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息子たちよ、とにかく元気に育っておくれ

僕は、比較的、不機嫌にならないほうだ。……と思う。

不機嫌になっている時に自覚的になることは難しいから、僕だけが気づいてない可能性もあるのだけど、たぶん大丈夫だと思う。

ちょっとだけ心配だから、念のために聞くけど、僕は機嫌がいいほうですよね?(異議がある人は、@sadycorkに話しかけて!) でも、眠い時だけはダメだ。体力切れを起こすと、僕はとてつもなく理不尽になってしまう。

子供の人格に影響するのは、環境なのか、遺伝子なのか、ということを前回書いたけれども、もっとも影響するのは、体力ではないかと思う。

一平は、非常に怒りやすい。こだわりが強くて、自分の思い通りにいかないと、不機嫌になる。(我が家の息子は全員、平がつくのだが、本名ではなく、仮名で言ってほしいという妻からのリクエストがあり、今回から、一平、ニ平、三平と呼びます。ネット上で匿名か、本名か、写真をネット上に置くかどうかは、何が正解か分からないのが、これからの時代。分からないことは妻に従うのが、僕の生きる智慧。そんなことを世間にばらしてごめんよ)

子供の状態など、年齢ごとにすぐに変わるのに、子育てをしていると、なぜかこの性格が一生ついてまわるのではないかと心配になってしまう。

こだわりの強さが一平の魅力なのだけど、そのこだわりの強さ故に、世の中が生きにくくなってしまうのではないかと、僕も妻も心配をして、夜中に相談したりしていた。それで「まぁ、いっか」を口癖にしよう運動を家庭でしていて、僕も妻もたくさん「まぁ、いっか」を言っていた。

一平は、アレルギーがあって、ちょっとしたことで全身に湿疹が出てしまう。1歳の時は、それで救急病院に連れていったりしたことがあるくらいだ。

6歳になった今でも症状は残っていて、風呂上がりに全身にプロペトや薬を塗らなくてはいけない。それでも、朝になると、眼が腫れている。あまりにも状態がよくなく、ずっと目薬で対策をしていたのだけど、妻が眼の中にいれる塗り薬をもらってきた。

それを塗ってみると、一平の体調はみるみるよくなった。アレルギーの起きている場所が減るだけで、睡眠の質も変わる。よく寝れるようになり、一平の怒ることも一気に減った。

怒りやすい性質だったというよりも、体力切れを起こしていて、怒りやすくなってしまっていたのだ。こだわりがあり、怒らないなら、それが一番だ。(僕も妻も、こだわりがある方が人生楽しいという価値観で一致している)

二平、三平は、アレルギーがない。それだけで、子育てもすごく楽だし、彼らの機嫌もいい。

しかし、子育てに同じ時期は続かない。

いつも機嫌がいい二平が、怒る姿をよく見かけるようになった。イヤイヤ期なのだと思っていたのだけど、どうも違う。二平ははじめは、ちょっとしたイビキをしていた。それが、数ヶ月であっという間に、おっさんのイビキのようになった。(はじめは、妻のイビキだと疑ってしまった!!失礼!)

4歳で、天使のような顔をしながら、完全におっさんのイビキ。初めは、僕も妻も笑っていたのだけど、どうやらよく眠れていないらしい。昼間にちょっと行動すると、すぐに寝てしまう。

気がつくと、体重が減り始め、身長が伸びていない時期が3、4ヵ月も続いていた。これは何か異常があると病院へ連れていくと、扁桃腺が大きくて、寝る時に気道を塞いでしまっていて、眠りが浅くなってしまっているということが判明した。

この原稿を書いているまさに今、二平は、入院している。手術は無事終了して、すごく大きい扁桃腺がとれた!半年近く止まっていた成長曲線は、これから元の成長曲線に戻り、全く問題なくなるという。

そのことを医者から聞いているものの、原因がわかってから手術するまでの数ヶ月、気が気でなかった。妻はイビキをちょっとでも抑えられないか、祈るように二平と寝て、何度も起きては姿勢を変えていた。大して効果がないとわかりつつも、そのようなことをしていないと、不安で眠れなかったのだと思う。

子育てをして、一番、驚いたのは、その儚さだ。

5歳頃までの子供は、あまりにも儚い。ふとした拍子で、あっという間に命が奪われてしまってもおかしくない。自分の5歳以下の記憶などほとんどない。儚い自分の命を、両親が大切に育ててくれたという意識などどこにもない。

しかし、この儚い状態を、親は慈しみながら育て、子はそれをすべて忘れながら育つのだなぁと実感する。

子育てを通じて、生まれる感情の中で、最も予想外のものは、親への愛情だ。僕が子に向けるような眼差しを、両親が僕に向けていたことを初めて想像するようになった。

子供の人生を左右する出来事は山のようにあるだろう。遺伝子も環境も大事なんだろうけど、一番、長期的に人生に影響を与えるのは、体力なんだと思う。

たくさんのクリエイター、経営者と会う中で、成功者に共通しているのは、誰も皆、体力があるということだ。体力があれば、失敗しても、自分で考え、自分で軌道を修正して、生きていける。

「子供に望むことは、健康的に育って、親より長生きしてもらうことだ」と僕の両親はよく言っていて、なんでそんなことをわざわざ言ってくるんだ?とずっと思って育ってきたけど、めぐりめぐって同じようなことを息子たちに期待している。

とにかく健康に育ってくれ。そうすれば、自分でなんとかするだろうと。

ちなみに、最近、僕はジム通いを始めたのだが、それも体力をつけるためである。(笑)

(エッセイ・2017年7月8日執筆 / トップ画像イラスト:秋野ひろ

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上の文章は、以前に「ベビモフ」というWebメディアで、僕が連載していた子育てに関するコラムを転載したものだ。当時は、子育てをしていて感じる自分の思いや感情を忘れないために書いていた。

連載自体は終了したのだけど、コルクラボのメンバーから、僕が子育てについてどのように考えているかを知りたいとリクエストをよく貰う。そこで、無料部分では過去の分を転載して、最近の子育てについては有料部分でインタビュー形式で書き起こすことにした。

今回のテーマは、「体力維持のための『二重目標』と『気づきポイント』」です。

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