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心理的安全性と、短文コミュニケーション

佐渡島庸平(コルク代表)

コルクでは行動指針のひとつに「さらけだす」を掲げている。

会社には多様な価値観を持った人間が集まる。良かれと思って発信したメッセージや行動が、ネガティブに受け止められたり、意図しない解釈で受け止められてしまうことがある。

他者同士が協力しあい、居心地のいい場所を築くためには、お互いの前提となるものをさらけだしていくしかない。

相手に自分の気持ちを察してもらおうとするのはやめよう。相手が自分と同じ考えだろうと、勝手に推測するのをやめよう。全く違う考え方をしていると想定して、自分が何を欲し、今どんな状況にいるのかをさらけだそう。

こうしたメッセージを行動指針の「さらけだす」に込めている。

最近、この「さらけだす」という概念において、大きな発見があった。

「さらけだす」と言うと、自分について知ってもらうために、しっかりとした長文のコミュニケーションをイメージする人が多いと思う。例えば、社員が集まる場でプレゼンをするとか、社内のグループウェアでしっかりとした自己紹介を投稿するとか。

でも、「さらけだす」の目的は相互理解だ。例にあげたような長文のコミュニケーションは相手に自分のことを知ってもらうための一方的な投げかけで、覚悟を決めた告白に近い。

そもそも相互理解とは簡単にできるものではない。時間をかけて、相手と対話をしながら、ゆっくりと深めていくものだ。

そういう点から、長文ではなく、短文のコミュニケーションを積み重ねていくことが、「さらけだす」において重要だと考えだしている。

短文だと短い会話になるので、相手のことを理解できなかったり、誤解が生まれることもあり得る。でも、それは会話を生むフックにもなり、継続的なコミュニケーションが生まれやすい。

長文のコミュニケーションだと、分かりやすく丁寧に書かれているため、読んで終了になりかねない。しかも、気になるところが多数ある場合は、どこについて話せばいいのか優先順位を決めるのが難しく、結局、何も聞かなくなる。

おそらく、長文のコミュニケーションは、相手に丁寧に伝えたいという誠意や親切心から生まれていると思う。

だけども、変に相手に受け止められたら嫌だといった不安や恐れも、そこには潜んでいるのではないか。言い換えれば、長文コミュニケーションとは、相手を信頼しない、心理的安全性がないコミュニケーションとも言える。

今の自分の感情だったり、最近感じたことを、短文でコミュニケーションしあえる関係性が築かれている。それが、「さらけだし」がうまくできている状態ではないだろうか。

こうした仮説を持っていたのだが、そのことがデータとしても、一定の確認ができた。

実は、コルクでは『リバネス』という組織の課題解決を専門にしている会社と一緒に、slackのデータを用いた組織内コミュニケーションに関する共同研究をしている。

先日、コルク社内のslackのデータ分析のレポートを見せてもらったのが、長文のコミュニケーションよりも、短文コミュニケーションが活発に起きているチームのほうが心理的安全性が高いことが推測できた。

長文でしっかりと丁寧に伝えることに慣れている人は、あえて余白を残す短文コミュニケーションを積み重ねることに抵抗があるかもしれない。でも、対話を生むためのフックと捉えれば、あえて丁寧すぎないほうがいい。

誰かと深い関係を築こうと思ったら、練りに練った告白をするのではなく、短文で対話を重ねる。

心理的安全性が高いから、短文でコミュニケーションするのではない。一方が思い切って、短文コミュニケーションをすることで、その場の心理的安全性がますのではないか。「さらけだす」への解像度がより高まった。


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佐渡島庸平(コルク代表)

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佐渡島庸平(コルク代表)
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