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プロとして物語を描き続ける人になるために

編集者として、マンガ家と打ち合わせを15年近くしてきた。

「どうすれば心に響く物語になるか?」
「マンガ家が作品を描き続けるために何が必要か?」

これまでの経験や知識を体系化したいと思い、マンガ家を育成する『コルクラボマンガ専科』を立ち上げた。

約半年間のカリキュラムで、現在は2期がはじまっている。2期では、1期の講義内容をさらにブラッシュアップしている。マンガ家を目指していなくても、編集者、企画者にも役立つ内容になってきた。

以下は、マンガ専科の第1回目講義『プロのマンガ家になるとは?』のほぼ変更なしの書き起こし原稿です。

※ 現在、『コルクラボマンガ専科』は第2期を開催中。第3期への参加に興味のある方は、こちらに登録いただければ、最新の情報を送ります。

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目指すは、フォロワー1万人!

コルクラボマンガ専科の2期をはじめます。

1期では、受講生として参加してくれたよこせくんが課題で書いたマンガがTwitterで大きくバズり、Buzzfeedで記事にもなりました。

よこせくんは、約半年間の講座期間中に、初めは300人くらいだったフォロワーが、8,000人くらいまで増えました

でも、「フォロワーが1万人になる受講生を卒業までに3人育てる」がマンガ専科の裏目標だったので、僕としてはちょっと悔しいです(笑)。

今回は、それが達成できるように、カリキュラムを大幅に変えました。

講座に関する感想やコメントなどのSNSでの発信は、完全に自由です。そのときに、「#コルクラボマンガ専科」のハッシュタグでつぶやいてください。

心構え① 自分の「壁」を理解しよう

今日の講義のテーマは「プロのマンガ家になるとは?」です。

ただ本題に入る前に、マンガ専科にのぞむ心構えについて。

僕らは6ヶ月間、みなさんの「知識の壁を超える」ことだけを手伝います。

実は、ほとんどの人は「自分が何を知らないのか」を知らない状態だと思います。

マンガ家を目指す人は、マンガが大好きで、常日頃からマンガを読んでいると思います。ですが、プロのマンガになるために必要なものって、わからないですよね?

僕ら講師は、「プロのマンガ家になるうえで、身につけておくべき知識は何か」を教えます。ただ、僕らが6ヶ月間の講義でみなさん教えられる情報は限られています。だから、「自分が知らないこと」を知ったら、みなさん自身で本を買ったりして、知識を集めてほしい。

知識の壁は、自分で超えましょう。

そして、その知識をもとに、行動の壁を超えてください。マンガを描くことを習慣にしましょう。

マンガを描き続けていると、SNSのフォロワーだったり、友人・知人から様々なフィードバックがもらえます。そして、自分のマンガを読み直すことで、自分自身で気付きを得られます。自分で得た気付きから学べるほど、尊いものはないです。それがみなさんを、しっかりと成長させてくれます。

読者の声を聴きながら、修正と改善を繰り返していくと、だんだんと技術がついてくる。その中で「もっと、この技術を磨きなきゃダメだ」と感じる技術の壁ともぶつかります。

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人がプロとして何かをやるためには、これだけの壁を超えないといけない。そのこと自体も、みなさんは知らなかったんじゃないかと思います。

編集者がマンガ家のためにやれることって、すごく限られています。

他人が他人を助けるって、実はそんなにたくさんのことはできません。僕が経験のある編集者だからといって、「いろいろアドバイスをして、みんなを超一流のマンガ家に育ててみせる!」なんてことは起きないんです。

何もわからない人間がいきなり行動量を増やしても、知識が全然なかったら、結局は続かない。自分がどこの壁でつまづいているのか。ただ知識が足りないだけなのか、行動量が足りないのか。

自分が今どの壁の前で止まっているのかを、自分でわかるようになってください

心構え②「水を交換する」気持ちでいよう

僕を含め、講師が話す内容は、基本的には世の中の本に既に書かれています。それを、わかりやすく編集して伝えていくので、本よりは理解しやすいかもしれないけれど、前提としては「すでにある知識」です。

だから講義を聞いたあとに、お互いに感想を言い合う中で、より学びを深めてほしいです。

例えば、Twitterに自分なりの感想を投稿してみてください。1ページマンガでレポートを描いてみるのもいいでしょう。

たとえば、今日の講義の感想を全員がTwitterに上げたら、50通りの感想が共有できるわけですよね。その感想を見比べることによって、「なるほど、そういう視点もあるのか」など、自分が感じられなかった気づきが得られるかもしれない。

このように、常に水を交換する気持ちでいてください。

そういう考え方でいると、間違った学びを発信しても、「違うよ」と誰かが教えてくれます。教える側も、教えることで自分の理解が深まるから、お互いにとっていいですよね。間違うことで、他の誰かの成長を助けることだってできちゃうわけです。

図1

間違えることは全然悪いことじゃない。「このコミュニティで自分たちは育つんだ」と思っていると、間違った発信すらも、コミュニティ全体の知識量を増やしていきます

どんどん水を交換するつもりで、発信していってもらえればと思います。

行動指針は「好きのおすそ分け」

次に、「行動指針」についてお話します。

みなさんは、プロのマンガ家として成功したいと思っていますよね?

でも、ヒット作品を生み出すために、世間の人から好まれそうなものを予想しながらマンガを描き続けても、なかなか幸せにはなれません。マンガを描くのが辛い作業になってしまうかもしれない。

僕が思う、クリエーターとして活動するために一番重要なことは、「自分の好きを、マンガという表現手段を通じて、おすそ分けする」だと思います。

図1

マンガ家に限らず、編集者や小説家など、コンテンツを作って、ファンに届ける全ての職業は「好きのおすそ分け」という言葉に集約できます。

自分の好きをおすそ分けしようと思って、作品を描き続けている限り、必ず個性的な作品が出来上がるはずです。

マンガ家は、「時間を止める技術」が必要

さて、具体的な内容に入っていきましょう。

この講座では、小説家や脚本家になりたい人にも役立つ話をしていきますが、やはりマンガ専科なので、「マンガとは何か」を深く考えてほしいと思います。

そもそも、面白いマンガとはなんなのか…?

★月額800円の noteマガジン「週刊!編集者・佐渡島の好きのおすそ分け」の読者の方は、そのまま、お読みいただけます。


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