは面白く、多くの気づきを与えてくれた。

概念も定義もあいまいで、実態がなく、けれども、ぼくらのあらゆる活動に多大な影響を与える「感情」。

昔は、穏やかな感情になりたいと思っていた。
最近は、いろんな感情になり、それを手放して、観察することで、人生を味わいつくしたいと思っている。


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