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目標を自分ごとにする鍵は、振り返り

春が来た。3月は、会社で「来期の個人目標」を設定する人が多いだろう。

目標を立てて、計画を執行する。何かを達成するために、それは揺るがない真理だとぼくは思っていた。

できない人は、目標、計画の立て方が悪い。どうやったら、目標、計画の立て方がうまくなるのか?1on 1で上司が一緒に目標を立て、進捗管理をすることで、精度が上がるのではないか? 延々と色々な仕組みでやっていた。でも、どれもうまくいかない。

実際のところ、社員の内発的動機ではなく、上司の顔色や組織の都合に合わせた目標になる。目標設定の会議をスムーズに終われせることが目標になるという本末転倒。目標が自分ごと化されていないため、こちらが期待した動きとは程遠く、その場限りになる。

どうやったら、自分ごととして捉えられる目標を立てることができるか? 

この長年の問いを紐解く糸口が見つかった。

それは、振り返りだ。そして、上司は、目標設定ではなく、振り返りに寄り添う。

昨年から、ぼくは毎晩振り返りを行い、その内容をvoicyで配信してきた。その日、どんな出来事があったのか。その出来事に触れて、自分はどんなことを感じたのか。そして、何に気づいたのか。事実と感情と解釈を分けて、その日を振り返ることを繰り返している。つい先日、配信を開始して、200回目を迎えた。

振り返りを行うと、様々な自分の感情を認識することができる。喜びや憧れもあれば、迷いや反省もある。そして、なぜ自分がその感情になったのかを掘り下げて考えてみる。

すると、「もっと、こうないたい」とか、「次は、こうしたい」といった気持ちが自然と湧いてくる。これは、誰かから求められたことではなく、ぼく自身の偽らざる欲望だ。

そうした振り返りを日常的に行うことで、自分がどういう時に、どんな感情を抱くかの傾向が見えてくる。そうして、自心の心の癖への解像度が高くなると、自分が欲望の輪郭が見えてくる。

そもそも、来期が迫ってきているから目標を立てようとしても、自分についての解像度が低い状態では、「本気で成し遂げたい」と思える目標など立てられない。

むしろ、上司や会社から評価されるために、勢いで高い目標を立ててしまうと、そのことで自分を苦しめることになりかねない。目標を達成できないことが続き、周囲も評価しないだけでなく、自分で自分を認めれなくなる。そんな状態になるくらないなら、目標も、計画も、立てないほうがいい。逆効果だ。

目標設定を管理する仕組みから、振り返りに寄り添う仕組みへと作り変える。振り返り自体を会社の文化にしていく。

目標を自分ごとにするための鍵は、振り返りだ。

つまり、管理ではなく、コーチングが大切だということを、ぼくは自分の経験を通じて到達したのだ。

コーチングでは「引き出す」という表現がよく使われる。まずは、相手がどう感じているのかを傾聴し、相手が自分の現状やこれまでについて語る中で、相手自身が自分の課題を発見できるように働きかけていく。いいコーチングは、振り返りをサポートするのだ。

『ドラゴン桜2』のドラマが4月からはじまるが、マンガ版では学校教育のあり方がティーチングからコーチングに変わってきていることを描いている。桜木の生徒への接し方も、トップダウンで生徒に命令を出すのではなく、生徒の主体性を育てるスタイルへと変化している。

学校でも、企業でも、子育てでも、あらゆる領域で、コーチングの考え、今の時代に求められていることを改めて感じる。他者に直接的に働きかける行為は、圧やハラスメントととして捉えられる。そうではなく、どう内から多様な自分を引き出すのかという時代なのだ。


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