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AIを味方につける人と、そうでない人の差

新しくリリースされた『Chat-GPT4』が大きな話題を集めている。

Googleの検索によって、暗記量がものを言う時代は終わり、集めた情報から何を導き出すかが重要な時代へと変わった。そして、AIが膨大な情報を整理し統合する精度が高まると、どんな時代がやってくるのか。全く新しい時代が始まろうとしている。

ひとつ現時点で確実に言えるのは、「問い」を立てることがより重要な時代になるだろう。

Chat-GPTがどれだけ優れた知性をもっていても、自分から働きかけていかなければ、何も引き出すことはできない。「自分は何を深めたいか」「何を検証したいか」といった問いや仮説がない状態では、対話を発展することはできず、検索と大差のない結果になる。

どんなに優秀なコーチであっても、選手自身に「自分はこうなりたい」「ここを改善したい」というビジョンがないと、コーチはサポートのしようがない。それと同じことが、AIにも当てはまる。

言い換えると、問いを立てることが得意な人にとって、Chat-GPTのようなサービスはまさに「鬼に金棒」のような存在だ。情報収集や分析のスピードを圧倒的に早めるだけでなく、AIが自動生成する文章を分析することで、新たな洞察を得ることができる。

また、「対話する技術」もより重要となってくるはずだ。どういう問いかけをすると、自分の立てた「問い」について、多面的・多角的な見解をAIから引き出すことができるか。そうしたAIとの対話の技術が必要になる。ひとつの問いで、全てを理解する答えを期待することはできない。

自分の意志を相手に伝え、いい問いかけによって、対話を深めていく。これはもはや「人間力」と言っても差し支えないかもしれない。

振り返ると、インターネットによって様々なものが民主化されるなかで、今ほど「何かを学びたい」と思う人にとって恵まれた時代はない。あらゆる分野におけるコンテンツが、初心者向けから上級者向けのものまで、インターネットで無料公開されている。

そうした環境を活かす人と、そうでない人の差は何かと考えると、やはり自分なりの「問い」「仮説」をもっているかどうかだ。

自分の「問い」をもっている人は、自分が求めているコンテンツを能動的に発見し、そこから学びを次々と持ち帰ってくる。一方、自分の「問い」を知らない人は、タイムラインに流れてきた情報やレコメンドされたコンテンツを、ただ消費し、右往左往することしかできない。

今後、AIが発展していくなかで、そうした格差は更に大きくなっていくだろう。自分の「問い」は何かを知り、自らの意志をもって行動できる人が、環境をより味方につけていく時代になりそうだ。


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また、ぼくがどのようにして編集者としての考え方を身につけていったのかを連載形式でシェアしていきます。コルク社内の中堅社員にインタビューをしてもらってまとめた文章を有料部分で公開します。

つまらないの裏に面白さがある。

編集者の仕事は、まだ知られていない「面白い」を見つけることだ。

そして、「面白い」と「つまらない」は表裏一体になっていることがある。ある人には当たり前になっていることが、実は世間にとっては新しい情報になる。

そのことを三田さんが教えてくれた。

ぼくが担当になったのは、第二次世界大戦を舞台にした新連載を立ち上げようとしていたときだった。東大卒だから、資料集めや調べ物は得意だろうという編集部の判断だったが、三田さんの方が圧倒的に知識があって、あまり役に立てずにいた。

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表では書きづらい個人的な話を含め、日々の日記、僕が取り組んでいるマンガや小説の編集の裏側、気になる人との対談のレポート記事などを公開していきます。

『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡…

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